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和太鼓の愛好者づくりに注力 アメリカ西海岸の拠点を軌道に ~(株)浅野太鼓楽器店

印刷用ページを表示する更新日:2015年12月8日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

浅野太鼓楽器店は慶長14年(1609年)創業の老舗和太鼓メーカーである。原木の伐り出しに始まり、胴づくり、漆塗り、革張り、鋲止めに至るまで、すべての工程を一貫して担い、直径3尺(※)以上の大太鼓では国内シェア70%を誇る。平成24年にはアメリカに拠点を設け、和太鼓の販売、修理を手がけるとともに、和太鼓教室など愛好者を根付かせる活動や現地のニーズを取り入れた商品開発に注力している。
※1尺は約30.3センチメートル

将来性が期待できる海外へ進出

ロサンゼルス近郊にあるASANO TAIKO U.S.で和太鼓を練習する外国人 写真 浅野太鼓楽器店は平成24年、アメリカ・ロサンゼルス近郊にグループ会社「ASANO TAIKO U.S.」を開設した。平屋建て、建築面積約340平方メートルの社屋に販売店、修理工房、練習場が設けられている。同社が海外に拠点を設けるのは初の試みで、浅野昭利代表によれば、「日本の和太鼓メーカーが米国に拠点を設けるのもおそらく初めて」とのことである。
 進出の背景には、海外で和太鼓の人気が高まっていることが挙げられる。同社を拠点に活動する女性3人による和太鼓演奏ユニット「炎(ほのお)太鼓」をはじめ、日本のプロ奏者がアメリカやヨーロッパで公演すれば大盛況となる。その中からは、迫力ある音色に魅了され、自ら太鼓を打つ愛好者が現れることも多く、そうした愛好者が集うサークルも増えている。
 同社では、世界各地から注文が入ることに加え、日本の市場が成熟期を迎えていることから、将来性が期待できる海外への進出に踏み切った。ロサンゼルスやその近郊は日系人や日本企業も多く、海外でもとりわけ和太鼓が盛んな地域だ。浅野代表は「進出から3年、ようやくコミュニティにも溶け込むことができ、経営状況も黒字化できた」と笑顔を見せる。

和太鼓教室や石川での研修が好評

浅野昭利代表 写真 同社では、和太鼓文化の振興と発展を図るため、これまでも和太鼓の奏者やイベントをプロデュースしたり、国内唯一の太鼓専門誌を発行したりするなど、幅広い活動に取り組み、和太鼓の愛好者を増やすことに成功してきた。そのため、海外進出にあたっても、単に和太鼓やバチを販売するだけでなく、ファンを根付かせる活動に力を入れている。
 そのひとつが和太鼓教室やワークショップの開催だ。ASANO TAIKO U.S.では練習用のスタジオを2部屋備え、さまざまな世代の約300人が練習に励んでいる。
 また、2年前からは白山市の本社に隣接する「太鼓の里体験学習館」に外国人客を受け入れ、プロ奏者のレッスンを受けたり、職人による和太鼓作りを見学したりする和太鼓レッスンプログラムを提供している。開講に向け、浅野代表は自宅を約20人が宿泊できるように改修する力の入れ方で、「和太鼓の文化をより深く知りたい」というアメリカやヨーロッパの愛好者らをこれまで1,000人余りも受け入れている。

海外ニーズ取り入れ、新商品開発も

 和太鼓ファンを着実に増やす一方で、海外のニーズを取り入れた新たなものづくりも始まっている。
 例えば、より高精度に作り上げたバチもその成果である。通常、バチは左右で重さや形状が微妙に異なる。これは1本の木でも部位によって硬さなどの性質が違うためだ。ところが、バチをドラムスティックのように扱い、より繊細で複雑なリズムを刻む外国人には使いにくいとの意見があった。そこで同社では自動切削装置を新たに開発。重さの誤差を5グラム以内に、先端の丸みの形状も均一化したバチを商品化し、好評を得ている。
 また、革が緩みにくい太鼓もそのひとつだ。革が緩めば、音色は悪くなる。太鼓の専門家が少ないアメリカでは革を締め直すことも容易ではない。革が緩む原因は乾燥して木が縮むことにあるため、国内用では12%まで落とす含水率を、海外用では7%まで下げてから革を張ることにした。さらに、革を胴に留める鋲の形状を通常の丸形から角形に変更したり、長年の経験を生かし、より緩みにくい部位の革を厳選したりして要望に応えた。
 変わったところでは、「胴の長さを少し縮めてほしい」との依頼もあった。「日本人には感じられないような微妙な差」(浅野代表)だが、アメリカ人からは「音の跳ね返りが早く、打っていて気持ちがいい」と評判だ。

2つの音を奏でる太鼓でヒット狙う

両面の革を張る強さを変えることで、異なる音程を出せる調律桶太鼓「奏」 写真 ところで、現在アメリカでは、木をくりぬいて胴にした「長胴太鼓」が人気である。しかし、浅野代表は「アメリカ人は自由に動き回りながら太鼓を打つのが好きなので、いずれ“桶胴太鼓” がブームになる」と話す。桶胴太鼓とは細長い板を桶状に組み、「調緒(しらべお)」と呼ばれるロープで革を締めた太鼓で、ストラップを着け、肩から吊って打つこともできる。これならじっとしていることを好まないアメリカ人の演奏スタイルにもマッチするというわけだ。
 この桶胴太鼓として同社が新たに開発したのが「奏(かなで)」である。最大の特徴はひとつの太鼓で異なる音階のつの音を奏でられる点だ。桶胴太鼓は通常、両端の革を1本の調べ緒で張っているため、どちらの面を打っても同じ音が出る。一方、「奏」は胴にU 字金具を取り付け、2本の調べ緒で革を張る構造になっているため、張り具合を片面ずつ自在に調整することが可能だ。また、革の厚さはふつう1.5ミリ程度だが、「奏」は一方を0.4ミリと極端に薄くした。こうした工夫によって1オクターブ以上の音階の差が生まれる。優れた機能性とデザイン性が評価され、今年のグッドデザイン賞を受賞した上、審査委員会により特に高い評価を得た100件の中にも選ばれた。「奏」の登場によって、演奏のバリエーションがますます広がることは間違いない。「祭り囃子や邦楽の脇役だった太鼓が舞台で演奏されるようになってようやく50年が経ち、欧米でも浸透し始めた。これが一過性の人気で終わるか、文化として根付いていくかはこれからが勝負」。そう話す浅野代表の視線は国内にとどまらず、世界に向けられている。

企業情報

企業名 株式会社 浅野太鼓楽器店
創業・設立 設立 昭和53年4月
事業内容 各種太鼓製造販売・修理

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備考 情報誌「ISICO」vol.84より抜粋
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掲載号 vol.84

 


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