最大600万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いた山本雄基さんは、日本で初めて完全自動操縦で100台以上のドローンが夜空で舞い踊る「ドローンショー」のビジネス展開について発表した。
山本さんによれば、現在国内でLED(発光ダイオード)とGPS(衛星利用測位システム)受信機を搭載したドローンや自動操縦に必要なソフトウェアの開発からショーの実施までを自社で一貫して手がけているのはただ1社で、2020年8月には金沢港で初めてショーを成功させた。今後は国内での需要を取り込む一方、海外でイベントを展開する企業とも連携し、世界進出を視野に入れる。
また、より小型のドローンを使った屋内の舞台演出事業にも乗り出す計画で、GPSが利用できない場所でもドローンを制御できるシステム開発を進めている。世界的に見れば、インドアのドローンショーはスイスの企業が市場を独占している状態だが、電波法の厳しい規制がある日本には参入が難しく、大きなビジネスチャンスが広がっている。
5年後にはインドアとアウトドアを合わせて売上高10億円を目指し、山本さんは「最先端のテクノロジーを使ったドローンショーで石川から世界に誇れるエンタメ産業を作り出したい」と意欲を燃やしている。
宮下晃樹さんはウェブ上でキャンピングカーや車中泊仕様のバンをオーナーが使っていない期間にシェアする“バンライフ” のプラットフォームを作り上げた。車中泊可能なスポットを検索・予約・決済できるシェアサービスも合わせて提供し、車中泊をしながら全国を旅する人たちから好評を得ている。既に穴水町にもサテライトオフィスを構え、白山市や金沢工業大学と連携して文化の体験と車中泊を組み合わせた新たな観光スタイルづくりにも取り組んでいる。
整形外科医の中村順一さんが目指すのは、変形股関節症などの治療に用いる人工股関節と手術台の販路拡大だ。人工股関節は欧米製が多く、特に日本人女性の体格に合わないため、小型のものを独自に開発し、現在テスト販売中だ。また、患者への負担を減らすため、挿入時に筋肉を切らずに手術できるよう医師をサポートする手術台も考案した。中村さんはこれらの普及を通じて「生涯歩き続けられる社会を実現し、健康寿命を伸ばしたい」とビジョンを描く。
小林和樹さんがプレゼンしたのは、金沢大学薄膜電子工学研究室が確立した技術によって作成したブラックダイヤモンドの販売事業である。天然のブラックダイヤに比べて品質が均一で大粒のものを作成できる上、表面を黒くしただけの既存の人工ダイヤと違い、芯まで真っ黒なのが特長だ。高級ジュエリーブランドに対して原石を販売すると同時に、宝石事業で蓄積したノウハウを応用し、将来はダイヤを用いて省エネ性に優れた半導体デバイスの商品化にも挑戦する。
合同会社まなぶラボ
介護時の困りごとの一つが臭いである。これを解決したいと考えた西村学さんは独自のハニカム構造を持った臭い取りフィルター「アクセル」を開発した。アクセルは珪藻土や炭化させたもみ殻、間伐材を材料に汎用的な成形法によって加工するため、低コストで量産が可能。消臭性能などの基本性能は金沢大学と共同研究中である。まずは既存の空気清浄機やエアコンの後付け用として販売。その後、あらかじめフィルターを内蔵した商品の開発を目指し、家電メーカーと連携する。
DENTCAM
シェアリアル
木工作家でギャラリーオーナーの青木小波さんが提案するのは、美術品のサブスクリプションサービス「シェアリアル」である。利用者は月々定額の料金を支払えば、多数の作品の中から選んだ絵画や彫刻、工芸品などを自由に展示できる。購入するよりも低コストで美術品を飾ることが可能で、季節や気分に応じて交換も自由だ(料金プランに応じて回数制限あり)。サービス開始は2021年4月を予定。店舗やホテル、モデルハウスなどでの活用を想定している。