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小さな干菓子を詰めた新感覚もなか “かわいい”をテーマに全国へ販路拡大 ~(株)山海堂

印刷ページ表示 更新日:2015年7月14日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

明治38年創業の老舗和菓子店、山海堂が作る「そっとひらくと」シリーズが女性客を中心に人気を集めている。これは、もなかの皮の中に季節を感じさせる干菓子と金平糖、そして正月の縁起菓子・辻占(つじうら)で使われる占いの紙を入れた和菓子だ。今年3月には人気テレビ番組にも取り上げられ、売れ行きに拍車が掛かっている。

4種類を季節限定で販売

黒田清彦社長 写真 「そっとひらくと」シリーズのラインアップは「はるほのか」「なつきらり」「あきゆらら」「ゆきふわり」の4種類。それぞれ季節限定で販売されている。
 例えば、5月から8月に販売している「なつきらり」ならば、朝顔が描かれたもなかの皮をそっと開くと、スイカ、青楓(かえで)、星など、夏をイメージさせる形をした6種類の干菓子が詰め込まれている。干菓子は生砂糖(きざとう)、州浜(すはま)など4種類の生地が使われており、優しい甘さで、口の中でじんわり溶けていく。
 「食べる人を和ませ、ホッとさせるのが和菓子の魅力です。辻占の紙も、ぱっと開けたときに、会話の潤滑油になればと思って入れました」。そう笑顔で話すのは、この商品を考案した黒田清彦社長である。

人気番組「ガイアの夜明け」も注目

 平成23年の発売以降、順調に売り上げを伸ばし、今では山海堂の看板商品のひとつに成長した。店は山中温泉総湯のすぐそばとあって、観光客が立ち寄ることも多い。以前は冷やかしの客も多かったが、「そっとひらくと」シリーズを販売してからは、おみやげに購入していく客が格段に増えた。
 首都圏の消費者にもアプローチしようと、昨秋には、ISICOが東京駅の商業施設で開催した「石川のこだわり商品フェア」に出店。来場者からは「かわいい」「おみやげにぴったり」といった好意的な声が多く聞かれた。
 さらに、今年3月にテレビ東京の人気番組「ガイアの夜明け」で取り上げられると、首都圏のホテルや結婚式場などからも引き合いが寄せられるようになった。
 黒田社長の話によれば、この番組では、海外向けに日本の商品を販売するネット通販企業をメインに取り上げる予定にしていたという。番組の取材を行う中で、その企業の社長が新たな商材を探すため、干菓子を作るために用いられる抜き型や木型 写真石川県地場産業振興センターで開かれていたISICOの展示会に訪れ、そこで発見したのが「はるほのか」だった。すると、商品の独自性に注目したテレビ局は、「はるほのか」にスポットが当たるように構成を変更したのだという。放送後の反響はすさまじく、売れ行きは以前の3~4倍に急伸した。

女性の声を生かして商品を改良

 開発したきっかけは、南加賀商工観光推進協議会から観光誘客イベントに出品する和菓子を作ってほしいと依頼されたことがきっかけだった。
 「アイデアは昔から頭の中にありました。ただ、すべてが手作業で、何種類もの干菓子を作るには相当手間がかかるので、商品化には二の足を踏んでいたんです」(黒田社長)
 そんな黒田社長の背中を押したのは「伝統のある和菓子作りを続けるため、何か新しい和菓子を作りたい」という思いだった。和菓子は地域の風習と密接な関係があることが多いが、その風習は人口減など、地域の活力が失われるに伴い廃れることも少なくない。例えば、県内に古くから残る初老の祝いに餅を配る習慣がそうだ。風習が廃れるにしたがって、需要は減少し、これを食い止めるには、新商品による需要の創出が不可欠というわけだ。
 もうひとつは大学生だった黒田社長の娘さんが「跡を継ぎたい」と言ってくれたことだった。「実際、継いでもらった時に仕事がないというのでは困りますからね(笑)」(黒田社長)
 アイデアを具現化する際、ヒントになったのが女性の声だった。チョウや桜の形をした干菓子は抜き型や木型を使って成型するのだが、最初の試作品を手にした女性からは「小さくした方がかわいい」との意見が出た。
 「そういえば、妻も娘も“ かわいい” かどうかを基準に買い物をしていることに思い当たりました。それで、女性にかわいいと喜んでもらえる商品を目指すことにしたんです」。黒田社長はそう考え、これまでよりも一回り小さい型を使って干菓子を作った。
 苦戦したのは冬に販売する「ゆきふわり」の干菓子づくりである。順調にイメージが膨らんだ春・夏・秋バージョンに比べ、寒々しい冬をかわいく演出するアイテムが思い浮かばず、行き詰まった。そのため、2年間は春・夏・秋のみを販売。その後、娘さんの「手袋を入れてみたら」という一言が解決の糸口となり、手袋や雪玉、ヒイラギなどをモチーフにした干菓子が詰まった「ゆきふわり」を完成させた。

来年はひなまつりバージョンも

「そっとひらくと」シリーズの和菓子 写真 「そっとひらくと」シリーズのヒットを受け、招き猫の形をしたもなかの皮に、有平糖や干菓子、金平糖を入れた「福招き」を商品化。さらに、梅の形のもなかの皮に松竹梅をかたどった干菓子が入った「福薫る」といった商品を派生させ、結婚式の引き出物など、ギフト需要を取り込むことに成功した。
 「そっとひらくと」シリーズにおいては、首都圏で販売した際、消費者から寄せられた「おひな様の隣に飾りたい」といった声を参考に、来年からはひなまつりに特化した商品もラインアップに加える計画だ。
 黒田社長は「首都圏のお客さんは反応が面白く、気づきが得られる」と話し、今後も首都圏での販路開拓に積極的に取り組んでいく考えだ。また、先述した通販サイトを通じて、商品は海外でも売れ始めており、アジアやアメリカ、ヨーロッパ市場でも商機拡大を狙っている。
 新商品のアイデアも「既に頭の中にある」と話す黒田社長。新たな和菓子の魅力を引き出すその手腕に大いに期待したい。

企業情報

企業名 株式会社 山海堂
創業・設立 創業 明治38年
事業内容 和菓子の製造、販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.82より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.82


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