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能登栗を生かしたロールケーキ 甘みと香りを引き出し売上増 ~(株)フジセイカ

印刷ページ表示 更新日:2015年10月16日更新

目指せ!石川発の人気商品
ヒットのタマゴ 

「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。

フジセイカでは、能登栗を使った「栗きんとんロール」を商品化し、現在着実に売り上げを伸ばしている。以前は栗の一次加工を県外の企業に委託していたが、今年1月には加工機4台を導入し、社内で一貫生産できる体制を整えた。今秋には新たに皮むき機を導入する計画で、これを活用して、能登栗のおいしさを生かした商品ラインアップを拡充しようとアイデアを練っている。

いい材料をシンプルに

能登栗をふんだんに使って作られた「栗きんとんロール」 写真 「栗きんとんロール」は、能登栗を炊き上げてペースト状にした栗あんと生クリームをふわふわのスポンジ生地で巻いたロールケーキである。
 現在、フジセイカの直営店「加賀陣屋」やネットショップ、全国の百貨店で開かれる物産展、ISICOが香林坊大和でオープンした「かがやき屋本店」で販売し、約5年前の発売以降、着実に売り上げを伸ばしている。
 商品の魅力は何と言っても、栗本来の上品な甘みと香りが感じられる点にある。
 「“能登栗はおいしいね”と言ってもらえるように余分な手を掛けず、シンプルに作りました」。そう話す阿部幸男品質管理室室長の言葉通り、栗あんの原料は能登栗と砂糖だけである。阿部室長によれば、菓子職人はさまざまな原料や技術を熟知しているだけに技巧を凝らしすぎて、素材そのものの味が失われてしまうこともあるそうだが、この商品では、いい原料をそのまま生かすことを何よりも大切にしている。

一体感のある口溶け目指す

 とはいえ、決して一朝一夕で完成したわけではない。実は同社が能登栗を使い始めたのは約10年前にさかのぼる。その背景にあるのは「石川県に根を下ろす企業として、地元の原料を積極的に取り入れたい」という考えであり、同社では能登栗にとどまらず、五郎島金時や加賀梨、能登大納言などを使った商品も開発している。
 能登栗は当初、甘露煮にして和菓子を作ろうと試みた。「しかし、甘露煮では十分においしさを引き出せませんでした。それで、商品化は頓挫したのですが、いろいろと試作しているうちに、ペースト状にすると、能登栗の甘みや香りが一層引き立ち、おいしくなることが分かりました」(阿部室長)
 また、ロールケーキにする際は、最適なスポンジ生地づくりのために試行錯誤した。阿部室長は「口に入った瞬間に、スポンジ生地も栗あんも生クリームも、すべて一緒に溶けるとおいしいんです」と話し、生地の配合や焼き方を何度も見直した。

内製化で工夫の余地広がる

活性化ファンドの補助事業を活用して導入した栗専用の加工機 写真 今年1月には活性化ファンドの補助事業を活用して、栗を半分に切ったり、つぶして実を取り出したり、裏ごししたりする加工機を導入した。これによって、栗あんを社内で一貫生産する体制が整った。
 実は当初、こうした栗の一次加工はすべて手作業で行っていた。しかし、「栗きんとんロール」が人気を博し、次第に生産量が増えてくると、人手に頼る作業では対応しきれなくなってしまった。
 そこで、同社では一次加工を委託できる企業を県内で探したが見つからず、結局、これまでは四国の企業へ外注していたのだ。
 加工機を導入したことで、コストダウンが可能になった上、生産能力もアップしたが、メリットはこれだけではない。「例えば、今は栗をペーストにする際、渋皮をすべて取り除いているのですが、社内に加工機がありますから、生産途中で少し加工条件を変え、あえて渋皮を残すなど、遊び心を持って開発することもできるようになりました」(阿部室長)
 ちなみに能登栗は4軒の農家から仕入れている。秋になると、阿部室長自身がワゴン車に乗って週に2回、仕入れに出向く。毎日取りに行けるわけではないので、鮮度が維持されるよう、農家に冷蔵庫を持ち込み、収穫、洗浄後は5℃で冷やしてもらう。
 仕入れの際は、市場では販売できない小さいサイズの栗も合わせて購入する。「売り物にならないからと農家の方が小さい栗を捨てているのを見て、農家の方の応援になればと買い取ることにしました。もったいないですし、ペーストにするので大きさは関係ありませんからね」(阿部室長)

自社製品が菓子づくりの原点

 ところで、フジセイカは昭和44年に自社で企画、製造した菓子を直営店で販売したり、加賀温泉郷のホテルや旅館に納めたりすることからスタートした。昭和50年代にかびの発生や油分の変質を抑える脱酸素剤が登場してからは、味と企画力を武器に、観光地で販売される土産菓子のOEMを請け負い、全国へと販路を伸ばしてきた。
 今ではOEMによる売り上げが9割以上を占めるが、それでも「栗きんとんロール」をはじめとする自社製品には特別な思いがある。阿部幸男品質管理室室長 写真「私たちは単なる加工屋にはなりたくありませんし、創意工夫を凝らし、開発をできる企業であり続けたいと思っています。その原点となるのはやはり自社製品です。OEMは大事な収益の柱に違いありませんが、自社製品をどんどん伸ばしていきたいですし、そのためには地元の原料の利用が大切だと考えています」(阿部室長)
 昨年秋に仕入れた能登栗の加工は既に終わっているが、現在は今年秋に採れる能登栗を使って新商品を発売しようと、構想を温めている。阿部室長は「できてからのお楽しみです」とその詳細については明かしてくれなかったが、今度は能登栗のおいしさをどのように引き出すのか、期待が膨らむ。

企業情報

企業名 株式会社 フジセイカ
創業・設立 創業 昭和44年4月
事業内容 菓子製造業

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備考 情報誌「ISICO」vol.83より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.83


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