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【巻頭特集】理事長インタビュー 県産業の一層の発展へ 強みと個性をさらに伸ばす

印刷ページ表示 更新日:2016年7月22日更新

【巻頭特集】理事長インタビュー

北陸新幹線の開業効果を追い風に

ISICOでは、新事業の創出や新商品開発・技術開発、受注・販路開拓などに取り組む企業を、経験豊かなスタッフが多彩な支援メニューでサポートしています。今年度も利用者のニーズにきめ細かく応えると同時に、北陸新幹線の開業効果を十分に生かしながら、県内企業の強みと個性をさらに伸ばしていくため、積極的に支援に取り組みます。県産業の目指す方向性やISICOが果たす役割について、当財団の理事長である谷本正憲知事に聞きました。

北陸新幹線金沢開業から1年が経過した。
県経済への影響をどのようにとらえているか。

理事長(石川県知事) 谷本正憲 観光関連産業をはじめ、小売業や流通業、サービス業などで好影響が出ている。また当初は首都圏とのアクセスが良くなることで県外企業が石川に設置していた支店・営業所を閉鎖するのではないかと心配したが、新たに50社以上が支店・営業所を開くなど、幅広い分野でプラスの効果が見られる。こうした効果も追い風に、県経済は回復を続け、有効求人倍率や鉱工業生産指数も全国トップクラスを維持している。
 北陸新幹線は今後、敦賀までの延伸工事が本格化し、県内だけでも7年間で約4,000億円の公共投資が見込まれ、県経済を押し上げる好材料になると考えている。
 新幹線開業効果を十分に活用し、成長する産業づくりを進めていくため、ISICOとしては、県内中小企業の中核的支援機関として、これまで講じてきた諸施策の成果や現場のニーズ等を踏まえながら、積極的に支援していきたい。

景気の回復を背景に、特に中小企業で人手不足感が増している。
産業人材の確保、育成をどのように支援するか。

 石川へUターン、Iターンしたい、石川で働きたいと考える人のために、住まいや仕事探しをワンストップで支援する「いしかわ就職・定住総合サポートセンター」(ILAC)を4月に金沢市内に開設し、東京にも窓口を設けた。開設から約2カ月で250件ほどの相談が寄せられ、滑り出しは上々だ。今後、県内企業の技術力の高さや住環境の良さをしっかりとアピールし、企業の人材確保につなげていきたい。
 また、県内高校を卒業して県外大学へ進学する学生が60%を占め、このうち40%の学生はそのまま県外で就職している。Uターン就職を増やすため、県では県外大学12校と就職支援協定を結んで、石川県出身の学生に就職情報や県内企業の魅力などの情報提供を強化している。今後は協定校を拡大させ、さらに多くの学生に情報提供していくほか、進学者の多い東京・大阪・名古屋で、学生と県内企業の若手社員との交流会を開催するなど、Uターン就職の促進に取り組んでいく。
 一方、県内高校から県内大学へ進学した学生の25%は県外企業に就職している。県内大学で学ぶ県外出身者ではその割合は85%にも上る。そのため、インターンシップ(就業体験)を受け入れる県内企業と大学生をマッチングする交流会を拡大するなどして、県内就職率の向上に取り組んでいく。

ものづくり企業で研究開発や新製品開発を担う人材の獲得も課題の一つだ。

 県では、理系大学院の修了生が県内の中小企業に就職した場合、奨学金の返済を助成する制度を創設する。既に理系大学院を修了し、県外企業で働く社会人が県内企業に転職する場合も対象とし、専門性の高い優秀な人材を確保するための呼び水としたい。
 ISICOでも県、ILACなどと連携し、高度専門人材の採用や活用方法に関するセミナーを開くなどして、企業の人材確保、育成を支援する。

北陸新幹線による首都圏へのアクセス向上は、ビジネスチャンスの拡大につながる。
首都圏で販路拡大に挑む県内企業をどう後押しするか。

 平成26年10月、東京・銀座にオープンしたアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」は、おかげさまで販売も好調で、利用者からも好評を得ている。今後、利用者の満足度を一層向上させるとともに、ここを拠点に首都圏の百貨店や専門店へ販路を広げられるようにしたい。
 また、ISICOでは全国のバイヤーを一堂に集めた商談会を首都圏で開催するなど、県外への販路開拓に力を入れている。香林坊大和で運営する「石川のこだわりショップ かがやき屋本店」も新商品をPR、販売するだけでなく、百貨店や商社とのビジネスマッチングの場として活用している。これからもこうした取り組みを通じて地域資源を活用した商品を発信し、販路拡大をサポートする。

受注拡大を狙うものづくり企業に対する支援は。

 これまでも、県内企業の優れた技術や工法を大手メーカーなどに売り込むための技術提案型展示商談会や受注開拓懇談会を開催し、着実に商談成立につなげてきた。中でも県内受注企業と県外発注企業が一堂に会し、商談する受注開拓懇談会は全国的にも珍しい取り組みだ。名刺交換から始まる泥臭いやり方だが、県外企業からは、県内企業がどのような技術を持っているのか、あるいは信頼できる相手かどうかをフェース・トゥ・フェースで確かめられると好評だ。県内外から企業を集めるノウハウはISICOが長年培ってきたもので、よそではまねできないと自負しており、今後も地道に続けていきたい。

国内市場が縮小する中、国際展開を目指す企業への支援も重要だ。

 成長著しい東南アジアは生産拠点としても、マーケットとしても有望だ。そこで、県では東南アジア各国とのアクセスが良く、情報が集まるシンガポールに事務所を設け、市場動向や貿易手続きに関する情報提供、商社・バイヤーなど現地取引先の紹介などを行っている。
 また、石川県の大きな魅力の一つである食文化を海外に広く発信するため、ニューヨーク、シンガポール、ミラノで県産食材を使った料理や地酒を伝統工芸品の器で提供する食文化提案会を開催してきた。今年は取り組みを一歩進め、9月にイタリア・トリノで開催される、世界最大規模の食の見本市に日本の地方自治体として初出展する。同時に、スローフード協会の幹部や現地のバイヤーを石川県に招へいするなどして、県内の生産者や食品企業の欧州での販路開拓を後押ししていく。

ものづくり産業の集積や高い技術力といった強みをさらに磨きあげていくことも必要だ。

 ISICOでは地元金融機関の協力を得て、「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」と「いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)」という2つの基金を設け、合わせて600億円という全国でも類をみない規模で、企業の積極的な取り組みを支援している。活性化ファンドでは新技術・新製品開発を支援しており、商品化に結びついた案件は約9割と非常に高く、中には海外でも評価の高い商品も生まれている。次世代ファンドでは革新性の高い研究開発を支援しており、重点支援分野の一つが炭素繊維だ。石川が複合材の加工技術を確立し、自動車・航空機産業が集積する東海地区と連携して、炭素繊維複合材の世界的な生産・加工地域を形成するコンポジットハイウェイ構想の実現を目指している。今年はドイツの炭素繊維複合材の研究開発拠点であるCFKバレーとの技術交流を進め、構想の実現に向けて取り組みを加速させたい。

今年4月には産業技術総合研究所(産総研)、6月には情報通信研究機構(NICT)が県内に連携拠点を開設した。

 どちらも日本海側に連携拠点を設けるのは初めてで画期的なことである。産総研は国内最大級の公的研究機関、NICTは情報通信分野を専門とする唯一の公的研究機関で、いずれも優秀な研究者が多数在籍している。今回の連携拠点の設置を契機に、ISICOでもこれらの機関と連携を密にし、県内企業の商品開発や技術革新、ニッチトップ企業の育成を支援していきたい。

中小企業の後継者問題が深刻化している。

 後継者が見つからずに廃業すれば、その企業が蓄積してきた貴重な技術やノウハウ、雇用の場が失われ、県の産業にとっても大きな損失となる。そこでISICOでは昨秋、「石川県事業引継ぎ支援センター」を設置し、相談体制を強化した。親族や従業員への円滑なバトンタッチはもちろん、第三者への事業引継についてもしっかりとサポートし、後継者問題に幅広く対応していく。

利用者にメッセージを。

 ISICOは平成11年の創設以降、県内企業の総合支援機関として、企業の皆さまのさまざまなニーズに柔軟に、かつ迅速に対応してきた。今後も、本県経済の基盤をなす中小企業の発展に向け、県との緊密な連携のもと、経験豊富なスタッフが県内企業をしっかりとサポートしていく。決して敷居は高くないので、お気軽にご相談いただきたい。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」vol.88より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.88


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