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金沢大のシーズをビジネスに 金時草のパウダーで健康サポート

印刷ページ表示 更新日:2014年11月4日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく

Seize a chance and open a bright future.

金沢大学の研究室の写真テラ・サイエンスでは、金沢大学医薬保健学総合研究科の太田富久特任教授と連携し、健康や美容に有用な天然成分の研究開発とそのビジネス化を手がけている。現在、主力になっているのが加賀野菜の一つである金時草を丸ごとパウダー状に加工した食品原料だ。血糖値の正常化、血圧上昇抑制が期待されるとあって、さまざまな商品に活用され、販売量が年々増えている。

アントシアニンなど健康成分が豊富

豊田剛史社長 太田特任教授の研究によれば、金時草には健康に良い成分がたっぷりと含まれている。例えば金時草の生葉100グラムには、赤ワイン約1リットル分のアントシアニンが含まれるほか、レタス1.4 個分の食物繊維、山芋やオクラと同様の粘り成分・ムチンを含有する。また、抗ストレス作用のあるギャバは玄米の約2倍、鉄分・カルシウムはホウレンソウの約4倍、ビタミンAはニンジンの約6倍含むなど、ビタミンやミネラルも豊富だ。
 さらに、マウス実験によって血糖値の上昇抑制作用、中性脂肪や総コレステロールの抑制による抗肥満作用、抗ストレス効果が確認されている。
 こうした研究結果を踏まえ、金時草の栄養成分を日々の健康づくりに役立ててもらおうとテラ・サイエンスが開発したのが金時草をそのまま、無添加・無着色でパウダー状にした食品原料である。これを活用した商品の第一弾が「金時草の力」だ。EH(株)(本社:大阪府堺市)によって商品化され、現在までに累計20万箱を売り上げるヒット商品となっている。

 

健康、美容効果が口コミで評判に

 「金時草の力」は金時草パウダーそのものを摂取しやすいよう2グラムずつ小分けにした商品で、1箱(3,500円・税別)に30袋が入っている。水やお茶、ヨーグルトに溶かすほか、料理に混ぜたり、ふりかけたりして使う。2グラムの金時草パウダーでちょうど20グラムの金時草を食べたのと同じ栄養成分が摂取できる。
金時草パウダー テラ・サイエンスの豊田剛史社長によれば、「金時草の力」を毎日飲み続けることで、血糖値や血圧、コレステロールの値が改善したほか、「お通じがよくなった」「肌がきれいになった」など、健康、美容効果を実感する人が次第に増え、口コミで評判が広まり、ヒットにつながった。
 商品化はこれにとどまらず、今年3月には同社とJA金沢市の共同企画で、金時草のほか、加賀野菜4種の粉末をブレンドした「加賀五彩茶」を発売。今年7月には宅配ベーカリーショップが、大豆の粉末と混ぜた「金時草ファイバープラス」を商品化するなど、引き合いが増えている。

栄養を損なわない気流粉砕で加工

 金時草の栄養成分を余すことなく生かすため、テラ・サイエンスでは製造工程に工夫を凝らす。
金時草畑 まず、原料となる金時草は、石川県の契約農家が露地栽培で太陽の光をたっぷりと当てて育てたものを使う。栄養価を重視して栽培するため、スーパーなどで市販されている金時草よりも葉が大きく、茎も太い。販売量の増加に対応するため、加賀市や白山市の農家に休耕田を活用した栽培を働きかけ、今年は約80トンを買い取る計画だ。

 収穫された金時草は乾燥させた後、気流粉砕によって微細な粉末にする。気流粉砕とは、空気の流れと素材同士がぶつかり合うことで粉末化する方法で、短時間で処理できる上、加工時に熱があまり発生しないため、栄養成分を壊さない。
 とはいえ、生野菜が原料だけに、安定供給や品質の均一化に苦労することもあった。当初は県内の金時草をかき集めていたが、栽培量を増やしたり、規格化に取り組むことで、品質の向上、安定に成功した。
 今後は、さらに金時草について理解を深め、より品質に優れた栽培法を研究するため、自社農場の整備を目指す。また、粉末加工については現在、他県にある工場まで輸送しているが、より新鮮な状態で粉末化できるように畑の近接地に自社工場を構える計画だ。

イチゴやなれずしからも有用成分

 豊田社長が太田特任教授の研究シーズを活用したビジネス展開を思い立ったのは約10年前。知人から野菜や果物の薬効成分を研究する太田特任教授を紹介された豊田社長が、糖尿病を患っている母親について相談したところ、薦められたのが試験的に作られた金時草のパウダーだった。豊田社長が半信半疑で母親に飲ませたところ、1 カ月後には血糖値が下がり、2年後には血糖降下薬を飲まなくてもいいほどに改善。効果を目の当たりにした豊田社長は、「もっと多くの人に喜んでほしい」との思いから会社を設立した。
 厚生労働省の平成24年「国民健康・栄養調査」によれば、「糖尿病が強く疑われる成人人口」は約950万人、糖尿病予備軍は1,100万人で、この数字を考慮すれば、金時草パウダーへの需要はまだまだ拡大が見込めると言えそうだ。
金時草パウダーを活用して作られた商品 一方で新たな事業の柱づくりにも取り組んでいる。その一つがイチゴから抽出したポリフェノールを含んだ粉末や濃縮液であり、既にアメリカでは特許を取得している。イチゴポリフェノールは抗肥満作用や抗炎症作用、美白作用といった機能性を有するなど、市場の拡大が予想される健康食品市場において需要が見込まれることから、今後、パートナー企業を募って商品開発を進める計画だ。
 豊田社長は「石川県の伝統醗酵食品である“ なれずし”から抽出した乳酸菌など、事業化できるシーズはまだまだある」と話し、機能性に優れた食品原料の研究開発、商品化に意欲を燃やしている。

 

テラ・サイエンスが利用したISICO の支援メニューは
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(お問い合わせ)
経営支援部 新事業支援課 TEL. 076-267-1244

企業情報

企業名 株式会社 テラ・サイエンス
創業・設立 設立 平成24年3月
事業内容 食品・化粧品の機能性・安全性評価事業、機能性食品開発事業

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備考 情報誌「ISICO」vol.77より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.77


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