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【巻頭特集】理事長インタビュー 県内企業の成長を全力サポート 上昇気流を逃さず果敢にチャレンジを

印刷ページ表示 更新日:2017年7月11日更新

【巻頭特集】理事長インタビュー

谷本正憲理事長

ISICOは県内企業の総合的な支援機関として、産学官連携による研究開発や新商品開発、起業、受注・販路開拓など、幅広いニーズに対し、迅速かつきめ細かく対応しています。北陸新幹線の開業効果が持続するなか、県内企業の成長をさらに加速させるため、どのようにサポートするのか。ISICOが果たす役割や今年度から新たに盛り込んだ支援メニューについて、当財団の理事長である谷本正憲知事に聞きました。

北陸新幹線の開業効果が今なお持続している。県経済の現状をどのようにとらえているか。

 日銀金沢支店は6月に発表した金融経済月報で、北陸の景気について「緩やかに拡大している」との景況判断を示している。「拡大」と表現されているのは東海と北陸だけだ。石川県では製造業が軒並み好調を維持しているほか、北陸新幹線金沢開業で観光関連産業をはじめ非製造業にも好況感が及んでいる。
 こうした追い風が吹く状況だからこそ、県内企業の皆さんには、もう一段飛躍するための技術開発や新商品開発、販路開拓に果敢に挑戦してほしいと考えており、こうした企業の取り組みをしっかりと後押しすることが、県経済を支える産業基盤の強化につながる。ISICOとしても、これまで講じてきた諸施策の成果や現場のニーズ等を踏まえながら、縁の下の力持ちとして企業の前向きな意欲を支援していきたい。

石川県の有効求人倍率は高水準で推移し、人手不足感が一段と強くなっている。

 県内企業の経営者の皆さんからは、人材の確保が困難になったとの声が多く聞こえてくる。その背景には景気の拡大があるが、少子高齢化なども相まって、今回の人手不足は一過性のものでなく、当分続きそうだ。産業競争力の維持、強化に人材確保は不可欠であり、UIターンの促進や学生の県内就職支援などを通じて、優秀な人材を確保していきたい。
 U Iターンの促進に向けて、昨年4月に移住や就職の相談にワンストップで対応する「いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)」を開設した。北陸新幹線によって石川と首都圏のアクセスが向上したこともプラスに働き、昨年度は開設前と比べ約8倍となる243名の方が移住する成果を挙げた。今年度はコーディネータを1名増員し、この流れをさらに加速させる。
 このほか、県内企業が事業拡大する際に必要となる高度な専門人材の雇用に対する助成や首都圏のU Iターン希望者の県内企業での就業体験事業にも取り組む。

学生に県内企業へ就職してもらうことも重要だ。

 県内の高校から進学する学生の6割が県外の大学に進学し、その4割がそのまま県外で就職する。こうした学生に県内企業への就職を促すため、学生と企業のマッチングに有効なインターンシップ交流会を拡充する。さらに学生の就職先選びに保護者の意向が強く働いていることから、新たに保護者向けのセミナーも開催する。教育委員会とも連携し、卒業する高校生の連絡先をデータベース化し、県外に進学した学生に対し県内企業の情報提供を行っているところである。
 このほか、女性や高齢者の活用も解決策の一つだ。石川県の女性の就業率は51%で全国第2 位だが、さらに女性が働きやすい環境を整え、就業につなげたい。
 一方、これまで人手に頼っていた仕事を機械化したり、自動化したりして、人材不足を補う方法もある。全国で多くの企業が人材確保に頭を悩ませている現状を考慮すれば、省力化を実現する機械やシステムには大きな需要が見込まれ、それに向けた技術開発も後押ししたい。
 ISICOにおいては、企業の悩みやニーズを把握し、アドバイザーが採用や育成をサポートするほか、高度専門人材の採用や活用方法に関するセミナーを開催し、県やILACなどと連携しながら、企業の人材確保・育成に結びつけていく。

石川県の産業の強みの一つである、ものづくり産業では技術者の高齢化、少子化による後継者不足が進み、技術の継承が懸念される。また、事業承継に悩む経営者も少なくない。

 中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、後継者が見つからずに廃業すれば、これまで蓄積してきた貴重な技術やノウハウが雲散霧消してしまったり、雇用が失われたりしてしまう。これは、地域経済にとって大きなマイナスだ。そこで、中小企業が有する高度なものづくり技術が失われないよう、今年度、「いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)」に「ものづくり産業の基幹技術を未来に継承する企業支援枠」を創設する。加工技術を継承して、自社の加工領域を拡大する意欲ある企業を支援する。
 事業承継について言えば、ISICOでは一昨年10月に「石川県事業引継ぎ支援センター」を設置し、円滑な事業承継をサポートしており、今年度からは新たに3名の専属コーディネータを配置し、事業の引継ぎに係る経営上の問題や課題に、今まで以上に幅広く対応できる体制を整えた。

ISICOでは「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を活用し、地域資源を活用した商品開発、販路開拓を支援している。

谷本正憲理事長 写真 活性化ファンドでは、採択した案件の約9割が商品化に結び付き、中には海外でも評価の高いものもある。今年度は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、大幅に増加が見込まれる訪日外国人客のインバウンド需要の獲得を目指し、「東京オリンピック・パラリンピック枠」を新設した。石川県には伝統工芸や食材など、日本の本当の良さが感じられる地域資源がたくさんある。例えば九谷焼とガラスを組み合わせたワイングラスは外国人にとても喜ばれており、このように、地域資源に別の要素を付け加えることで、新たな魅力を持った商品の開発につながると期待している。
 活性化ファンドを活用して開発した食品や工芸品などは、ISICOが香林坊大和地下1階で運営する「石川のこだわりショップ かがやき屋本店」でPR、販売する。また、東京・銀座にある石川県のアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」では、ISICOの販路開拓アドバイザーが首都圏の専門商社への売り込みを行っている。

海外への販路開拓にはどのように取り組むか。

 海外で販売する場合、いきなり自前で店舗を構えるやり方はリスクが大きい。それよりも信頼できる現地の有力なバイヤーを見つけ、彼らのネットワークを生かして販路を開拓する方が成功しやすいと考える。そこで昨年は、成長著しい東南アジアでの販路開拓を目指し、シンガポールで食品バイヤーを集めた商談会を開催した。今月20日には、北國銀行との共催により、シンガポールで食品バイヤーやシェフを対象としたビジネス商談会を開催する。バイヤーとの商談を重ね、信頼関係を深めていくことにより、県内食品関連企業の海外での販路開拓をサポートしていく。

ISICOの「いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)」では、将来有望な産業分野で革新性の高い技術開発を支援している。

 次世代ファンドでは革新性の高い研究開発を支援しており、中には具体的に製品化への道筋が見えてきた案件もある。まずは一つでも多くの成功事例を積み重ねていくことが大切であるため、製品化・実用化に向けた実証・評価などを支援する制度を設けた。
 とりわけ、機械、繊維、食品、IT、伝統工芸に続き、県経済を支える裾野の広い次世代産業になると期待しているのが炭素繊維だ。昨年度、国のプロジェクトの採択を受け、炭素繊維分野の研究開発拠点となる革新複合材料研究開発センター(ICC)の研究スペースが拡張されることとなった。これにより、より多くの県内外の企業の参画が見込まれ、製品化に向けた動きが一層加速すると考えている。
 このほか、昨今ではモノをインターネットにつなげる「IoT」を有効活用して、ものづくりを革新しようという動きが注目されている。ISICOでも製品開発や生産設備にIoTを導入する企業に対して、次世代ファンド等を活用し、積極的に支援していきたい。

利用者にメッセージを。

 ISICOはいわば県内中小企業のよろず相談窓口である。十二分に活用していただければ企業の成長、発展につながることは間違いない。しかし、そのためにはISICOに任せきりでなく、あらかじめ企業の皆さん方が自分たちの夢やゴールイメージを描くことが大切だ。その上で、具体化に向けてどのように進めていけばよいのかを相談していただければ、ISICOは協力を惜しまない。県内企業とISICOは同じ船に乗り合わせた運命共同体だ。ぜひ積極的に活用していただきたい。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」vol.94より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.94


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