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転倒時の骨折防ぐプロテクター フィット感や着けやすさを向上 1

掲載号 vol.71
記事内容

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

 

吉田司はスポーツ選手などが使うサポーターの国内シェアで約50%(生産額ベース)を誇るニッチトップ企業である。OEMが主流のため、社名は表に出てこないが、一流アスリートにも同社サポーターの愛用者は多く、品質は折り紙つきだ。スポーツ用に加え、近年、力を入れるのが医療・健康用のサポーターである。この分野の商品は同社の売り上げの30%を占めるまでに成長しており、現在も金沢工業大学や金沢医科大学と連携して、高齢者のけがを防止するサポーターの開発に取り組んでいる。

 

衝撃を20%軽減 発売目指し、開発中

ヒッププロテクターの試作品 年を取り、足腰が弱った時に気を付けなければならないのが、転倒によるけがである。転倒で足の付け根にある大腿骨頚部(だいたいこつけいぶ)を骨折すると、そのまま寝たきりへと移行するケースも少なくない。
 吉田司が現在、開発しているのは、このような転倒時に受ける衝撃を軽減してくれるヒッププロテクターと呼ばれる商品だ。腰と尻を覆うようにサポーターを巻き、へその位置で留められるようにした腰巻き型で、尻の側面部にプラスチック製の衝撃吸収材が仕込まれている。これによって転倒時の衝撃を約20%も軽減できる。
 平成21年度には県の「産学・産業間連携新技術・新製品事業化可能性調査事業」、平成22年度から3年間は国の「戦略的基盤技術高度化支援事業」の採択を受けて研究に取り組み、数年後の発売を目指して現在も開発が続いている。

 

立体形状の生地が自在に伸び縮み

 吉田司が医療・健康分野へと参入したのは平成12 年にさかのぼる。乳がんや子宮がんの摘出手術後、腕や足が大きくむくむリンパ浮腫(ふしゅ)を軽減するため、金沢医科大と協力して、血流を良くするサポーターを開発したのだ。
 その後、「転んでけがをした多くの高齢者が寝たきりになる」という現状を知り、平16年頃からヒッププロテクターの開発に乗り出した。
 ヒッププロテクターはおよそ10年前から国内で販売されていたが、締め付けがきつく脱ぎ着しづらい、衝撃吸収パッドが分厚くて重たい、デザイン性がよくないといった課題があった。
 そこで同社では、試行錯誤を重ね、サポーターを体のラインに合わせた立体形状に編み、この際、関節や筋肉の動きに応じて伸縮するように工夫することで、強く締め付けなくても、体にぴったりとフィットする着用感を実現した。また、従来品はパンツ型だったが、腰巻き型にして、簡単に身に着けたり、外したりできるようにした。
 衝撃吸収材の開発に当たっては、吉田忠司社長の母校である金沢工大に協力を仰いだ。担当したのは自動車メーカーで車両開発に携わった経験を持つ山部昌教授である。
 従来品ではウレタン製やシリコン製の衝撃吸収パッドが重量の3 分の1を占め、軽くするにはこの部材の軽量化が不可欠だ。そのため、金沢工大では柔らかく性能に優れたプラスチック製衝撃吸収構造を開発。車のバンパーのように吸収材を薄い波板状にして二枚重ねにした構造で、これによって大幅な軽量化を図ると同時に、厚さを従来の10~20mmから8mm以下にした。しかも、一枚ものではなく、細長い板状の素材を数枚並べて使うことで、より体の動きに追従し、密着しやすくした。開発プロセスでは、コンピュータ・シミュレーションを駆使し、スピードアップと試作コストの削減につなげた。
 試作品は金沢医科大の森本茂人教授の協力を得て、加賀市内の介護施設でモニター調査を行い、その結果を基に改良を加えた。ピンクや青、オレンジなど6色のカラー展開も、「白やベージュのほかにも、いろいろな色があれば」という高齢者の声を反映したものだ。

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v71
備考 情報誌「ISICO」vol.71より抜粋
添付ファイル
企業名 吉田司 株式会社
事業内容 サポーターの製造、販売
創業・設立 創業  昭和11年4月
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