Tラボ
最大500万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いた只野さんは、認知症の改善や予防に効果が期待されるサプリメントについて発表した。
高齢化社会の到来により、認知症にかかる人の数は年々増加しているが、世界中を見渡しても認知症に効く医薬品の開発は進んでいない。この難題を解決しようと、只野さんが開発したのが、乳酸菌(EF−2001)と糖成分(1,5−AF)を 組み合わせた新たなサプリメント「まるちぺーすと」だ。
このサプリメントは腸や口腔内で脳機能を低下させる悪玉菌を抑制し、善玉菌を増やすのが特長だ。只野さんが高齢者施設で治験をした結果、軽度の認知症を患う高齢者が摂取すると6カ月後にほぼ正常な状態まで回復し、中等度からやや高度の状態でも正常値近くまで認知機能が改善した。現在、有効性を客観的に評価してもらうため、金沢大学と東京歯科大学で治験に取り組んでいる。
既に国内の医療機関などで販売しており、今後は台湾やベトナムのほか、アメリカでの販売も視野に入れている。只野さんは「健康長寿と医療費削減に貢献したい」と意気込み、2030年に10億円の売り上げを目標に掲げている。
石川県立大学発ベンチャー
馬場さんは雑草や農業残さから都市ガスの主成分であるメタンを生成するシステムを開発した。従来のメタン発酵システムではこれらの植物系原料を分解できなかったが、牛の胃の中で牧草を分解している微生物を用いることで発酵を可能にした。平常時はもちろん、災害でライフラインが途絶えた際でも周辺にある雑草から調理や発電に利用できるメタンを作れることから、防災拠点としての役割が期待される道の駅への設置を目指している。
Solidknit
廣瀬さんは編み地を積層させ、中身の詰まった立体物を作る「ソリッド編み」を独自に考案した。編み物なので、例えば椅子の形に編んだものをほどいて机として編み直すことが可能だ。ソリッド編みを自動化する機械や適した糸の開発を前進させるため、静岡から繊維産地の石川に移住。まずはものづくりが好きな人向けに製作キットを販売して技術を普及、発展させ、「最終的には物体をソフトウェアのようにアップデ ートできるようにしたい」と意気込む。
金沢美大卒の佐藤さんはデザイン、音質、フィット感をカスタマイズできるイヤホン「EARMIND(イヤーマインド)」をD2C※で製造販売する。デザイン部はアーティストが一つずつ手作りしたものだ。アーテ ィストを支援するため事業化した。金沢にフラッグシップショップを開設する構想で、今後はデザイン部を着せ替えられるタイプや補聴器の開発、海外展開も視野に入れる。※ダイレクト・トゥ・コンシューマーの略
東京から珠洲に移住した松田さんは、能登のユズやカヤの実、クロモジ、月桂樹を使った蒸留酒「のとジン」を商品化した。松田さんがこれらの原料を仕入れて一次加工し、ジンの本場イギリスの蒸留所が製造を手掛ける。爽やかな味と香りが特徴だ。国内のほか、蒸留所を通じてイギリスでも販売する。将来的には珠洲に蒸留所を開設するビジョンを描いている。
金沢市内で英語塾を経営する勅使河原さんは、英語でコミュニケーシ ョンを取る保育園「インターナショナルプリスクール」を県内で初めて開設するプランを発表した。好きなことに打ち込める自由時間をふんだんに設けたり、環境問題や地域の課題を英語で学ぶ時間を設けたりして、英語力はもちろん、自ら考え行動する力を伸ばし、世界へ羽ばたく人材を育成する。
(株)喜こころ