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ISICOでは、企業の成長をサポートするためさまざまな支援制度を用意しています。
制度を利用して事業の拡大に成功した企業の取り組みを紹介します。
アルミニウムを用いて表面を処理するアルマイト加工や亜鉛メッキなどを得意とする中島メッキ工業にとって、不良率の低減は絶えず追求してきた課題である。なぜなら、同社が手がける表面処理は最終製品を作るための途中の工程であり、社内で加工するものはすべて、顧客から一時的に預かっている状態と言えるからだ。当然、処理後には返却しなければならず、取り扱いには細心の注意が求められる。不良率が極端に上がれば会社の信頼にもかかわり、契約によっては発生した不良品の数だけ実入りが減る場合もある。
企業経営に直結するこの課題を改善するため、同社では平成22年から3年間、ISICOの専門家派遣制度を活用。経営体質強化や業務改善などに関する専門家からのアドバイスを生かし、不良が発生した際には原因を突き止め、根本から解決策を探る体制を築いたり、5S(整理、整頓とん、清掃、清潔、しつけ)活動を実施したりするなど、さまざまな取り組みに力を注いだ。「 指導いただいたことのすべてを実践できているわけではないが、整理・整頓を心がけるなど、社員の意識は確実に変わってきた」と中島秀明社長。従来0.4~0.5%だった不良率は現在、0.1%以下にまで下がっており、その効果は数値にはっきりと表れている。
不良率の低減を進める理由は、経営体質の強化だけが目的ではない。同社では、自動車部品のメッキ処理を行う第2工場で平成21年にISO14001を取得し、以来、環境に配慮した生産体制の整備に努めてきた。不良率の改善もその一環であり、無駄な処理を減らすことで薬品や電気、水の使用量の削減につなげている。
同社では一層、環境にやさしい企業を目指す取り組みも活発だ。従来は六価クロムを使用して亜鉛メッキを行っていたが、ヨーロッパを中心に毒性の強い六価クロムの使用が禁止となり、現在代替として三価クロムを使用した亜鉛メッキを進めている。「ただ、三価クロムもクロム化合物である。クロム化合物を使わず、人体や環境にやさしいノンクロム亜鉛メッキ処理技術を導入中で、この処理ができる企業は全国でも少なく、今後はこの技術をお客様に売り込んでいきたい」。中島社長はこう話し、“ 環境”をキーワードにした事業展開に活路を見出している。
企業名 | 中島メッキ工業 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 昭和40年4月 |
事業内容 | 亜鉛メッキや各種電気メッキ、アルマイト処理など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.80より抜粋 |
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掲載号 | vol.80 |