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山中漆器の技術生かしたバス用品 4年で売り上げは2.5倍に ~(有)素地のナカジマ

印刷用ページを表示する更新日:2016年1月5日更新

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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。

山中漆器の素地用に樹脂成型を手がける素地のナカジマでは、これまでに培った技術を盛り込み、新たなバス用品ブランド「SO-QSTYLE(ソーキュースタイル)」を開発した。従来品とは異なるデザインや質感で人気を呼び、インターネットや全国展開の雑貨店での販売を強化しており、順調に地歩を固めている。

蒔絵(まきえ)や盛絵(もりえ)、乾漆(かんしつ)の技法でデザイン性を高める

多種多様なタイプをそろえる「SO-Q STYLE」。好みや浴室のデザインに合わせて選べる 写真 「SO-Q STYLE」は、詰め替え用のシャンプーやコンディショナー、ボディソープを入れるボトルを主力に、ソープディッシュ、歯ブラシスタンドなど、風呂や洗面台で使うものを中心に約300アイテムをそろえている。最大のセールスポイントはデザイン性の高さだ。木目調のシックなタイプや、カラーバリエーション豊かなポップなものなど、種類はさまざまで、樹脂そのものの色を使うことの多い従来品とは一線を画している。
 違いを生み出すのは、同社が携わってきた山中漆器の技術である。例えば、樹脂製のボトルに蒔絵柄のスクリーン印刷を施し、そこに金粉や色粉をふることで、花びらの繊細なグラデーションを鮮やかに描くことができる。また、スクリーン印刷の際に塗料を盛り上げる盛絵でアクセントを加えたり、つるつるとした樹脂に乾漆の技法でざらっとした質感を持たせたりすることも可能だ。商品の中には山中漆器の柄をデザインしたものも多く、伝統産業の技法を取り入れ、高級感を付加しているのが特徴だ。
 SO-Q STYLE のシャンプーボトルの価格帯は1,600円~2,500円。800円以下で販売されることの多い他社製品に比べると、高めに設定されているものの、ハイセンスなアイテムが並ぶ雑貨専門店やショッピングサイトなどで好調な売れ行きを見せている。「多少高くても好みに合う身の回り品をそろえたい人は増えている。平成23年の販売開始から4年、10代後半から30代前半の若い人を中心に販売実績は着実に伸び、シャンプーボトルの売り上げは2.5倍になった」と、中嶋敏博社長は手応えを感じている。

地場産業だからこその多品種小ロットを実現

 新商品の企画から開発、製造までを加賀市内を中心に北陸エリアで担える点も同社の強みだ。量販店で販売する樹脂製品は、国内で企画・デザインしても海外の工場で生産することが多く、新商品の開発までに数カ月かかるのが一般的だ。その点、同社では、アイデアが浮かんだその日のうちに発注し、2~3 日後に試作品を提供するスピーディーな対応もできる。
 さらに、自社ブランドを持つことによるメリットも出てきている。従来ならば、商品を購入した顧客の声は、素地の納入先である漆器店などから聞くことが多かったが、それに加えて、リアルタイムに耳に届くようにもなった。「お客様の要望に応え、ボトルのサイズを変えたり、子ども向けの商品を企画したりと、商品開発に生かされている」と中嶋社長。柔軟に対応できるフットワークの軽さが、多彩な商品ラインアップにつながっている。
 また、数百単位の小ロットの生産も可能で、それが新たなビジネスチャンスとなっている。最近では、ホテルやセレモニーホールなどの施設名を入れたオーダーメイド商品の開発依頼も多く、個人客以外への販売実績も増えている。

バス用品に適した樹脂、塗料に変更

活性化ファンドを利用し、装飾にこだわった展示会ブース 写真 樹脂で成型した山中漆器の素地を手がけてきた同社が、自社ブランドの立ち上げに動き出したのは約5年前からだ。その背景には、山中漆器だけでなく、伝統産業全体が抱える課題がある。「素地は機械で生産するので、大量に供給できるが、高齢化や担い手不足で、漆器として仕上げる職人の数が減っている。素地は生産できるのに出荷できない。そこに危機感を感じていた」。中嶋社長はこう振り返り、職人に大きな負荷をかけずに、樹脂成型品の新たな活用ができる策として自社ブランドの開発に乗り出した。
 開発にあたっては、山中漆器がメインで生産する食器以外の市場をターゲットに定めた。それは、素地を納入する顧客である漆器店などとの競争を避けるとともに、山中漆器の新たな活路を見出したいとの思いがあったからだ。
 ただ、新市場としてバス用品の開発をスタートしたものの、これまで手がけてきた食器との違いに戸惑いもあった。同じ樹脂を用いるとはいえ、バス用品はシャンプーの酸などに耐えられる材質にする必要があり、それに伴って塗料も変更しなければならない。それは山中漆器の技法を製品に取り入れるうえで大きな壁となり、「職人と二人三脚で試行錯誤を繰り返し、最適な方法を導き出していった」(中嶋社長)という。
 ちなみに、ブランド名であるSO-QSTYLE には、“山中漆器で培った素(SO)地の品質(Quality)を生かす”という強い思いが込められており、こうした中嶋社長の姿勢が新商品の開発を後押ししたと言えるだろう。

活性化ファンドで販促ツールを充実

「活性化ファンドは使い勝手がよく、営業にかかわる項目に幅広く使え、大変助かっている」と中嶋敏博社長 写真 一方で、新市場の販路開拓には、平成26年度に採択を受けたISICOの活性化ファンドの助成金が役立っている。年2回の「インターナショナル・ギフト・ショー」や「国際雑貨EXPO」といった、東京ビッグサイトを会場にした国内最大規模の展示会に出展し、展示ブースの装飾やカタログの制作などに活性化ファンドを活用している。販売促進に役立つツールを充実させたことでバイヤーからの引き合いも増えているそうで、全国展開する大手雑貨店での販売が始まるなど、販路は広がっている。
 同社では現在、風呂おけやいすなど、アイテム数の一層の拡大に向け、知恵を絞っているところだ。並行して、中嶋社長は全く違った展開にも期待を寄せる。「バス用品にもこだわらないし、なんなら樹脂製品でなくてもいい。異業種と連携することで伝統産業の技術を生かし、新分野に挑戦したい」。自社ブランドの開発を引き金に、これまでとは違った角度から山中漆器の可能性を探る動きが熱を帯びている。

企業情報

企業名 有限会社 素地のナカジマ
創業・設立 設立 平成10年5月
事業内容 山中漆器の素地となる樹脂成型品の製造

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備考 情報誌「ISICO」vol.85より抜粋
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掲載号 vol.85