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すっきりした飲み口の甘酒が人気 レストラン利用者の声をヒントに開発 ~(株)金谷酒造店

印刷ページ表示 更新日:2015年10月15日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

白山市の老舗酒造メーカーとして知られる金谷酒造店。近年の酒離れなどで、主力である清酒の売り上げが徐々に落ち込む中、同社の「麹(こうじ)あまざけ」が人気を集めている。売れ行きは右肩上がりで、大手通販会社など、新たな販路の獲得にも成功している。商品化のきっかけとなったのは、関連会社が運営するレストラン「高砂茶寮」を訪れる客の声だった。ほかにも、客の要望をヒントに清酒やスイーツなど、新商品を次々と開発し、企業の成長に役立てている。

大容量タイプが一番の売れ筋

麹あまざけ 写真 「麹あまざけ」は白山市産の米「ゆめみづほ」と米こうじだけで作った甘酒である。無添加で、砂糖も一切使っていない。自然な甘さとべたつかず、すっきりとした飲み口が特徴だ。天然のアミノ酸やブドウ糖、ビタミンB1、ビタミンB6、オリゴ糖など、栄養が豊富で、そのまま飲むのはもちろん、料理や菓子の隠し味として使うこともできる。
 約5年前の発売以降、金谷酒造店のネットショップや高砂茶寮の店頭などで販売し、今では月に1,500本を販売するヒット商品となっている。日常的に愛飲する人やリピーターが多いのが特徴で、現在販売している300ミリリットル入り、500ミリリットル入り、900ミリリットル入りの3タイプのうち、最も容量の多い900ミリリットル入りを購入する客が70%を占める。また、6本、12本とまとめ買いする人も多いという。
 今年2月にISICOが北陸3県の伝統工芸、食品事業者と首都圏のバイヤーを招いて開いた販路開拓マッチング商談会では、カタログ通販大手のリンベルの目に留まり、早速、中元商戦用のカタログに掲載され、多くの注文が寄せられた。
 清酒の製造・出荷量は、嗜好や生活習慣の変化、酒類の多様化などを背景に減少傾向にある。同社の清酒の売り上げも年々わずかに減っているが、麹あまざけが今では売り上げの10%を占めるまでに成長し、その分をカバーする。
 イオンやコープ北陸、「家庭画報」を発行する世界文化社などからも引き合いが寄せられており、金谷芳久社長は「清酒は門前払いでも、麹あまざけならば商談に応じてもらえることが多い」と手応えを話す。

おいしさ追求し、精米を工夫

明治時代に建てられた酒蔵を改装した「高砂茶寮」の店内 写真 同社が麹あまざけを開発したのは関連会社が経営するレストラン「高砂茶寮」の客から寄せられた声がきっかけだった。
 ちなみに、高砂茶寮は平成15年、相次ぐ大型商業施設の進出で客足が遠のいた中心商店街の活性化を目指し、金谷酒造店の酒蔵を改装してオープンしたレストランである。料理は月替わりのフランス風懐石に限定するほか、完全予約制で無駄を減らし、コストを圧縮。3,100円で季節に応じた10品を楽しめるコストパフォーマンスの良さが受け、女性客を中心に人気を博し、毎月訪れる常連客が70%を占める驚くべきリピート率を誇っている。「この高砂茶寮で以前、杜氏に作らせた甘酒をお客様にサービスで出していたことがありました。そしたら、“ 家でも飲みたい”とか“よそのよりおいしい”、“ 親や友人にあげたい”といった声をたくさんいただきまして、それなら売ってみようかとなりました」(金谷社長)
 商品化にあたっては、よりおいしさを追求し、試行錯誤した。ポイントのひとつは精米歩合である。おいしい清酒を造るには、雑味の原因となる米のたんぱく質や脂質を、精米によって取り除く。しかし、精米しすぎた米で作った甘酒は重く、べたついた飲み口になるため、試作を繰り返し、最適の精米歩合にたどり着いた。
 発売すると売れ行きは順調に伸び、その後、テレビで「栄養成分が豊富な甘酒は“ 飲む点滴”とも言われ、江戸時代は夏バテ予防によく飲まれた」と紹介されると、人気に拍車がかかった。
 驚いたのはリピート注文が多いことだった。甘酒は正月や祭礼など特別な日に飲むもので、ニーズも限定的といった印象が強いが、毎日のように飲む人が多く、当初売り出した500ミリリットル入りでは「もの足らない」という声を参考に900ミリリットル入りを商品化した。

五郎島金時や大麦で新商品開発

 麹あまざけの売り上げをさらに伸ばそうと、商品ラインアップの拡充にも取り組んでいる。今年11月には能美市産のゆずを使った新商品を発売するほか、現在は世界文化社から寄せられた「味はおいしいが、競合品も多いため、他社との違いが明確に分かる商品を作ってほしい」との要望を受け、五郎島金時と小松市産の大麦を使った甘酒をそれぞれ開発中だ。五郎島金時の甘酒は試作を終え、量産化に向けた技術開発に取り組んでおり、大麦の甘酒は「まだ苦みがあって飲みにくい」(金谷社長)ため、さらに研究を進めていく。どちらも来年3月には発売を予定する。
 高砂茶寮の客から寄せられた声をヒントにした商品開発は甘酒にとどまらない。例えば、「食中酒にぴったりの清酒がほしい」との要望をもとに開発した「與四兵衛(よしべえ)」もそのひとつだ。香りが強くなく、さわやかな酸味が特徴の清酒でトマトソースやチーズとの相性もばっちりで、好評だ。
金谷芳久社長 写真 また、酒粕を練り込んだダックワースやバウムクーヘンといったスイーツも評判がよく、現在は砂糖の代わりに甘酒を甘味料として使った焼き菓子の商品化にも取り組んでいる。「お客様の声は、高砂茶寮のテーブルに置いてあるアンケート用紙で集めるほか、私自身が毎日レジに立って、お客様に“今日はいかがでしたか”と聞くようにしています。何度も通ってくれる顔なじみのお客様が多いですから、いろんな意見を率直に言ってくれます」(金谷社長)
 金谷社長は、これからもそうした要望を参考に商品開発を進め、業容をさらに拡大させていく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 金谷酒造店
創業・設立 創業 明治2年
事業内容 清酒の醸造、販売など

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備考 情報誌「ISICO」vol.83より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.83


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