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【巻頭特集】中小企業の人材確保・定着へ成功のヒントを探る CASE 02 働きやすい職場づくりでワークライフバランスを推進 ~共和電機工業(株)

印刷ページ表示 更新日:2016年3月7日更新

【巻頭特集】中小企業の人材確保・定着へ成功のヒントを探る

少子高齢化によって労働力人口が減少する中、人手不足や離職率の高さに頭を悩ませている中小企業は少なくない。企業の成長や新たな事業展開を支える人材の確保は、重要な経営課題の一つと言えるだろう。そこで今回の特集では、人材難を解消するために積極的な取り組みを敢行し、採用や定着率アップにつなげた2社の事例を紹介する。

採用が難しければ今いる社員を大切に

工場内で生き生き働く女性社員の写真 「新卒採用に力を入れようと思っても、中小企業にはなかなか人材が集まりません。それならば、縁あって入社してくれた人に長く続けてもらえるようにと、働きやすい職場づくりに取り組んでいます」。
 そう話すのは電子機器などを製造する共和電機工業の杉村昌則総務部長である。杉村部長の言葉通り、同社では育児休業制度や短時間勤務制度など、ワークライフバランスの充実を目指して職場環境を整備するほか、障害者雇用にも力を入れる。
 こうした取り組みが実を結び、離職率が着実に低減。さらに、知名度や企業規模、賃金よりも、長く安心して働ける環境を整備したことから、大手企業からも内定をもらっていた女子大生が同社に入社を決めるなど、採用活動にも明るい兆しが見え始めている。

出産や育児で仕事を諦めてほしくない

定時に退社し、子育てや家事を手伝い、自ら“イクボス”を実践する杉村昌則総務部長 写真 例えば、同社では最大3年まで育休を取得できるようになっている。これは出産間近の女性社員から、「(それまで就業規則で定めていた)1年で復帰できるか不安」との声を受けて見直したケースだ。
 また、育休から復職した社員を対象とした短時間勤務制度も、従来は子どもが3歳になるまでだった利用期間を、小学4年生に進級するまでに延長した。この制度では勤務時間を30分単位で設定することができる上、月ごとに変えることも可能で、子どもが夏休みの時は他の月よりも勤務時間を短くするなど、家庭の事情に合わせ、フレキシブルに働き方を選べるようになっている。
 杉村部長は「出産や育児はハッピーな出来事。それによって仕事を諦めることがないようにしたかった」と制度見直しの狙いを話す。
 共働きの母親同様に、子どもの急病などで職場を離れることの多いシングルマザーも門前払いにせず、人物本位で採用。杉村部長は「むしろ一家の大黒柱としての自覚が強く、仕事熱心な人が多い」と評価する。
 ユニークな取り組みとしては、「まごサポ制度」がある。これは社員の子どもが出産した際、孫や出産した子どもをサポートするために利用できる短時間勤務制度だ。杉村部長は「同居したり、近くに子どもが住んでいたりすることの多い石川ならではの制度」と胸を張り、「昨年は2名が利用しました。希望者は65歳まで働けますから、制度利用は今後も増えると思います」と話す。
 障害者の雇用にも力を入れる点も特徴の一つだ。現在は聴覚障害者ら7人が健常者と同一の業務内容、賃金で働いている。障害者雇用率は法定雇用率の2%を上回る4.5%だ。
障害者の仕事ぶりは健常者の社員にもプラスの刺激を与えている子育てに頑張る男性社員などを取り上げた社内報 写真 障害者雇用に関する知識も経験もなかったが、職場づくりに工夫を凝らしたことから、健常者と同様の貴重な戦力として加えることができた。例えば、長文で書かれた手順書が理解できない人がいれば、作業内容を細分化した上でそれぞれを簡潔に記し、単語カードのように1枚1枚めくりながら使う手順書を作った。手順書は従来よりも分かりやすくなり、新入社員研修や高校生のインターンシップでも役立っている。
 家族を巻き込んだことも成功の秘訣だ。杉村部長は障害者の家族に業務内容や上司のコメントを書き込んだ作業ノート、直筆の手紙で頑張りぶりを伝えるほか、家族を職場見学に招くこともある。家族の会社に対する理解が深まれば、本人が仕事で悩んだり、落ち込んだりしている時も力になってくれるからだ。

学生との対話で企業姿勢を伝える

 採用活動では、景気の良し悪しに関係なく高卒女子を毎年2、3人採用。インターンシップを受け入れる際には先生に卒業生の成長ぶりを見てもらう。こうした取り組みを継続することで高校との信頼関係が強まる上、会社の雰囲気に合った生徒を紹介してくれるようになるので、雇用のミスマッチも起きないという。
 例年苦労している大卒者の採用に関しては、昨年初めて合同説明会に参加した。説明会では一方的に会社の情報を説明するのではなく、車座にいすを配置し、学生の不安や疑問に徹底的に答えるスタイルで、じっくりとコミュニケーションを図った。その結果、ワークライフバランスを重視する企業の姿勢に共感した4人の採用につなげることができた。
 採用活動の展開にあたってはISICOのアドバイザーからたびたび助言を受けた。「一人で悩むことも多いが、相談に乗って背中を押してくれたり、他社の人事担当者と交流する機会を作ってくれたりと、力になってくれた」と杉村部長。人材の採用や定着は「一人ひとりに目配りし、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応していくことが重要」と指摘し、気持ちの良い職場づくりに向け、情熱を燃やし続けている。

企業情報

企業名 共和電機工業 株式会社 
創業・設立 創業 昭和21年3月
事業内容 電気・電子機器、産業機械用制御装置、自動化システムの設計・製造・メンテナンス

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備考 情報誌「ISICO」vol.86より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.86


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