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【巻頭特集】北陸の魅力生かした新商品開発へ 伝統工芸と食を核とした北陸地域資源活用ネットワーク構築事業

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巻頭特集

首都圏からバイヤーを招いて行った商談会の様子

金箔を使っ た工芸や食品:(株)箔一(金沢市)、アワビ などの貝を薄く切って漆器に貼り付ける青貝加飾:(有)武蔵川工房(高岡市)、越前打刃物:(有)龍泉刃物(越前市)

産地や業種を越えた連携をサポート

ISICOは今年度、経済産業省の地域新成長産業創出促進事業費補助金に採択され、「伝統工芸と食を核とした北陸地域資源活用ネットワーク構築事業」に取り組んできました。これは、新商品の開発や商品の魅力アップに向け、北陸3県の伝統工芸、食品事業者の連携強化を図る事業で、(公財)富山県新世紀産業機構、(公財)ふくい産業支援センターとも協力しました。昨年10月のキックオフセミナーを皮切りに、3県の企業や工房の視察、専門家を招いたセミナーを行ったほか、2月26日には金沢都ホテルで販路開拓マッチング商談会を開催し、全国展開の可能性や連携策を探りました。

バイヤー企業9社が3県の52社と商談

 商談会は、首都圏からバイヤーを招き、北陸3県の伝統工芸、食品事業者が自社商品の販路開拓を目指すほか、例えば「石川の地酒と富山の酒器を組み合わせた商品」など、他産地、他商材とのコラボレーションについてアドバイスを得ることを目的に開催しました。
 北陸新幹線の開業に伴い、北陸への関心が高まっているということもあり、商談会にはセレクトショップのビームス、通販大手のディノス・セシールおよび「家庭画報」を発行する世界文化社など、9社13名が参加。北陸3県からは事前に申し込んだ企業のうち、あらかじめバイヤーが選定した52社が、それぞれ1~4社のバイヤー企業と個別の商談に臨みました。
 合計106件行われた商談では、例えば輪島塗を手がける企業に対し、通販会社のバイヤーから「40~60代と本物を求める年齢層を対象顧客としているので、ぜひ取り上げたい」といったように、多くの引き合いが寄せられました。また、セレクトショップのバイヤーが食品メーカーに「新幹線開業に合わせたイベントで商品を置きたい」と要望するなど、開業を契機とした取引増加を予感させる声も聞かれました。
 他産地、他商材とのコラボレーションに関しては、漆器業者に対し、セレクトショップバイヤーが首都圏での販売を視野に「商品の質はもちろん、最近はパッケージの重要性が高まっている。商品を上質な和紙で包むなど工夫してはどうか」といった、具体的な提案をしました。
 一方、「ブランドイメージが定着していない段階で、唐突に異素材を取り入れた商品を作るとダメになるケースも多いので注意してほしい」(セレクトショップバイヤー)とアドバイスを送るケースもあり、参加企業にとっても大いに参考になったようです。

ネットワークづくりや学びの機会を提供

 北陸3県に共通する特徴と言えるのが、伝統工芸と食に関する地域資源が集積している点です。多種多様な伝統工芸は地域の誇りであり、新鮮な食材と豊かな食文化は、和食の世界無形文化遺産登録も追い風となり、国内外から注目されています。
 これらを有機的に結びつけ、地域経済の活性化につなげるのが本事業の狙いであり、商談会に先駆けては、産地や業種の枠を越えてネットワークづくりの場を提供しようと、「知る」「学ぶ」「つながる」の3本柱を軸に、企業視察や専門家によるセミナーを催してきました。
 昨年10月、県内で開催したキックオフセミナーでは、日本の魅力再発見をテーマにした雑誌「Discover Japan」の編集長による講演のほか、北陸3県の伝統工芸、食品事業者によるパネルディスカッションが行われました。
 11月から12月にかけては福井県、富山県、石川県の企業や工房を訪ねる視察会を実施。700年の伝統を誇り、近年ステーキナイフなど新たな商品づくりにも挑戦している越前打刃物、アイスクリーム専用スプーンで話題を呼んだ高岡銅器のメーカーなどへ足を運び、連携の可能性を模索しました。
 今年1月、2月には地域ブランドの構築や伝統工芸品の販売、海外展開に詳しい専門家を招いたセミナーを福井と富山で開き、学びの機会を提供しました。
 今回の事業は言ってみれば連携への種まきです。具体的な芽が生まれ、大きく育つようISICOではこれからも継続的な支援に取り組みます。

事例レポート

和の腕時計に合う金属ベルト 富山県の鋳造技術で実現

石川と富山の企業が、それぞれ得意とする技術を生かして新開発した腕時計 ハンドメイドの時計を企画、製作するシーブレーンでは、富山県高岡市で鋳物製造を手がける(株)能作(のうさく)(富山県高岡市)とコラボレーションし、新シリーズ「合-awase」を開発しました。これは、シーブレーンが漆塗りや蒔絵(まきえ) 、螺鈿(らでん)、金箔、日本画を描くのに使われる岩絵の具で彩った文字盤に、能作が鋳造した錫(すず)と銀の合金ベルトを組み合わせた商品です。板状のベルトは手で曲げられるほど柔らかく、リング状に丸めて腕にはめます。
 今年2月にウェブショップでの販売をスタートしたほか、4月からは東京の百貨店に常設されている能作の店舗でも販売されます。

石川にこだわらなくていい

 シーブレーンの時計は従来、革製ベルトを使ってきましたが、汗や水に弱いため、かねてから金属製ベルトの採用を模索してきました。開発の端緒となったのは、シーブレーンの井波人哉社長が、能作が作った錫製の箸置きを購入したことです。人の手で曲げられる特性を知った井波社長はその後、能作に協力を打診し、連携が実現しました。
 ISICOの活性化ファンド補助事業を活用して取り組んだ開発には約2年を要しました。課題のひとつは錫100%で作ると柔らかすぎて、腕を振った拍子に外れてしまうことでした。そこで、0.1%単位で銀を混ぜながら柔らかさを調節。試作を繰り返した結果、錫97%、銀3%という現在の比率にたどりつきました。
井波人哉社長 写真 もうひとつの課題は合金ベルトを曲げたり、伸ばしたりするうちに亀裂が入ることでした。「なかなか解決策が見つからず諦めかけたこともあった」(井波社長)ものの、成型後に圧延することで、使い続けても亀裂が入らない良品を作ることができました。
 「加賀藩でも京都などから名工を呼んで工芸を発展させた歴史がある。石川だけにこだわらず、全国各地の技術をつなぎ合わせて、いい商品を作りたい」と話す井波社長。ISICOの北陸地域資源活用ネットワーク構築事業に参加し、福井の木工企業を視察するなど、新たなパートナーを探し続けています。

企業情報

企業名 有限会社 シーブレーン
創業・設立 創業 平成6年11月
事業内容 ハンドメイドによる時計の企画、製作、販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.81より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.81


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