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手間暇かけて作る地元野菜の蜜菓子 ~菜菓匠 奈加川((株)ビー・オー・エス食品)

印刷用ページを表示する更新日:2018年3月27日更新

ViVO いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集  いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)事例集

2018.SPRING|VOL.04

CASE 03 菜菓匠 奈加川(ビー・オー・エス食品)

中川憲太郎社長の写真レンコンを買うなら、“加賀れんこん”を。
そんな消費者が増えてほしい。

 

【活性化ファンド採択メニュー】
平成24年度 産業化資源活用事業(商品開発・事業化支援)

手間暇かけて作る地元野菜の蜜菓子

本来の味や色、食感、みずみずしさをそのままに

年間20種類をラインアップ

 奈加川が製造、販売するのは加賀野菜など地元の野菜を使った“蜜菓子”である。蜜菓子とは野菜を砂糖と水で漬け込んだ和菓子のこと。打木赤皮甘栗(うつぎあかがわあまぐり)かぼちゃ、加賀太きゅうり、五郎島金時、金沢春菊、加賀れんこん、能登大納言など、現在は年間約20種類を商品化しており、ひがし茶屋街にある店舗のショーケースには、季節に応じて5種類ほどが並べられている。
 砂糖に漬け込んだ菓子なので、口にした瞬間は当然、甘みがあるのだが、かみしめるとそれぞれの野菜の味がしっかりと感じられるのが特徴だ。ドライフルーツとは違って食感はみずみずしく、打木赤皮甘栗かぼちゃならばねっとりと、加賀れんこんならばシャキシャキといった具合に野菜本来の歯触りが楽しめる点も独特と言える。
 平成23年11月に店舗をオープン。希少なブランド野菜を使う上、手間暇をかけて手作りしているため、1箱580~680円(税込み)とリーズナブルな価格とは言えないが、贈答用として人気があるほか、地元で開かれる茶会でもしばしば使われている。北陸新幹線の開業後は観光客が金沢土産として買い求めるようになり、販売量も格段に伸びた。

味も色も付けない

 食品製造を手がける会社を経営する中川憲太郎社長は、蜜菓子の商品化に乗り出したきっかけについて次のように話す。
 「仕事柄、地元の食材をいろいろ扱うのですが、若い方や観光客が加賀野菜を購入することは少ないように思います。でも、クオリティーが高く、特徴のある野菜ばかりですから、もっと多くの人に知ってもらいたい。加賀野菜の中には1、2 軒の生産農家が支えている品目もありますが、消費が増えれば、そうした状況にも歯止めがかけられるかもしれません。スーパーで加賀れんこんと他県産のレンコンが並んでいたら、ちょっと高くても加賀れんこんを買う。そんなマインドを持つ人を増やすことができればと考えたのです」。
 商品開発にあたっては、野菜が持つ魅力を消費者に伝えたいと「味を付けない」「色を付けない」ことをコンセプトとした。さらに、思いを込めた贈答品として使ってもらえば、加賀野菜のイメージアップに役立つと考え、「常温で日持ちする」ことも条件に加えた。これらを満たすものとして最終的にたどりついたのが蜜菓子だった。

野菜ごとにレシピを開発

ひがし茶屋街の一角にある店舗の写真 実際に蜜菓子を完成させるには約2年を要した。野菜や果物を砂糖に漬け込むという文化は日本各地で見られる。しかし、同じ作り方では、野菜の魅力である色や香り、みずみずしさが失われてしまうため、オリジナルのレシピを考え出す必要があったからだ。
 同社では老舗菓子店出身の社員に意見を求めたほか、文献を調べるなどして、加熱や仕込みの方法、漬け込む時間や糖度、砂糖の種類や割合などを変えながら、何度も試作を繰り返し、野菜ごとに最適なレシピを開発していった。
 例えば、野菜を漬け込む蜜の糖度を数日間かけて少しずつ上げていくことで、急激に野菜から水分が抜け出るのを防ぎ、みずみずしさを維持している。加熱するにしても、ゆでたり、むしたりするほか、ゆでる際にも沸騰させたり、させなかったりと細かく調整する。
 さらに、同じ野菜でも収穫される時期や年によって、水分量など品質は微妙に違うため、調理する際は条件を微妙に調整することで、仕上がり具合をそろえているという。

気に入ればネット通販で

 平成25年11月には活性化ファンドの助成金を活用してオンラインショップを整備。土産として持ち帰り、味を気に入った県外のリピーター客らが多く利用している。
 トップページには野菜の写真が大きく掲載され、一見すると青果店のような雰囲気で、中川社長はその狙いについて、「あくまでも地元の野菜を知ってもらうことが目的ですから、オンラインショップも和菓子店とは違うイメージで作りました」と話す。こうした思いは野菜のイラストを大きく配しただけというシンプルなパッケージデザインにも反映されている。
 蜜菓子の今後について中川社長は、「決して金沢を代表する和菓子にしようと考えているわけではない。作る人も売る人もミニマムで継続していきたい」と話す。欠品することもあるが、無理に増員するなどして生産量を増やすつもりはなく、細く長く売れ続ける商品として育てていこうというわけだ。
 もっとも、「素敵な野菜を作る農家さんがいればぜひ分けてほしい」(中川社長)とラインアップの充実には積極的に取り組む考えで、これからも蜜菓子を通して、加賀野菜をはじめとする地元産野菜の普及に一役買おうと意欲を燃やしている。​


蜜菓子の写真蜜菓子

野菜本来の味や色、食感を楽しめる蜜菓子。
白山水系の地下水と砂糖だけで作られる。砂糖は商品ごとに4~5種類を使い分けたり、ブレンドしたりする。着色料や保存料は一切使わない。
賞味期限は1~2カ月ほど。製造には短いもので10日、長いものでは2週間を要する。​

成功のエッセンス
  • 加賀野菜など地元ならではの素材をセレクト
  • 野菜本来の味、色、風味を生かした菓子作り
  • オンラインショップでリピーターを獲得

企業名

菜菓匠 奈加川[(株)ビー・オー・エス食品]​
住所野々市市上林5-12
TEL076-294-3088
事業内容蜜菓子の製造、販売など
創業昭和27年​