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炭素繊維の建築材料を開発 軽くて丈夫。鉄筋の代替品に

掲載号 vol.72
記事内容

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

 

加工しやすく再利用できる熱可塑性

写真左から従来の鉄筋、新開発の建築材料、曲げ強度に優れるストランドロット 小松精練は炭素繊維を使って、棒状の建築材料を開発した。柱と柱の間に斜めに入れて建築物を補強する筋交いや、鉄筋の代替材料としての利用を見込んでおり、来年度から量産する計画だ。
 開発した材料は、芯材となる数十万本の炭素繊維の周りを、合成繊維の組紐で覆った「芯鞘(しんさや)構造」が特徴である。炭素繊維は引っ張り強度に優れる一方、せん断に弱いが、同社が新たに考案した芯鞘構造によって、この弱点を克服した。また、炭素繊維の束に緩やかな撚(よ)りを加えることで、曲げ強度を向上させている。
 新開発の製品は鉄筋と比べた場合、直径を3分の1程度小さくしても同等の強度を保つことができる上、重さは約25分の1となった。塩害に強く、経年劣化する心配もない。軽くて丈夫なので輸送コストが安く、高層建築に便利だ。
 被覆材の素材にはポリエステルやアラミド、ビニロン、ガラス繊維などを活用する。例えばコンクリートの中に埋め込むなら、コンクリート内にあるアルカリ性成分に耐久性のあるビニロンを使うなど、用途に応じて変更することが可能だ。
 この建築材料には、加熱すると軟化して成形しやすくなる熱可塑性樹脂を含浸させている。そのため、施工性に優れており、建築現場で長さを調整するため折り曲げることも容易だ。切り落とした端材などはリサイクルもできる。

 

独自ノウハウで樹脂を均等に含浸
 平成22年から取り組んだ開発は、ISICOの「いしかわ次世代産業創造ファンド事業」に採択された。最も苦労したのは、熱可塑性樹脂を均等に含浸させることだった。熱可塑性樹脂は粘り気が強いため、浸透しにくい。そこで同社では、溶解剤を使って樹脂を液状にすることで、含浸しやすくすることに成功した。これには、繊維素材の染色にとどまらず、機能性の薄膜などの開発を手がけてきたノウハウが役立った。
 組紐技術を使った被覆材の開発には七尾市の谷口製紐が協力した。建築材料に求められる機械的特性については石川工業高等専門学校の持田泰秀教授(現立命館大教授)がアドバイスし、県工業試験場が試験、評価した。
 平成24年度からは経済産業省の「先端技術実証・評価設備費等補助金」を受け、量産に向けた技術、設備の開発に向けて取り組むほか、池田社長ワイヤーケーブルのように巻き取れるほどの柔軟性を持つ新構造「ストランドロット」も開発した。
 建築業界は同社にとって未知の市場だけに、今後の課題は販路拡大で、池田哲夫社長は、「建設業を手がけるグループ企業とも連携し、地道に実績を積み上げたい」と話し、海外での販売も視野に、長期計画で大きく育てる考えだ。

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v72
備考 情報誌「ISICO」vol.72より抜粋
添付ファイル
企業名 小松精練 株式会社 
事業内容 衣料用・産業用繊維素材の開発、製造、販売
創業・設立 設立  昭和18年10月
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