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椅子再生事業の強化へ カメラ付き自動裁断機を導入 ~(株)エフラボ

印刷ページ表示 更新日:2016年4月6日更新

新たなる挑戦

いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)や国のプロジェクトを活用したり、知的財産権に関する取り組みなどを行い、成果を上げた企業を紹介します。

今年1月に導入したカメラ付き自動裁断機。柄物の生地の裁断が格段にスピードアップした。 写真椅子の修理・張り替えを専門に手がけるエフラボは、今年1月、県の次世代産業創造ファンド製造技術強化支援事業の助成を受け、カメラ付き自動裁断機を導入した。修理の際、座面や背面に張る生地の微妙なゆがみを自動的に補正した上で裁断してくれる優れもので、手作業では難しい複雑な柄の入った生地の裁断に重宝している。導入によって、効率化やコストダウンが進み、首都圏の高級ホテルなどからの受注増につながっている。

柄物の生地を正確に裁断 作業時間も大幅に短縮

 椅子の修理に使われる生地はロール状で納められることから、微妙にゆがんでいる。無地の生地であれば問題ないが、柄が入った生地の場合、そのまま裁断して椅子に張ると、真っすぐに配置されるべき柄が斜めになってしまったり、座面と背面で柄が合わなかったりときれいに仕上がらない。
 柄物の生地の裁断は従来、ゆがみを目で確認しながら手作業で行っていたが、熟練した職人でも時間がかかる難しい仕事だった。そのため、無地の生地を使う場合に比べ、修理費用も高くついた。顧客のニーズに応えてコストを抑えるために自動裁断機で裁断すると、柄がきれいに配置されず、クレームを受けることもあった。
 今回、エフラボが導入したのはアパレル用に開発されたカメラ付き自動裁断機だ。カッターの近くに取り付けられたカメラが柄のゆがみを読み取り、ミリ単位で調整して裁断できるほか、ボタン一つで操作が可能だ。その結果、裁断時間は手作業に比べて3分の1以下に短縮されたほか、コストも約10%低減し、無地の生地と同じ作業費で修理できるようになった。
 型紙のデータを裁断機に保存しておけるため、後日、同じ形の椅子の修理を受注した際、効率的に作業できる点もメリットだ。

経済的な再生利用のニーズ高まる

松井正尚社長と木村元伸取締役工場長 写真 同社が手がけるのは、ホテルやレストラン、公共施設、劇場、ホールなどで使われる椅子の修理である。9年前の会社設立以降、受注は着実に増加し、現在は月間2,000脚以上を修理する。
 受注が増える背景には、椅子の再生利用に対するニーズの高まりがある。高級ホテルなどでは一脚20~30万円という高価な椅子を使っていることも珍しくなく、新品を買うよりは修理する方が経済的だ。「まだ使えるのに捨てるのはもったいない。廃棄するにも費用がかかるので再生してほしい」「日本の職人が作った古い椅子の方が、海外製の新品より品質が良いので使い続けたい」といった要望も多い。
 一方で、修理の担い手が少ないという現状もある。かつてはインテリアをメンテナンスする専門スタッフを置くホテルもあったが、現在では少なくなってきた。新品を作る家具メーカーも修理に関するノウハウを持つ企業は少なく、中には海外に工場を移転させてしまい国内に技術が残っていない場合もある。
 また、国内に家族経営の小規模な修理業者はたくさんあるものの、そういった企業ではまとまった数を受注できない。その点、エフラボならば37人の社員に加え、旧田鶴浜町の伝統産業である建具作りで技術を磨いた地元のシルバー人材を活用し、規模の大きい案件はもちろん、生地の張り替えにとどまらず、木部の修理や塗装、クッション材の補修まで、幅広いニーズに応えられる体制を整えているというわけだ。

高級ホテルから受注増で裁断機はフル稼働

椅子の修理は多品種小ロットの受注が多い。椅子の張り替え作業の様子 写真 エフラボの取引先の中でも、とりわけ柄物の生地をよく使っているのが高級ホテルだ。シェラトンホテル、ウェスティンホテル、プリンスホテルなど、同社では高級ホテルの椅子を数多く扱った実績がある。カメラ付き自動裁断機の導入によって、これまで以上に高級ホテルからの注文が増え、今年1月に納入後、裁断機はフル稼働の状況が続いている。
 松井正尚社長によれば、椅子の修理は工程のほとんどを手作業に頼るが、裁断は数少ない機械化できる作業であり、「裁断機をさらに2台増やしたい」と設備投資に意欲を示す。
 また、カメラ付き自動裁断機の導入を機に力を入れたのが、大量受注時の小規模な修理業者との連携だ。
 これまでも無地の生地であれば、何枚も生地を重ねて一度に機械で裁断できるため、修理業者に裁断済みの生地を提供し、社内で手が回らない分の縫製や張り込みを手伝ってもらうことがあった。1枚ずつ時間をかけて裁断する柄物の生地の場合、こうした連携はできなかったが、カメラ付き自動裁断機の導入によって、裁断スピードが格段に速くなったことで、柄物でも同様の取り組みが可能になり、より大量の受注、短納期での納品に対応できるようになった。

海外のリゾートホテルも将来のターゲットに

 さらに受注を増やそうと販促活動にも力を入れている。国際ホテル・レストラン・ショーへの出展は今年で4年連続となる。昨年4月には東京に営業スタッフを常駐させた。
 「直接の取引が増え、よりお客様の要望を詳しく聞けるようになりました」と木村元伸取締役工場長は話し、顧客の声を提案に生かしてきたいと腕まくりする。
 新たな動きとしては、大手総合事務用品メーカーとの取引も紹介しておきたい。新品が売りにくい時代において、再生需要に応えて他社との差別化を図りたいとの要望を受けて実現したもので、現在は週1回、トラックの定期便を運行し、同社が受注した椅子の修理を請け負っている。
椅子の塗装作業風景。ほとんどが手作業で行われる。 写真 2020年に開催される東京オリンピックを視野にリフォームするホテルが多く、松井社長は今後、椅子の再生事業もますます受注が伸びていくと見込んでいる。これを好機ととらえ、「椅子は再生すれば、新品同様に価値を戻せることを多くの人に知ってもらい、オリンピック需要が一段落した後も受注が継続するようにしたい」と松井社長。将来的には、国内にとどまらず、ハワイやグアムなど、海外のリゾート地にあるホテルにも取引を広げたいとビジョンを描いている。

企業情報

企業名 株式会社 エフラボ
創業・設立 設立 平成19年6月
事業内容 椅子の修理、張り替え、特注家具製作

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備考 情報誌「ISICO」vol.87より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.87


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