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所在地:石川県金沢市野町
創業:2019年8月(法人設立)
業種:エンターテインメント
起業時の年齢:36歳
LEDの付いた数十台~数百台のドローンを空に飛ばして行うドローンショー。石川発のスタートアップである、その名も株式会社ドローンショー・ジャパンは、人気テレビ番組のオープニング演出を手掛けるなど、全国的に注目されています。代表取締役社長の山本雄貴さんは、東京での起業家生活を経て石川にUターン。「石川をドローン産業の聖地に」という目標を掲げ、「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2020」で最優秀起業家賞を受賞しました。
大学で経営工学を専攻し、新卒で大手銀行に入社しましたが、「いつかは起業を」と事業計画を作成しては投資家と会い、プレゼンを繰り返していました。そんな中で資金調達に成功し、2007年にネット系のサービスを立ち上げました。ユーザーは増えましたが、最終的には中国企業に売却しました。次はモバイルゲーム事業に参入。作れば売れる時代でしたが、やがてモバイルゲームのバブルが崩壊し、ゲーム業界からは離れました。その後は東京のマーケティング会社で新規事業開発を手がけ、上場という目標を達成。これを機に金沢にUターンし、起業を目指すことになりました。
ドローンショーの動画を見たことがきっかけで、2019年に起業することを決め、個人創業後、前身企業を経て、2020年に株式会社ドローンショーを設立しました。(2023年6月1日に株式会社ドローンショー・ジャパンに社名変更しました。)
東京ではスタートアップを興してもインパクトが感じられません。事業でまちを変える、世の中を変えるというより、創業者利益を得られれば満足といった風潮もあります。夫婦ともに金沢出身ということもあり、Uターン起業を決めました。
金沢は地方都市の中でも比較的人口が多く、大きな需要が期待できます。また車で少し走ればドローンのテストフライトができる、恵まれた環境です。
Uターン後に知り合った経営者の方に「参加してみては」と紹介してもらいましたが、まさか自分が最優秀起業家賞に選ばれるとは思っていませんでした。受賞特典として、野々市市内の産学連携拠点i-BIRDに開発拠点を設置しました。視察も受け入れており、「ISICOのビジコンで最優秀起業家賞を受賞したことで、ここにラボを構えている」といった文脈でビジコンの実績をさりげなくアピールしています。
東京時代は、起業の際に行政を意識することはなく、自分たちでサービスを作り、ネットの向こうの顧客とつながっていくスタイルでした。対して、規制が厳しいドローンを使う事業を展開するとなると、行政との連携が重要になります。実際、ISICOの施策やサポートには非常に助けられていますし、ありがたく思っています。
気軽に相談できる「仲間」ができたという感覚です。考えている事業に応じて補助金情報を提供してもらうこともありますし、雑談レベルの相談にも親身になって対応してくれます。当社はドローンの機体を自社開発しているのですが、量産設計に悩んでいたところ、ISICO・工業試験場を通じて長野県伊那市のスワニーとタッグを組むことができ、スピーディな量産を実現できました。
現在は13名の社員が在籍しています。20代中心で、学生の頃に当社でアルバイトを経験したことがきっかけで入社する方が多いです。チーフエンジニアも石川出身の20代で、個人でドローンのエンジニアやレーサーとして活躍してきた経歴の持ち主です。ドローンショーは、見る側にとってはもちろん、作り手にとっても夢があります。
ドローンショーの依頼案件が増えていることから、プロジェクトやプロダクトのマネジメントができる幹部人材も採用しました。「スキルや経験より、心から信頼できることが大事」という先輩起業家からのアドバイスにより、違う業界で働いていた学生時代の同級生を口説きました。
優れた人材が集まったことで、機体開発からソフトウェアの開発、ショーの実施まで自社で一貫して手がける体制が整いました。風雨など天候に左右されるといった従来の課題についても、技術革新により少しずつ克服してきています。
コロナの収束から世の中の風向きが変わり、胸を張ってサービスを提供できる時期になりました。最近は民間企業の社員旅行で実施したいという依頼や、広告媒体としての活用も増えています。
地域に目を向ければ金沢港クルーズターミナルや金沢城公園でショーを開催するなど、まち全体を事業のフィールドにできている実感があります。石川で起業した動機でもありますが、儲かる、儲からないではなく「事業で地域を変える」という手応えを少しずつ感じています。
ドローンショーは海外ではメジャーですが、法律の問題で日本に参入しにくい状況です。国内の競合は現状1社のみですが、今後は競合の参入もあるでしょう。誰も参入する気が起きないくらいのスピード感で事業を進めています。
2027年の上場を目標に考えており、単純なエンタメから脱皮し、ドローンの技術を多角的に展開する計画です。ドローンショーには自動操縦と群制御の技術が求められます。労働人口減少が社会課題になっている今、これらの技術をさまざまな産業領域に活用するという方向性で、石川をドローン産業の聖地にするのが私たちの夢です。
店名 |
株式会社ドローンショー・ジャパン |
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代表 | 山本 雄貴 |
住所 |
[本社] [野々市ラボ] |
URL | https://droneshow.co.jp/ |