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開発力アップを目指し、専門家に指導仰ぐ コンセプトの明確化で、商品を魅力的に ~(有)谷口物産

印刷ページ表示 更新日:2016年12月12日更新

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各種支援制度の利用者に聞く

ISICOでは、企業の成長をサポートするためさまざまな支援制度を用意しています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。

全国各地の観光地などで販売する土産用菓子のOEM製造を手がける谷口物産では、ISICOの専門家派遣制度を活用し、新商品の開発に取り組んでいる。専門家のアドバイスを受けて今年6月に発売した「富士贈答ゼリー」が、予想を大幅に上回るヒット商品となるなど、着実に成果を挙げており、谷口太郎代表は開発力、提案力の強化に確かな手応えを感じている。

富士山周辺の土産店で予想を超える大ヒット

静岡、山梨両県の土産店で販売している「富士贈答ゼリー」 写真 富士贈答ゼリーは、青色と白色の2層が山頂に雪の積もった富士山のように見えるユニークな商品だ。パッケージも富士山を思わせる台形で、お土産として職場などで配ってもらうシーンをイメージし、水引のデザインがあしらわれている。価格は6個入り600円で、富士山の登山客や周辺を訪れる観光客、ビジネス客向けに企画した。
 菓子商社4社を通じ、静岡県と山梨県の土産店や高速道サービスエリア、道の駅、キヨスクなど約100店舗で販売され、今年6月の発売以降、4カ月間で約1万5,000箱を売り上げた。土産用菓子は年間の売り上げが1万箱を超えるとヒット商品とされ、予想をはるかに超える売れ行きに谷口代表も驚きを隠せない。
「当初は年間1万箱を目標に、最低でも5,000箱は売りたいと思っていたので、あまりの人気ぶりにびっくりしています。“面白いものを作ったね”とお客様にも大好評で、提案したその場で注文をいただくこともありました」。

社員が議論重ね開発の方向性を確認

 商品開発をサポートしたのがISICOの専門家派遣制度だ。一口に商品開発と言ってもその手法はさまざまであり、谷口物産では「コンセプトシート」の作成について学びながら開発を進めた。
 コンセプトシートとは、アイデアを発展させ、具現化するにあたって「(購入者層として想定する)ターゲット」「(購入あるいは実際に消費する)シーン」「ベネフィット(主な商品特徴や消費者が得られる価値)」「商品のその他の特徴」「競合商品との差別化」という5項目について、文章や絵図で表したものだ。これを作成することによって、商品の特徴を明確にして社内で共有できる上、企画した商品が市場のニーズとマッチしているかどうかを判断するのにも役立つ。
 富士贈答ゼリーの場合、「世の中でありそうであまりない2色のゼリーを作りたい」「2色であればゼリーを富士山に見立てても面白いのでは」といったアイデアをもとに、営業や試作、製造、品質管理の各部門から選抜されたメンバーで開発チームを立ち上げ、議論を重ねながらコンセプトシートを完成させていった。
 例えば、「ベネフィット」の一つとしては「富士贈答ゼリーがコミュニケーションツールになる」と記されている。これを実現するために、お土産としてもらった家族や職場の人が見た瞬間に「富士山にそっくりなゼリー」と感じ、そこから会話が弾むよう、形や色合いには徹底的にこだわった。

身の丈に合った手法を取り入れる

各部署の社員が意見を出し合い、コンセプトシートを作成する開発会議 写真 そもそも同社がISICOへ相談に訪れたのは、谷口代表が「常に新商品を提案できる企業としてもっと開発力をつけなければならない」との思いを強くしたことがきっかけだった。
 同社はOEMによる菓子の製造を手がけるが、待っているだけで仕事を受注できるわけではなく、能動的な新商品の企画や提案が欠かせない。とはいえ、社内に商品開発やマーケティングを専門に学んだ社員がいるわけでもなく、従来は経営者の思いや営業の声をヒントに何となく作って、売ってみるという流れがほとんどだった。
 感覚に頼るだけでなく、もっと理論的、体系的に商品開発に取り組みたい。そう考えた谷口代表は、まず自らが商品開発やマーケティングを専門書で勉強することからスタートした。しかし、カタカナの専門用語が並ぶ書籍では理論は学べるが、何から手を付ければよいのか分からなかった。その点、「ISICOの専門家派遣では、身の丈に合った手法を分かりやすく教えてもらうことができて助かった」と谷口代表は笑顔を見せる。
 これまでは、営業が考えた商品企画に対して製造現場との調整に時間がかかったり、製造現場からの提案に対して営業とうまく連携できなかったりすることもあったが、各部署のメンバーが顔を合わせ、コンセプトを深く突き詰めていくプロセスを通じて、会社全体で納得感を持って商品開発を進められるようになった。

継続的な支援でステップアップを

 コンセプトシートの作成は実務的な面でも効果を発揮した。例えば、パッケージを制作する際には、デザイナーに谷口物産が求めているイメージを明確に伝えられるようになった。その結果、富士山やその周辺に旅行や出張で訪れた際のお土産であるということを分かりやすく、強いインパクトで伝えられるパッケージに仕上がった。
 商品のコンセプトが明確で、特徴を伝えやすいため、菓子商社への提案もスムーズに進むようになった。
 商品の魅力が高まった成果は価格にも反映されている。土産用菓子では、6個入りのゼリーであれば500円が相場だ。谷口代表の経験上、例えばこだわりの材料を使ったからと600円と値付けすると商社から敬遠され、たとえ販売しても売れないことが多々あった。その点、富士贈答ゼリーは、2層ゼリーや特注したパッケージのコストを織り込んだ600円でも飛ぶように売れており、コンセプトを明確化した魅力的な商品であれば多少価格が高くても売れる手応えを得た。
 今では、顧客から依頼された菓子を製造する際にもコンセプトシートを作成するようにしており、各項目を整理・点検することで改善提案につながるケースもある。
谷口太郎代表 写真 谷口代表は「今回、教えてもらった内容は基本中の基本だと思うので、もう一段ステップアップしたい」と話し、引き続き今年度も同じ専門家の派遣をISICOに要請した。具体的な指導はこれからだが、開発メンバーは「富士贈答ゼリーの成果を先生に報告したい」と今から再会を楽しみにしている。
 富士贈答ゼリーについては、ゼリーの形を崩さず、簡単に皿に移すことのできる包装などの改良を検討するほか、シリーズ展開も視野に入れている。さらに、コンセプトシートを活用して新たな商品開発も進んでおり、開発力の強化に向けた取り組みはますます加速していきそうだ。

企業情報

企業名 有限会社 谷口物産
創業・設立 設立 平成2年11月
事業内容 洋菓子・和菓子の企画・製造など

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備考 情報誌「ISICO」vol.90より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.90


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