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ゲーム・エンタテインメント領域の研究を6人の専門家がリードする

印刷ページ表示 更新日:2016年12月13日更新

 ZOOM UP  SUPPORTER

ISICOと連携して県内企業の皆さんをサポートする支援機関や研究機関などをご紹介します。

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)では今年4月、新たに「エンタテインメント科学センター」を設立した。同センターでは、楽しく学び、楽しく暮らせる社会の実現に向けた情報技術の研究開発に取り組んでいる。今後はゲームをはじめとするエンタテインメント分野で培った人工知能(AI)や情報処理などに関連する成果をビジネス分野でも活用を促すため、県内企業とも積極的に連携を進める方針だ。

人を楽しませるシステム開発などに挑戦

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 写真 エンタテインメント科学センターには6人の研究者が所属しており、それぞれが人を楽しませることのできるエンタテインメントシステムや人の学習を支援するシステムの研究のほか、ゲーム・パズルの面白さや難しさの数値化、人とコンピュータがより良い関係を築くための自然言語処理や画像処理などに関する研究に取り組んでいる。
 EUが主導し、世界1,300の大学を対象としたランキングで、研究分野の評価がトップクラスに位置づけられるJAISTの中でも、ゲーム・エンタテインメント領域の科学研究費補助金(科研費)の採択率は非常に高い。日本国内を見渡しても、同様の研究を専門にする機関はほとんど見当たらず、ゲームなどのエンタテインメント分野では、まさにトップランナーに位置づけられる研究センターと言える。
 ちなみにセンター長を務める飯田弘之教授によれば、今話題となっているAIも元をたどればチェスを題材に研究が進められた歴史がある。今後もゲーム・エンタテインメント領域の研究成果がビジネス分野に応用される可能性はますます大きくなりそうだ。

サービス向上やものづくりへの応用も

 例えば、人を楽しませて熱中させるゲームの要素や考え方を、教育やビジネスに取り入れることも可能で、飯田教授は既に言語学習プログラムへの応用について研究に取り組んでいる。
 研究の成果が、サービスの向上、効率や品質に優れたものづくりに生かされることも考えられる。実際、AI研究に取り組む池田心准教授は民間企業と連携し、大規模なビルなどで複数台のエレベーターを運行する際、どのように稼働させれば乗客の待ち時間を短縮できるかについて研究している。
 今後、同センターでは産学連携に力を入れていく方針を掲げ、飯田教授は「まずは私たちの研究についてよく理解している学生を中長期のインターンシップで企業に受け入れてもらい、そこで業務の詳細を把握した上で、どのように知見を生かせるのか検討していくと連携がスムーズに進む」と話す。最先端の研究がどのようにビジネスで生かされるのか。今後の成果に期待が高まる。

 SEMINAR  最新のAI研究を解説 ビジネス展開の可能性を探る

約80名が参加し、AIへの関心の高さを伺わせたISPセミナー 写真

ISICOとJAISTは9月27日、石川ハイテク交流センターで平成28年度ISP交流セミナーを開催し、約80名が参加した。当日は「ゲームと人間とAI」をテーマに、JAISTエンタテインメント科学センターの飯田弘之教授と池田心准教授が講演し、人間らしさをどのように表現するかなど、AI 研究の取り組みについて紹介した。

ゲームのスリル感を数値化

スリル感を数値化し、ゲームの洗練度を評価する飯田弘之教授 写真 飯田教授は「エンタテインメント科学の最前線~ゲームを題材として感情を扱う」と題して講演した。飯田教授は、まずチェスや将棋といった思考ゲームを題材に発展してきたAIの歴史を紹介。その上で今年3月に世界トップクラスのプロ棋士に勝利したAIプログラム「アルファ碁」は囲碁に特化しない汎用性を持ったシステムとして設計されていることを指摘し、「その高い性能は現実社会のさまざまな場面で活躍できることを如実に示した」と評価した。
 また、感情を扱うAI 技術の研究の一つとして、約10年前に自身が提唱した「ゲーム洗練度の理論」を紹介した。これはゲームの勝敗が最後まで分からずにハラハラドキドキする“ スリル感” を数値化し、エンタテインメントの本質を説明する理論で、ゲーム洗練度をほどよく調節することで、ゲームにのめり込むような感覚をプレーヤーに感じさせることができる。
 飯田教授は「この理論はビジネスに応用することも可能」と述べ、事例として英語などの言語学習プログラムを挙げた。このプログラムはゲーム性を取り入れることで、最後までユーザーが飽きずに学習できるようになっており、どのようにゲーム性を取り入れるのが最適なのかをゲーム洗練度の指標を使って評価できると説明し、ビジネス分野への活用に期待を示した。

“温かいAI”の実現目指す

人に寄り添う“温かいAI”を研究する池田心准教授 写真 池田准教授は「AIに人間の代わりは務まるか~楽しませる囲碁プログラムの研究より」と題して講演した。池田准教授は「AIが人間よりすごい面があるのは認めざるを得ない」と話す一方、「地震予測や長期的な株価予測など、学習に必要なデータが少ない分野などは苦手」と説明した。
 また、「単に強い、速い、正確というだけでは“冷たいAI”であり、人間の代わりが務まるとは言えない。人間の弱さに寄り添い、人間にやりがいや楽しさを感じさせるような“温かいAI”が必要である」と述べ、研究成果の一つとして、楽しませながら教える囲碁プログラムについて紹介した。これは対戦を重ねてプレーヤーの強さや好みを把握した上で、うまく手加減しながら形勢を制御し、最後には自分の力で勝ったと思わせるように碁を打つプログラムで、モンテカルロ探索というアルゴリズムとAIによる機械学習を活用している。
 池田准教授は、このような温かいAIはゲームだけでなく家電などにも応用できると説明。さらに「AIはあくまで技術であり、どう使うかは人間次第」と話し、例えば、家電でもサービスでも、性能やコストではなく利用者の気持ちを第一に考えた上でAIを活用すれば、よりよいものになると指摘した。

国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 エンタテインメント科学センター
能美市旭台1-1
TEL. 0761-51-1070
(産学官連携総合推進センター)
http://www.jaist.ac.jp/

企業情報

企業名 -
創業・設立 設立 2016年4月
事業内容 -

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備考 情報誌「ISICO」vol.90より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.90


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