ISICO トップ
目的別
組織別
地場産業振興センター
いしかわサイエンスパーク
デジネット DGnet
こんにちは  ゲスト  さま|メルマガ・会員登録ヘルプ

細幅織物用織機を海外に展開 ノウハウを積み重ね、欧米市場を開拓

掲載号 vol.93
記事内容

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

 

洋服などに付く織りネーム(織物製タグ)やリボンテープといった幅50ミリ以下の細幅織物専用の織機を製造・販売する吉田機械。ISICOのサポートを得て、海外市場の開拓にいち早く乗り出しており、平成28年には出荷台数の8割以上を輸出が占めるようになった。特に、近年は中国やインドといったアジア市場だけでなく、ヨーロッパへの進出に力を入れ、その地歩を着実に固めている。

 

繊維機械のオリンピックに出展
吉田機械のシャトル機械 写真 ファッションの流行発信地であるヨーロッパは、繊維業界における世界の中心だ。競争力を持った各国の繊維機械メーカーがしのぎを削る本場で、吉田機械は2年前から本格的な販売事業を展開している。

 足がかりとなったのが、平成27年11月にイタリア・ミラノで開催された世界最大規模の見本市「国際繊維機械展(ITMA)」である。ITMAはヨーロッパにおいて4年に1度開かれる繊維機械のオリンピックと言われる大舞台で、初出展をきっかけにイタリアやフランスから立て続けに4台の織機を受注した。
 繊維の専門家たちの耳目を集めた吉田機械の主力商品は、「シャトル織機」と言われるタイプだ。手織りの織り機同様、縦糸の間に横糸を取り付けたシャトルを左右に往復させながら織り込んでいく織機で、両端の仕上がりがきれいで切断することなく使用できるため、肌触りよく仕上げられる。さらに、同社では縦糸1本1本を制御するジャガード式のシャトル織機を得意としており、中央部分だけに柄を入れるなど、細幅織物により複雑なデザインを描けるのも特徴だ。
 ただ、世界を見ると織機市場に占めるシャトル織機の割合はわずか1割ほど。主流となっているのは、シャトルを使わず、水などで1方向から横糸を飛ばし、高速化したタイプだ。だが、体に触れる織りネームや複雑な柄のものなど、シャトル織機でしかできない織物の市場は確実に存在しており、同社ではそんなニッチ市場に狙いを定めた戦略をとっている。

 

活性化ファンドでCEマーキング取得
吉田専務とパートナー契約を結ぶイタリアの繊維機械メーカーのスタッフ 写真 同社の織機は、ゆがみが少なく高精細に仕上げられるため、ファッション用はもちろん、消防ホースや人工血管といった特殊チューブの製造にも使われているほどだ。しかし、技術力だけでヨーロッパ市場で勝負できるわけではない。お披露目の場となる展示会への出展や現地でのパートナー(代理店)探しとともに、同社にとって大きな課題となったのがCEマーキングの取得だった。
 CEマーキングとは、EU(欧州連合)加盟国の安全などに関する適合基準で、さまざまな製品にその規格の取得が求められている。同社では、この取得にあたってISICOの活性化ファンドを活用。外部コンサルタントを招くなどにより、平成27年5月にCEマーキングを取得した。同社の海外事業をリードする吉田陽平専務は、「規格を満たすには相応の費用がかかり、中小企業の中には二の足を踏むところも多いと思います。その点、ISICOのサポートが、ヨーロッパ進出の大きな後押しとなりました」と振り返る。

 

中国、インドの経験が生きた
吉田機械のシャトル繊維では、複雑なデザイン加工もお手のもの 写真 もちろん、一足飛びでヨーロッパ市場に乗り出したわけではなく、同社では、国内繊維市場の縮小を背景に、20年以上前から少しずつ海外での販売実績を重ねてきた。中国を皮切りに、インド、バングラデシュに進出。中でも、ヨーロッパとのつながりが深く、古くから繊維産業の盛んなインドでの経験は大きく、「欧米の商習慣に触れることができ、技術的にも学ぶ点が多かった」(吉田専務)という。
 また、価格面でも優位性を保つため、商社を通さず、海外と直接やりとりをしている点も特徴だ。「輸出の手続きや決済の方法など、最初は分からないことばかりで本当に苦労しました」。こう苦笑する吉田専務だが、何度も日本と現地を往復しながら一から学び、積み上げてきたノウハウは、同社の大きな財産となっている。

 

社員の誇り、国内市場へのPRにも
 海外市場開拓のメリットはまだある。世界でも十分に通用する技術力を確認できたことは、自社製品への自信となり、社員のモチベーション向上につながったという。国内市場でも、繊維産業の中心地ヨーロッパでの販売実績が大きな宣伝効果をもたらした。
 もちろん、世界市場の激しい競争の中では、現状に安穏としていてはすぐに取り残されてしまう。同社では現在、製品そのものの付加価値を高めていく戦略を描いており、これまでの海外ビジネスで生まれたネットワークを生かした一手を打っている。それが形となって現れたのが、ヨーロッパ進出を機に知り合った世界有数の繊維機械メーカー「ストーブリ」と共同開発した新モデルのシャトル織機だ。ISICOの展示会出展補助金を受けて昨年10月に出展した中国・上海での国際機械繊維見本市「ITMA ASIA」で初めてお披露目し、その優れた性能に来場者の注目が集まった。
「海外だけでなく、国内も見据えた事業展開を続けていきます」と意気込む吉田陽平専務 写真 「今後も海外で積極的な展開を続けていきます。同時に、国内に目を向けた活動にも力を注ぎます。例えば、以前は繊維機械を修理・改良する店が各地にありましたが、最近では減っています。織機メーカーとしての知識・技術を生かし、その役割を当社が担うことで、国内の繊維産業を少しでも支えられればと考えています」と語る吉田専務。地域と世界、同社では培ってきた2つの視点で新たな一歩を踏み出している。

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v93
備考 情報誌「ISICO」vol.93より抜粋
添付ファイル
企業名 株式会社 吉田機械
事業内容 リボンテープ、織りネームなどの細幅繊維製品専用機械の製造・販売
創業・設立 創業  昭和17年4月
もっと知りたい