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事故防止に向け専門家が助言 安全な労働環境の整備に注力 ~(株)共和キカイ

印刷ページ表示 更新日:2017年9月12日更新

From USERs

各種支援制度の利用者に聞く
ISICOでは、企業の成長をサポートするためさまざまな支援制度を用意しています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。

 

木材加工機を製造する共和キカイでは、平成28年度にISICOの専門家派遣制度を活用し、現場の安全管理の強化に取り組んだ。労働安全コンサルタントに客観的な視点で工場内をチェックしてもらい、改善策を施すことで安全に働くことのできる環境が整い、社員の安全に対する意識も高まっている。現在は品質管理の国際規格の取得を視野に活動を続けており、さらに安全で働きやすい職場の追求に向け余念がない。

安全管理強化の取組事例

黄色のラインは避難経路を表し、工具などを置かないよう徹底する。 写真​ 
黄色のラインは避難経路を表し、工具などを置かないよう徹底する。

クレーンに用のワイヤーやロープのそばには交換の目安となる摩耗や断線の様子を写真で掲示。写真​ 
クレーンに用のワイヤーやロープのそばには交換の目安となる摩耗や断線の様子を写真で掲示。

クレーンに用のワイヤーやロープのそばには交換の目安となる摩耗や断線の様子を写真で掲示。写真
​運転中の巻き込み防止のために設置した防護柵。

4台分の加工を一つのシステムで

共和キカイが主力とする「スーパー白山キャンター」。1台で4台分の機能を備えている 写真 共和キカイが現在主力とするのは「スーパー白山キャンター」と名付けられた製材システムである。これは皮むきした丸太を投入すると柱1本、板4枚を自動的に製材するシステムだ。建材として使えない部分も自動的にチップ化する。海外から独自に調達した3次元センサーの情報をもとに刃物を位置決めし、曲がり具合を考慮しながら無駄のない最適な木取りを実現する。

 このシステムと同じように製材するには、従来であれば、機能の異なる4台の加工機を必要としたが、4台分の加工を一つのシステムに統合したことで、工程数が9分の1に短縮し、稼働時に必要なオペレーターの人数も半分以下となった。
 約7年前に販売をスタートして以降、高機能ぶりが評価され、これまでに北海道から九州に至るまで全国の製材所やハウスメーカーなどに納めてきた。同様のシステムでは国内シェアナンバーワンを誇る。

機械の長大化に伴いヒヤリ・ハットも増加

 そんな同社が現場の安全管理の強化に取り組み始めたきっかけは製造する機械の長大化だった。
 共和キカイではそもそも、板材に自動仕上げカンナを掛けて表面を滑らかにしたり、集成材用に細くカットしたりする複合製材加工機をメインに製造してきた。しかし、平成20年のリーマンショック後、売り上げが落ち込んだことから、板材用の加工機だけでなく、原木から一貫加工できるスーパー白山キャンターの開発に乗り出した経緯がある。
 板材用の加工機の大きさは長さ12メートル、幅2メートルほどだ。これに対し、丸太を自動搬送しながら加工するスーパー白山キャンターは出来上がった材木を積み上げる搬送ラインまでを含めると長さ60メートル、幅40メートルと小さめの体育館ほどの大きなシステムとなる。
 より大きなシステムを製造するようになれば、当然、扱う材料も大きく、重くなる。今までは余裕を持って作業できた工場内のスペースも手狭になり、現場で働く社員が重大事故につながりかねないヒヤリとした思いやハッとする出来事が増えてきた。そこで、事故防止に向け、安全管理の専門家に指導を仰ぎ、改善活動に取り組むことにしたのだ。

一度あった事例は記録と共有図る

 改善活動は昨年8月から今年3月にかけて実施した。労働安全コンサルタントは月に1度、工場内を点検するなどして、安全管理上、問題のある箇所や改善策についてアドバイス。共和キカイではその内容をもとに対策を施し、コンサルタントが次回訪問時にしっかりと改善されているかチェックした。
 例えば、ハード面で言えば、部品加工に用いる研削機では、研磨くずや火花が作業者の目元へ向かうのを防ぐアイシールドが破損したまま放置されていたため、修理した。また、刃物を実際に回して試運転している最中は、誤って何かが巻き込まれたりしないよう周囲に防護柵を巡らせた。
 従来、作業者の感覚に頼って交換していた用具等についても、安全に使えるように、標準化を図った。塗装時に着ける防毒マスクのフィルターであれば、空気中に舞う塗料の濃度と使用時間を考慮して適切に交換するように改め、クレーンに用いるワイヤーやロープであれば、交換の目安となる摩耗や断線の様子を誰もが分かりやすいように写真で明示するといった具合だ。
 改善活動はソフト面にも及んでいる。同社が毎朝行っているK Y(危険予知)ミーティングではこれまで、作業内容とそれに関する注意事項を確認するだけだった。しかし、現在では作業ごとにヒヤリ・ハット事例を記録に残し、一度あったことが二度とないよう、より具体的に注意喚起するように改めた。
 もちろん、改善事項は上記にとどまらない。活動の推進役を担った今村亜喜博専務は「今まで当たり前にやっていた作業にも危険が潜んでいるなど、専門家に指摘されなければ気付けなかったことがたくさんありました。アドバイスを受けて本当に良かったです」と振り返る。

国際認証の視点を取り入れ一層の改善目指す

 安全管理に続き、品質管理でも自己流を改め、客観的な視点を取り入れようと、同社では現在、品質管理の国際規格ISO9001の取得を視野に入れ、準備を進めている。
製造現場における安全管理の向上に力を入れる今村亜喜博専務 写真 当初は労働環境の安全管理に関する国際規格OHSAS(オーサス)18001の取得を目指すつもりだったが、労働安全コンサルタントの紹介で視察に訪れた企業の担当者から「安全管理のベースになるのは品質管理であり、OHSASの前にISOに取り組んだ方がいい」と勧められ、方針転換した。今村専務は、「この企業がISO取得によって残業時間の大幅削減を成功させるなど、働き方や経営の改善につながった点にも大きなメリットを感じた」と話す。
 今村専務は「認証取得が目標ではなく、あくまでも経営や製造の現場にそのノウハウを取り入れていくことが重要」と話し、まずはISOに取り組みながら、さらに経営の質を向上させ、安全に対する意識を高めていく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 共和キカイ
創業・設立 設立 昭和63年5月
事業内容 木材加工機械・製材機械・各種省力機械の製造、販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.95より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.95


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