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石川県のものづくり企業のIoTに対する取り組みを推進するため、今年6月、石川県情報システム工業会(ISA)の主導で「石川県ものづくり産業等IoT化推進研究会」が設立された。研究会の活動など、これからのIoT化推進への取り組みについてISAの長谷川清会長に聞いた。
一般社団法人石川県情報システム工業会
長谷川 清 会長
(株)PFU代表取締役社長
IoTの活用は欧米で先行し、特にドイツでは国を挙げて「インダストリー4.0」と称する製造業改革を進めています。これはインターネットを介して工場内外のモノを連携させ、製造工程の自動化や効率化を図る取り組みで、日本政府もIoTの活用を成長戦略の柱に位置付けています。
IoTは日本のものづくりの力や国際競争力を強くするキーワードですが、大手企業でIoT化が進む一方、中小企業では緒に就いたばかりで、IoTについてよく理解していない経営者もたくさんいます。このため、石川県の支援をいただき、こうした企業をサポートするために立ち上げたのがこのIoT研究会です。
現在、機械や食品などの製造業、 IT企業を合わせて31社が加入しており、今後も県内企業に参加を呼び掛けていきます。このほか、大学や行政、研究機関、支援機関等がオブザーバー、業界団体がサポーターとして参加しています。
まずはIoTについて理解していただくことが大切と考えています。そこで、セミナーを開催し、IoTを活用して生産改革を手がけた経験を持つ企業の方に先進事例を紹介してもらったり、インターネットを専門とする大学の先生にセキュリティの強化について解説してもらったりしていますが、IoTを導入するには設備投資が必要になるため、セミナーには経営層の方々に参加してもらえるように呼び掛けています。
次の段階としては、それぞれの企業でどのようにIoTを活用すればよいかを具体的に考え、IoT化の推進に向けた意欲を醸成するため、コーディネーターを企業の製造現場に派遣し、ヒアリングやアドバイスを行っており、既に三十数社を訪問しています。実際にIoTを活用したい企業に対しては、IT企業とのマッチングを図るほか、資金的なサポートが必要であれば、ISICOさんの次世代ファンド等を活用して支援していきたいと考えています。
自社の製造現場のムリ・ムダ・ムラを解消することは、品質の安定やコストダウン、生産力の向上に役立ちます。また連携する企業同士がお互いのインターネットを使って工程を把握したり、それを元に稼働状況を制御したりすれば、合理化や在庫の縮減が進みます。大手企業から見ればこうした連携体は魅力的で、受注の増加も見込めます。さらにサプライチェーン全体を一つのネットワークで一元管理できれば、一層の効率化が期待できます。もちろん、製造現場だけでなく、オフィスワークやサービス業にも応用が可能であり、働き方の改善につながる可能性もあります。
IoT化の推進は、ものづくり企業の競争力を強化し、付加価値を高めます。研究会では、IoTに取り組む企業にとっての入り口の役割を果たし、地場産業全体の活性化につなげる考えです。ぜひ積極的に参加していただきたいと思います。
企業名 | 一般社団法人 石川県情報システム工業会 |
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創業・設立 | 設立 昭和61年4月 |
事業内容 | - |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.90より抜粋 |
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掲載号 | vol.90 |