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【巻頭特集】経営環境の変化を乗り切るには働き方改革や人材の多様化が鍵 忙しい部署の仕事をサポートして残業時間を削減

掲載号 vol.92
記事内容

人口減少と少子高齢化を背景に、労働の担い手の中核をなす生産年齢人口(15歳以上65歳未満)は減少の一途をたどっている。また、経済のグローバル化が進む中、中小企業も国際的な競争に直面することも少なくない。こうした経営環境の変化に対応し、人材不足の解消やグローバル化を進め、競争力を強化していくには、中小企業においても働き方改革や人材の多様化が求められている。そこで今回の巻頭特集ではワークライフバランスに配慮して職場を改善したり、国籍を問わず人材を採用したりするなどの積極的な取り組みを進める2社を紹介する。

 

研究開発職や事務職も製造部門をフォロー
リップクリームをパッケージに詰める作業の様子。 写真 100%天然成分を使った自然派化粧品の製造を手がけるルバンシュではワークライフバランスの向上に力を入れており、ここ数年で、1カ月の平均残業時間を約40時間から約7.5時間にまで削減した。
 ポイントになったのは製造部門にかかる負担の分散だ。注文が増えれば、その分仕事が増える製造部門は同社で最も残業が発生しやすい部門である。少人数の職場だけに、定時(17時30分)で帰りたくても、残業している同僚がいれば帰りにくい雰囲気が生まれ、他部門の社員もずるずると残業するという雰囲気が蔓延(まんえん)していた。

 そこで、同社では研究開発職や事務職の社員も製造の技術を身に付け、注文が集中したときなどにはサポートに入るようにした。製造部門の社員も、作業のやり方を見直し、効率アップを図っていった。また、それでも手が足りなければ派遣社員を活用したほか、継続的な受注増が見込める場合には新卒の正社員を採用した。
 その結果、残業時間は次第に減り、今では半数以上の社員が18時前に帰宅する。

 

仲間としてつながり、生き生き働ける職場に
 自身も毎日夜中まで働いていたという千田和弘社長がワークライフバランスの向上を意識したのは今から7年前のことである。この年、設立20周年を迎えた同社では企業理念や行動指針を分かりやすくまとめた“クレド” を制定。「心の“なかまで” 生き生きと」をモットーに掲げた。
 「“なかまで” には“ 中まで”と“ 仲間で”という二つの意味が込められています。小さいお子さんを持つ女性社員が増え、彼女らが何とか残業しなくても仕事が回るように頑張ってやりくりしている姿を見ていましたし、それでも自分だけ定時で帰ることには後ろめたさを感じている様子もあって、社員同士が仲間としてつながって、生き生きと働けるような職場環境を目指さなければいけないと考えるようになりました」(千田社長)。
 当時は20時くらいまでの残業が恒常化していたが、製造部門をフォローする体制づくりに加え、19時には管理職も退社するなどして、帰りやすい雰囲気を醸成していった。

 

旅行券を贈呈し有給休暇を取りやすく
 有給休暇を取得しやすい社内環境づくりにも力を入れている。そのために新たに導入したのが永年勤続表彰制度だ。表彰の対象となるのは勤続10年ごとで、10年ならば10万円分、20年ならば20万円分の旅行券を贈呈する。旅行券は1年以内に使わなければ会社に返却する決まりにした。現金でなく期限付きの旅行券を渡すことで、旅行に出かけるためにまとまった有給休暇を取ってもらうのが狙いだ。
社員の美容に対する知識の習得を目的に開催している「美容塾」 写真 また、「有給休暇を取得するには、社員同士のコミュニケーションが日頃から円滑であることが大前提」(千田社長)という考え方のもと、「美容塾」や「食事会」など、社員が交流を深められるような機会を積極的に設けている。過去の美容塾では、美容や健康に関する本を各自が一冊読み、そのエッセンスを社員が発表し、知識の習得とプレゼンテーション能力の向上につなげている。
 こうした取り組みが奏功し、平成27年度の年次有給休暇取得率は約76%に達した。
 社員間のコミュニケーションをさらに活発にしようと今年4月には新たな試みとして「家族参観日」を開催する予定だ。職場見学に加え、焼き鳥のケータリングサービスを利用して花見を楽しむ内容で、千田社長は「今まで以上に他の社員を思いやることのできるような雰囲気を作っていきたい」と話す。

 

子育てママを基準に職場改善を
 多様な人材の受け入れにも積極的で、昨年には初めて障害者を雇用した。フルタイムで勤務してもらい、健常者とほぼ同等の固定給として、社会的・経済的な自立を後押ししている。障害のある人でも理解しやすいようにと作った作業マニュアルは従来よりも詳細で分かりやすくなり、作業ミスの低減にもつながっている。
 ところで、中小企業がワークライフバランスの向上に取り組む上で大切なことは何だろうか。この質問に対し、千田社長は次のようにアドバイスしてくれた。
ワークライフバランスの向上に力を入れる千田和弘社長 写真 「正社員として働くのが一番難しいのは小さなお子さんを育てているお母さんです。ですから、そういった方が気持ちよく働ける環境を作ることができれば、誰もが働きやすい職場になるのではないでしょうか。中小企業の場合は経営者の意識改革も大切だと思います」。
 ルバンシュは、平成28年度石川県ワークライフバランス企業知事表彰の優良企業賞を受賞した。これを励みに、心の“なかまで”生き生きと働ける企業を目指し、さらに取り組みを充実させていく。

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v92
備考 情報誌「ISICO」vol.92より抜粋
添付ファイル
企業名 株式会社 ルバンシュ
事業内容 化粧品および医薬部外品の製造・販売
創業・設立 設立  平成2年11月
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