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ISICOが香林坊大和(金沢市)の地下1階食品売り場で運営する「石川のこだわりショップ かがやき屋本店」が3月4日でオープンから1周年を迎えました。3月2日から22日にかけては記念イベントとして「1周年祭」を開催。新作スイーツなど期間限定商品を販売したほか、購入金額に応じて、県内企業が開発した商品をプレゼントしました。今回の特集では、かがやき屋本店のこの1年の成果を振り返ります。
かがやき屋本店では約40平方メートルの売り場に、石川県産の食材を使った菓子や食品、飲料を中心に県内企業84社が開発した約500アイテムを販売しています。通路側には、事業者が試食品を提供したり、実演販売して消費者の反応を確認できる「チャレンジコーナー」も設けています。クリスマスやバレンタインデーなどでは、事業者に季節のイベントにふさわしい商品の出品を呼び掛け、特設コーナーで販売しました。
かがやき屋本店で販売する商品は、自宅用はもちろん土産、中元、歳暮、引出物など、幅広い用途で利用されています。売れ筋となっているのは手ごろな価格の菓子や総菜です。例えば、金沢寿屋の「胡麻煉羹(ごまれんかん)」、フジセイカの「甘えび煎餅(せんべい)」、加賀守岡屋の「焼きいなり」、プルミエールの「シューラスク」、新海塩産業の「珠洲の塩」といった商品が特に人気となっています。とりわけ、商品が個別に包装されていてお土産として使いやすいものが好まれています。
一方で日持ちのしないスイーツや高額商品は苦戦しています。これは、かがやき屋本店には冷蔵ショーケースがなくスイーツをPRしにくい、あるいは高額商品にふさわしい視覚に訴えかけるようなディスプレー、演出が難しいためと考えられます。
中小企業の支援機関が地元百貨店と連携し、常設のアンテナショップを設けるのは、全国的にも極めて珍しい取り組みです。
狙いの一つはISICOがいしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)で支援して開発された素材や製法にこだわった新商品をPRし、販促につなげることです。金沢市の中心市街地に立地し、集客力のある百貨店にショップを構えるかがやき屋本店には、この1年間でおよそ4万人が来店。地元客にはリピーターも多く、同じ商品を何度も買い求める固定客もいます。
最近では知名度のある定番商品ではなく、地元産素材を使って新開発されたユニークな商品や、金沢ではここでしか買えない商品があるとの評判が広まり、土日やお盆期間、年末年始には観光客や帰省客の姿も増えています。
かがやき屋本店への出品を機にメディアに取り上げられることも多く、それによって売り上げが急増するケースもあります。
消費者から直接聞いた意見やつぶやき、評価などを商品の改良につなげてもらうことも目的の一つです。
例えば、ある総菜商品では「家族が別々に食事をする機会が多い」というニーズを参考に、小容量化を進めました。「商品はおいしいが、パッケージが魅力的でない」という声を聞き、ISICOの助成事業を活用してデザインを見直した事例もありました。
かがやき屋本店はビジネスマッチングの場としても活用されています。これまでに、大手百貨店や商社のバイヤー、流通業者、レストラン・ホテル関係者、雑誌編集者などが視察。出品されている商品の改良に向けてアドバイスが送られるほか、商談が進んでいる案件もあります。
また、東京に常駐するISICOの販路開拓アドバイザーが首都圏の百貨店や専門店などとマッチングを図っています。石川県が東京・銀座に設置するアンテナショップ「いしかわ百万石物語・江戸本店」とも連携し、人気のある商品や首都圏で高いニーズが見込める商品については、同店に取り扱いを推薦しています。
このほか、大和では表示や品質管理、衛生管理の専門家が商品を定期的にチェックするため、出品者にとっては消費者から誤解を招かない表示方法など今までにない指導を受けられる点もメリットとなっています。
「県内企業が開発した商品の魅力を発信するため、さらに運営に工夫を凝らしていきたい」。開店2年目に突入し、そう抱負を述べるのはISICO販路開拓アドバイザーで、かがやき屋本店の店長を務める山下英明です。
出品の申し込みは随時、受け付けていますので、かがやき屋本店で商品を販売してみたい事業者の皆さまはぜひお申し込みください。
【お申し込み・お問い合わせ】
(公財)石川県産業創出支援機構 販路開拓推進部販路開拓課
TEL. 076-267-1140
「シューラスク」という洋風かりんとうを出品しています。小規模企業が独自に販路を開拓するのは難しいですから、かがやき屋本店で販売してもらえて、とてもありがたいですね。売れ行きがよかったので「いしかわ百万石物語・江戸本店」で販売するチャンスにも恵まれました。プレーンな味に加え、加賀棒茶味やイチゴ味など、ラインアップを増やした際も、かがやき屋本店などから得られる消費者の声が参考になりました。次は加賀丸いもを使ったマドレーヌについての声が聞ければと思っています。
洋菓子工房
プルミエール(加賀市)
店主
薮谷浩蔵さん
海水から作った「珠洲の塩」を出品しています。昨年はNHK連続テレビ小説「まれ」と北陸新幹線開業の影響で、観光客から「金沢で珠洲の塩が手に入りますか」と多くの問い合わせをいただきました。そんなときはかがやき屋本店をご案内できるので、助かりました。また、金沢の料亭の料理人がかがやき屋本店で商品を購入し、その後、珠洲に足を運んでくれたこともあり、関心を持ってくれる人が増えたと実感しています。現在、6種の塩を販売しているのですが、さらに充実させていきたいですね。
(有)新海塩産業(珠洲市)
代表取締役
小谷内祥治さん
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.87より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.87 |