ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 情報誌ISICO > メニュー > 情報誌ISICO検索 > 県内中小企業のスクラムで成長する航空機産業に参入 ~浅下鍍金(株)

ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク


県内中小企業のスクラムで成長する航空機産業に参入 ~浅下鍍金(株)

印刷用ページを表示する更新日:2015年12月8日更新

新たなる挑戦

いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)や国のプロジェクトを活用したり、知的財産権に関する取り組みなどを行い、成果を上げた企業を紹介します。

 いま大きな成長が期待される分野のひとつが航空機産業だ。世界的な航空旅客需要の高まりが予想され、今後20年間で航空機約3万機の製造が見込まれている。とはいえ、たくさんの乗客を乗せて大空を飛ぶ航空機は先端技術の結晶であり、その製造においそれと参入できるわけではない。飛び抜けた技術力はもちろん、安全・安心を確保するためのきめ細かな工程管理などさまざまな要素が求められる。白山市の浅下鍍金では、極めて高いハードルを乗り越え、航空機装備品部品の表面処理で上昇気流をつかもうとしている。

来年は200種類の表面処理を見込む

航空機装備品部品の表面処理に取り組んでいる 写真 一般的に自動車に用いられる部品は数万点と言われるのに対し、航空機の部品数は100万点を超えるとされる。その中でも、浅下鍍金が製造に携わるのは、安全性に深く関係する部位である油圧アクチュエーター(制御用の駆動装置)だ。アクチュエーターは離着陸時に車輪を出し入れする降着装置であり、トラブルが大事故につながるため、製造過程での不備は絶対に許されない。
 そんな慎重で正確な生産が求められる分野に、同社では平成24年から本格的に参入している。めっき処理を施すことで、部品の耐摩耗性や防錆(ぼうせい)性を高めており、実績を積み重ねる中で航空機装備品メーカーからの信頼を勝ち取り、現在、手がけるアイテム数は約100種類に上る。来年はさらに受注量の拡大が期待され、200種類を超える勢いだ。
 この躍進を支えるのは、全国的にもあまり例のない製造体制にある。同社では、県内中小企業と連携し、石川県内だけでアクチュエーター部品の加工から表面処理、非破壊検査までを受注・生産できる仕組みを構築している。具体的には、金沢市の高林製作所で部品を機械加工し、それを小松市の深田熱処理工業で焼き入れして強度を高める。そして、浅下鍍金で表面処理を施し、再び高林製作所で非破壊検査を行い、国内の航空機装備品メーカーに納品するといった流れだ。
 航空機にかかわる熱処理やめっき、非破壊検査といった特殊工程のすべてを1社だけで対応できる企業はなく、遠方にある企業間で部品をやりとりしながら供給するのが一般的だ。その点、浅下鍍金ら3社では県内だけで一貫して共同生産し、リードタイムや輸送コストの大幅な削減を実現しており、競争力の強化につなげている。
 今秋、ワールドカップで3勝を挙げ、世界を驚かせたラグビー日本代表の強みは、大柄な欧米人との体格差を補うために磨き抜いたスクラムだ。同様に、浅下鍍金でも県内中小企業と技術力をがっちりと組み合わせ、大手メーカーがひしめき合う航空機産業で堂々と渡り合っている。

航空機分野の国際規格「Nadcap(ナドキャップ)」取得に注力

浅下 秀昭 社長 写真 もともとは繊維機械部品などの表面処理を得意としていた同社が、新分野への挑戦を決めた背景は、航空機産業市場に大きな将来性を感じたからである。「20年ほど前に受注懇談会で知り合った住友精密工業さん(兵庫県尼崎市)から航空機産業へ見学に来ないかと誘われたことが、きっかけだった。航空機部品については、加工が難しく、製造する際のボトルネックとなっている。しかし、壁が高いからこそ、後発の私たちにもチャンスがあると感じた」。浅下秀昭社長は当時をこう振り返る。
 ただ、多彩な表面処理を手がけ、高い技術力を誇っていた同社でも、航空機産業への進出は一筋縄ではいかなかった。特に、大きな障壁となったのが、国際規格「Nadcap」の認証取得だ。Nadcapは航空機製造の特殊工程を手がける際に取得の必要な規格であり、求められる水準は非常に高い。
 多くの人命を預かる航空機では、納入する部品の品質が担保されるのはもちろん、万一のトラブルも起こさないよう、その特殊工程のひとつの作業にもこと細かな手順が定められている。書類や学ぶためのテキストはすべて英語で、さらに翻訳家にも難解な専門用語がずらりと並んでいる。分厚い書類にびっしりと書かれた要求に一つひとつ応え、管理していく体制が求められ、大手メーカーでも二の足を踏むところが少なくないという。
浅下鍍金で部品の表面処理を手がける油圧アクチュエーター 同社ではISO14001の認証取得などの経験はあったものの、Nadcapは全くの別物であり、当然のことながら頭を悩ませた。「われわれ1社だけでは、できなかった。部品の納入先である住友精密工業さんのサポートがとても大きかった」と浅下社長。ISICOの専門家派遣制度も活用し、全国の中小企業でも十指に満たなかったNadcapを平成23年に取得した。さらに、同社では今年中を目標にクロムめっき後の研磨加工に関するNadcapの認証取得にも挑んでいる。表面処理後の研磨工程まで担うことで一層自社の付加価値を上げ、世界を相手にした競争力の強化に結びつけるのが狙いだ。

増産をにらみ6月に新工場建設

 浅下鍍金では5年後、10年後を見据えた布石も打っており、平成26年度からは同社がプロジェクトリーダーを務め、ISICOが事業管理者となる経済産業省の「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」を進めている。
 同事業で取り組むのは、環境にやさしいめっき技術の研究・開発である。現在、超高抗張力鋼を用いるアクチュエーター部品は有害な物質であるカドミウムをめっきしている。しかし、カドミウムは環境への影響が懸念され、ヨーロッパを中心に使用を控える傾向にある。同社では、県工業試験場などとともに、カドミウムめっきを環境負荷の少ないめっきに代替する道を探っており、平成29年までに実用化を目指している。
 また、同社では今年6月、専用設備をそろえ、航空機装備品の表面処理を行う新工場を建設した。「航空機需要の高まりを想定した先行投資であり、工場内には、ライン増設のスペースを十分に確保している」。浅下社長はこう話し、航空機産業への進出を加速していく考えで、増産への対応もぬかりはない。
専用設備を用いた高い工程管理技術力が求められる 国内のめっき市場に目を移すと、海外との競争で疲へいしているところも少なくない。一方、高い技術力とともに国際規格の取得などが必要な航空機産業は、グローバル競争で厳しい業界だが、Q(品質)C(コスト)D(納期)で顧客満足を満たせば海外からの受注も夢ではない。同社では、航空機産業を将来的には大きな柱にする計画で、目標の実現に向けて視界は明るく開けている。

企業情報

企業名 浅下鍍金 株式会社 
創業・設立 設立 昭和9年10月
事業内容 航空機装備品部品や繊維機械部品、一般産業機械部品の各種表面処理

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 関連URLを開く
備考 情報誌「ISICO」vol.84より抜粋
添付ファイル 添付ファイルを開く
掲載号 vol.84

 


月間アクセスランキングへのリンク
 
月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO