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炭素繊維で作ったヘルメット 丈夫で軽くて、リーズナブル

掲載号 vol.71
記事内容

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

丈夫で軽い素材として知られる炭素繊維。その炭素繊維を使ってバイク用のヘルメット(以下、カーボン・ヘルメット)を開発したのがウインズジャパンだ。元二輪レーサーが設立した同社では、オリジナルのバイク関連グッズの製造、販売を手がけており、カーボン・ヘルメットについても独自の工夫を盛り込んで安全性や快適性、機能性をアップ。同時にリーズナブルな価格を実現することで、先行する大手、海外メーカーと差別化を図り、ライダーの注目を集めている。

 

250g以上を軽量化。レースでも使用可能
片岡代表 「手に取った瞬間、軽いと驚かれます」。自社製のカーボン・ヘルメットを手にそう話すのはウインズジャパンの片岡匡史代表である。一般的なスポーツタイプのヘルメットの重さは1,500~1,700g。これに対して同社のカーボン・ヘルメットは1,250gに過ぎない。その差はおよそペットボトル1 本分だけに、日常的にヘルメットをかぶっているライダーが目を丸くするのも無理はない。もちろん、軽くなれば、その分、首や肩の疲れも軽減する。
 ラインアップは平成23年7月に発売した「A-FORCE(エー・フォース)」と今年1月に発売した「A-FORCE12(エー・フォース・トゥエルブ)」の2種類で、違いは使っている炭素繊維にある。前者には韓国製で3Kと呼ばれる3,000本の炭素繊維を紡いだ糸が、後者にはイタリア製で12Kと呼ばれる12,000本の炭素繊維を紡いだ糸が使われている。「A-FORCE」の方が編み目が細かく、「A-FORCE12」はくっきりとした格子状の柄が特徴だ。
 価格は「A-FORCE」が31,500円、「A-FORCE12」が37,800円で、既存の国産カーボン・ヘルメット(約250,000円)はもちろん、国内大手メーカーの通常のスポーツヘルメットと比べても安い部類に入る。
 軽くて安いからといって、決して安全性をおろそかにしているわけではない。新SG/PSC というスタンダードな規格だけでなく、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)の公認も取得し、よりシビアな安全性が要求されるサーキットでも使用可能だ。
 発売以来、ライダーからの評判は上々で、特に新興ブランドへの抵抗が少ない40代以下を中心に順調な売れ行きを見せている

 

6層構造を考案し、安全性をアップ
カーボン・ヘルメット「A-FORCE」(写真左)と「A-FORCE12」 ウインズジャパンがカーボン・ヘルメットの開発に乗り出したのは、設立から1 年が経とうとした頃だった。同社では日差しを遮るインナーバイザーやあごを保護するフェイスガードをワンタッチで開閉できるシステムヘルメットをヒットさせていたが、他社が追随してきたことから、新たなユーザーを獲得するため、カーボン・ヘルメットに注目した。
 当時、既にヨーロッパではカーボン・ヘルメットの普及が進んでいた。しかし、頭の横幅が狭い欧米人向けに設計されているため、頭の横幅が広い日本人向きではなかった。一方、国内大手メーカーのカーボン・ヘルメットは高価で受注生産に限定されていた。そこで、強くて軽く、日本人の頭の形に合ったカーボン・ヘルメットを低価格で提供するため、1年半をかけて開発に取り組んだ。
 製造はヨーロッパメーカーのヘルメット製造で実績を有する中国・広州の工場と協力した。ヘルメットの帽体(外装)は1種類とし、その金型や生産ラインをヨーロッパメーカーと共有することでコストダウンを図った。そして、日本人の頭の形に合わせ、3種類のサイズの内装を用意した。
 難関だったのは日本独自の耐貫通性テストだった。強度に優れた炭素繊維も尖ったもので1点に集中して力をかけると破断してしまう。このため、同社では複数の素材によるサンドイッチ構造をいくつも試し、最終的には高い強度と弾性を誇り、防弾チョッキにも使われるケブラー、断熱・防音・静電気防止効果のあるグラスファイバーを組み合わせた6層構造を考案した。
 また、炭素繊維に樹脂を含浸させる際、高い圧力を均等に加える加工法を採用した。これによって、余分な樹脂が残らず軽くなると同時に、樹脂の厚みが一定になるため、衝撃が分散されやすくなり、安全性が一段と向上した。

 

日本の炭素繊維で、ブランド力向上へ
特性の異なる3種類の素材を組み合わせた6層構造を採用。 現在、発売中のモデルは炭素繊維の織柄が全体的に見えるようになっているが、今秋には一部に図柄を施したグラフィックモデルを発売する予定だ。さらに今後は、同社製品で人気のインナーバイザーを装備した多機能モデルを投入する計画である。
 日本製炭素繊維の導入も今後の取り組みの一つで、現在、いしかわ炭素繊維クラスターを統括するISICOに相談しながら、石川県内、あるいは北陸で協力企業を探している。従来は価格の高い日本製を避け、韓国、イタリア製の炭素繊維を使っていたが、海外製はわずかによれていたりして歩留まりが悪く、結果的にはコストがかさんでいた。日本製を使っても、不良品が減れば、価格の上昇を抑えられるというわけだ。同時に、日本製炭素繊維の採用はヘルメットのブランド力アップにもつながる。
 ブランド力の向上は、同社が視野に入れるアジア・ヨーロッパ市場への展開でもプラスになる。世界規模ではバイクの需要は拡大しており、特にアジアは最大のマーケットである。「インドネシアなどのアジア諸国でいち早くブランドイメージを定着させたい」と意気込む片岡社長。世界で勝負できる企業を目指し、スロットル全開で挑戦を続ける。
 

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v71
備考 情報誌「ISICO」vol.71より抜粋
添付ファイル
企業名 株式会社 ウインズジャパン
事業内容 バイク関連グッズの企画・開発・販売、コンチネンタルモーターサイクルタイヤの販売
創業・設立 設立  平成21年2月
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