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ものづくり補助金を活用し設備投資 不良率低減や効率化で競争力をアップ ~太陽キャスト(株)

印刷ページ表示 更新日:2017年7月12日更新

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各種支援制度の利用者に聞く

ISICOでは、企業の成長をサポートするためさまざまな支援制度を用意しています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。

太陽キャストは、溶かしたアルミを金型に高圧で注入するダイカスト工法で鋳物を製造する石川県唯一のメーカーだ。本来、金型のコストが高いダイカスト工法は量産向きだが、同社が得意とするのは独自の「カセットシステム」を用いた多品種小ロット生産である。近年ではISICOのサポートを受け、国の「ものづくり補助金」を積極的に活用しており、新たに導入した設備によって不良率の低減や製造に要するリードタイムの短縮を実現している

金型を部分的に交換 大幅コストダウンを実現

ものづくり補助金を活用して導入したグラファイト加工機と放電加工機 写真 太陽キャストが開発したカセットシステムとは、金型のベースとなる部分を共通化し、キャビティと呼ばれるアルミを流し込む空洞部を持ったパーツだけを、鋳造する製品に応じて取り替える仕組みである。

 金型全体でなく、キャビティだけを製造すればよいため、金型代を最大で50%も低減できる。金型を交換する場合もキャビティだけを取り替えればよく、そのため通常2時間かかる作業を20分程度で済ませることが可能だ。
 ダイカスト工法で作られた製品は強度に優れ、立体的で複雑な形状でも精度よく、美しく仕上げられるのが特長だが、金型のコストが高いため、一般的には車やバイクの部品などの量産用に用いられる。
 しかし、同社のカセットシステムならば、金型代を抑えられる上、金型交換にかかる時間も大幅に短縮できるとあって、製品代は最大で50%も安くなる。そのため、ダイカスト工法によるメリットを生かしながら、50個という小ロットにも対応可能で、同社では医療機器や分析機器、産業機器、映像機器に組み込まれる部品の製造を主力としている。

鋳物内部の空洞 真空処理で激減

 オンリーワンの技術で他社との差別化を図る同社では、さらに競争力を強化しようと国のものづくり補助金の採択を受け、設備の導入に取り組んでいる。申請に当たってはISICOの職員が提出書類をブラッシュアップするなどのサポートを行った。
 「申請書類の作成が苦手で、ISICOの支援を受けられて本当に助かりました。採択の通知が来たときは、うれしくて真っ先に担当職員の方に電話を入れました」。そう笑顔で話すのは同社の城岡正志社長だ。
 ものづくり補助金を活用して、同社が平成27年度に導入したのが金型の内部から空気を吸い出す真空装置である。ダイカスト製品の不良の一つが、「巣」と呼ばれる内部の空洞だ。これは溶かしたアルミ合金を金型に注入する際、空気を巻き込むために起きる不良であり、あらかじめ真空装置によって金型内部にある空気を吸い出した上で、アルミ合金を流し込むことで巣を低減できるというわけだ。
 導入効果はてきめんで、城岡社長は「これまでも、アルミの注入時に金型から空気を抜くための穴を増やしたり、その位置を変えるなど、いろいろ工夫していたのですが、なかなか不良が減らず困っていたのです。真空装置の導入後は、巣による不良率を30%から5%以下へと、大幅に下げることができました」と話す。

30年ぶりに設備を更新 加工スピードが2倍に

太陽キャストが製造するアルミ合金ダイカスト製品 写真 ところで、同社の強みの一つと言えるのが、金型の設計・製造から鋳造、仕上げ、機械加工までを社内で一貫生産する点にある。さらに優位性を発揮するためにはトータルリードタイムの短縮が鍵となるのだが、ボトルネックとなっていたのが、金型の製造工程だった。
 そこで平成28年度に再びものづくり補助金を活用して導入したのが、金型製造に用いる放電加工機とグラファイト加工機である。放電加工機とは、金型にしたい形状を反転させた形の電極と金属の間に放電し、その熱によって金型の形に金属を彫る設備である。グラファイト加工機は放電加工に用いる電極を炭素材料によって作る設備だ。
 同社では従来からこれらの設備を保有していたが、どちらも約30年前の機種だった。これらを最新型に更新することで加工スピードは2倍にアップし、精度も格段に良くなった。
 導入後は、ボトルネックが解消され、トータルリードタイムも短縮し、ある月には従来の1.5倍の注文が来ても、無理なく対応できるようになった。

金型製造の効率化へ 高速加工機を導入

 金型製造をさらに効率化するため、今年9月には金型を切削するための高速加工機を導入する予定で、購入に当たっては一昨年、昨年に続き、ものづくり補助金を活用した。
 同社ではこれまで高速加工機を保有していなかったため、どんな形状の金型も放電加工を用いてきた。しかし、深さのある形状の金型は放電加工が適しているものの、浅い形状であれば切削加工の方が効率的だ。高速加工機の導入後は、金型の形状に応じて、最適の加工法を選択できるようになり、より一層のスピードアップとコストダウンが期待できる。
意欲的に設備投資に取り組む城岡正志社長 写真 このほか、トータルリードタイム短縮策の一貫として、同社では鋳造品を機械加工する際、加工機にワンタッチで脱着できるように改良した。少量多品種生産を手がける同社では、段取り作業も多いが、これによって従来のようにボルトで締めたり、その都度位置決めしたりする必要がなくなり、効率化につながる。この新たな取り組みは、ISICOの支援を受け石川県から中小企業新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けた。これによって、事業資金を低利で借り入れ可能になるなどの支援措置が受けられる。
 「今後はより大きな鋳造品を製造できる設備を導入するとともに、医療・介護、ロボットなど、当社の強みである多品種少量生産を求められる分野で受注を伸ばしていきたい」と意欲を燃やす城岡社長。石川発のオンリーワン技術を武器に、業界ナンバーワンを目指す。

企業情報

企業名 太陽キャスト株式会社
創業・設立 設立 平成22年5月
事業内容 アルミ合金ダイカスト製品・金型の製造

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備考 情報誌「ISICO」vol.94より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.94


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