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ISICOと連携して県内企業の皆さんをサポートする支援機関や研究機関などをご紹介します。
企業の成長に欠かせないのが、時代のニーズをとらえた新技術、新商品の開発である。一方で企業単独では技術や人材、設備に限界があるのも確かだ。そこで、意欲ある企業をバックアップしようと4月1日、国内最大規模の公的研究機関である「産業技術総合研究所」(産総研)が石川県内に拠点を開設した。今後、県内企業と連携を進め、豊富な研究成果や技術的な知見をもとに技術開発を後押ししていく考えだ。
産総研は産業を支える科学技術の研究を総合的に行う研究機関である。エレクトロニクスや材料・化学、エネルギー・環境、情報・人間工学など、研究領域は幅広く、茨城県つくば市をはじめ全国10か所の拠点で約2,300名の研究者が活動している。
この産総研が石川県工業試験場内に開設したのが「石川サイト」だ。石川サイトには産総研と企業の橋渡し役を担うイノベーションコーディネータ(IC)3人が配置されたほか、県工業試験場の職員5人もICに委嘱された。産総研のICは毎週木曜、金曜を中心に週2日ほど駐在し、県工業試験場のICは常駐する。
ICはそれぞれ機械や繊維、ものづくり、ナノテク、材料などの専門知識を持ち、企業を訪問して技術課題の解決に向けたアドバイスを行う。また、県内企業の要望や課題を見極めた上で、最適な技術やノウハウを持つ研究者とマッチングし、技術開発や商品開発につなげる。
また、有望な研究開発案件に対しては、中小企業庁の「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)」、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業」といった国等の公的研究開発資金の獲得を目指す。
産総研の最大の特徴は幅広い研究領域にある。例えば、県が次代の石川を支える産業の柱として期待をかける炭素繊維についても長年の研究実績がある。企業から寄せられるさまざまなニーズに対して的確に応えることが可能で、連携するのにふさわしい研究者が見つかるというわけだ。
石川サイトの上席IC の尾崎浩一氏は「石川サイトが窓口となり、オール産総研としてバックアップしていきたい。石川には加工機械やメカトロの分野で素晴らしい技術を持つ企業が多い。そうした企業が強みを伸ばし、成長するために貢献したい」と腕まくりする。
さらに、産総研つくば本部の地域連携推進部内では中小企業との連携の専門家である産業技術指導員等4人が「北陸チーム」を結成。石川をはじめ、北陸のものづくりの特徴をよく把握した上で、集中的に連携を推進する予定だ。
石川サイトに配置されたICで産業技術指導員も務める粂(くめ)正市氏は「石川県の企業は奥ゆかしく、全国シェアのトップクラスを誇る技術を持っているのにPRしていないことも多い。まずは多くの企業を訪問して技術力を把握し、その後、連携に向けて産総研と企業のパイプを太くしていきたい」と意欲を示す。
石川サイトの開設は国において東京一極集中を是正する観点から、政府関係機関の地方への移転について検討が行われ、その際に県からの働きかけによって実現した。産総研が企業との連携を視野に地方都市に拠点を設け、ICを配置するのは日本海側では初めての試みだ。
こうした取り組みについて知ってもらうため、石川サイトではISICOが5月19日から3日間、県産業展示館2号館で開催した「ビジネス創造フェアいしかわ」で展示ブースを構え、来場者に産総研の研究実績などをアピールした。
「社内では解決困難な課題があるので産総研の力を借りたい」など、利用を希望する企業は、石川サイトのホームページに問い合わせフォームが用意されているので、ぜひ活用してみてほしい。
また、石川サイトでは産総研の研究者が県内産業の特徴に合わせて最新の研究成果を披露する発表会やセミナーなどを開催する予定で、企業にとっては新たな知見が得られるまたとない機会となりそうだ。
MESSAGE 4月21日には地場産業振興センターで「石川サイト」の開設記念式典が開かれた。当日は産総研や石川県、地元企業の関係者ら約100人が出席した。産総研の中鉢良治理事長のあいさつの要旨を以下に紹介する。
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企業名 | - |
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創業・設立 | 創業 |
事業内容 | - |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.88より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.88 |