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設備診断を契機に修繕計画を策定 設備貸与制度を使ってボイラーを更新

掲載号 vol.93
記事内容

From USERs
各種支援制度の利用者に聞く
ISICOでは、企業の成長をサポートするためさまざまな支援制度を用意しています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。

 


山中温泉にある「花紫(はなむらさき)」は、四季折々の渓谷美を楽しめる鶴仙渓のほとりに建つ温泉旅館である。宿泊客が約50種類のメニューから好きな料理を組み合わせることができる「アラカルト懐石」など、独自性の高いサービスで人気の旅館だ。建設から30年余りを経過したことから、近年ではISICOの専門家派遣事業を活用し、設備の簡易診断を受けたほか、さらなるサービス向上と高品質を保つために新しくいくつかの機器を更新してお客様に快適な空間を提供している。

 

「アラカルト懐石」で料理を選ぶ楽しみ
伝統を守りながら、現代のニーズに応じた旅館づくりに腐心する山田仲子社長と山田耕平経営企画室長 写真 花紫は、明治35年創業の老舗旅館で、客室数は27室と小規模だが、他の温泉旅館とはひと味違ったサービスで差別化を図っている。

 その一つが「アラカルト懐石」と称した夕食である。温泉旅館の夕食と言えば、あらかじめ内容が決まっているのが一般的だが、アラカルト懐石では月替わりで50種類ほどのメニューを用意し、その中から宿泊客一人一人がそれぞれの好みで料理を選んで食べられるようになっている。
約50種類のメニューの中から好きな料理を組み合わせる「アラカルト懐石」 写真 例えば、「能登寒ブリの造り」は25ポイント、「加賀野菜の天ぷら」は15ポイントといったように、各メニューにはポイントが付けられており、宿泊客は一人当たり100ポイント分のメニューを選ぶことができる。「せっかく北陸に来たのだから」と海の幸を中心にしたり、食べ盛りの方や魚が苦手な方は肉料理をメインにしたりと、おいしさはもちろん、選ぶ楽しみを提供することで、好評を博している。
 このアラカルト懐石は12年前に花紫が日本旅館で初めて取り入れた食事スタイルだ。執行役員の山田耕平経営企画室長は「“ マーケットイン”よりも、もっと宿泊客のニーズに密着した“ユーザーイン”の考え方でご提供しております」と話す。

 

100回以上泊まる熱烈なリピーターも
 ほかにも、宿泊客に時間を気にせずにくつろいでもらおうと、チェックインとチェックアウトの時間をともに12時に設定し、最長で24時間滞在できるようにした。
 こうした取り組みが奏功し、リピーターも多く、中には、毎月宿泊する常連客や通算100回以上泊まったという熱烈なファンもいるほどだ。旅行サイトでは高評価がずらりと並ぶほか、観光経済新聞社が認定する「5つ星の宿」にも14年連続で選ばれているなど、評判は上々だ。
 また、従来は関西からの宿泊客が主流だったが、平成27年の北陸新幹線開業後は関東からも急増し、今では関西からと同じほどの人数が訪れるようになった。ほか、台湾やシンガポール、香港など、個人の外国人旅行者も増えている。

 

空調設備を更新省エネ性もアップ
27室ある客室は、どこも上質なしつらえ 写真 昨年8月には館内の食事処「ステイダイニングにほん」の一部を改装し、加賀水引を取り入れた空間にリニューアルするなど、ハード面の整備にも余念がない。しかし、オープンから既に30年余りが経過したことから、経年劣化している部分もある。
 実際、平成26年には長年使用してきた空調用熱源設備(チラー)が故障したことから、ISICOの設備貸与制度を活用し、更新した。女将の山田仲子社長は「予期せず交換することになったのですが、迅速に対応してくれたので助かりました。以前、使っていた設備に比べると省エネ性もアップしていて、コストダウンにもつながりました」と笑顔で話す。
 旅館の魅力を維持、向上させていくとともに、いきなり設備が故障して、修繕・更新費用が経営を圧迫するような事態を避けるためには、設備のライフサイクルを考慮しながら、計画的にメンテナンスを行うことが必要だ。そこで花紫では、平成27年度にISICOの専門家派遣事業を活用し、建屋および設備等の簡易診断を受け、これを契機に中長期的な改修計画を策定した。これによって、前もって資金を準備できるほか、毎年の修繕・更新費用を平準化できるメリットもある。
 改修の第一弾として、平成28年にはボイラーを更新。これにもISICOの設備貸与制度を活用した。

 

採用活動も順調平均年齢が5歳若く
最上階に設けられた露天風呂 写真 山田社長の後継者である山田経営企画室長が花紫に入社した3年前からは、社内的にもさまざまな改善・改革が進んでいる。その一つがウェブを使った採用活動の本格化だ。
 人手不足で頭を悩ませている旅館も多い中、ウェブ活用に本腰を入れて以降、採用活動は順調に進んでいる。「高いレベルのおもてなしを勉強したい」と全国から応募してくる人も少なくない。その結果、社員に占める20代の割合は3年前の10%台から40%台へと増え、平均年齢も約40歳から5歳も若返った。
 「うれしいのは、自分の職場や働きぶりを見てもらおうと、旅館に家族を招待する若い社員が多いことです」と顔をほころばせる山田社長。そのため、福利厚生の一環として社員の家族が宿泊する際の割引制度を新たに設けた。
 人材を確保し、温泉旅館ならではのきめ細かなサービスを維持する一方、食器洗浄機を導入するなど、宿泊客の目に触れない面の効率化も進めている。
 「顧客満足度の向上にこだわり続け、さらなる高みを目指していきたい。そのためには、既成概念にとらわれず、お客様に喜んでいただけるサービスで“ 明日への元気の源”を提供していきたい。」(山田経営企画室長)。花紫は、これからも温泉旅館業界に新風を吹き込む存在として、注目を集め続けるに違いない。

関連URL http://www.isico.or.jp/isico/i-maga/isico_v93
備考 情報誌「ISICO」vol.93より抜粋
添付ファイル
企業名 株式会社 山田屋(山中温泉 花紫)
事業内容 温泉旅館業
創業・設立 創業  明治35年
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