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自動車部品の量産を視野に 炭素繊維複合材のプレス技術確立

印刷ページ表示 更新日:2015年3月27日更新

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

熱可塑性の材料挑戦

炭素繊維に樹脂を含ませた、炭素繊維強化プラスチック 写真 炭素繊維に樹脂を含ませた「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」は、鉄と比べて軽量で高強度であり、鉄に代わる未来の複合材として、さまざまな分野から熱い視線が注がれている。石川県内でも次世代産業の核としてCFRP材の一大生産・加工拠点を目指した研究開発が活発化しており、その一翼を担うのが、プレス加工を行う県内企業が加盟する県プレス工業協同組合である。
 同組合では、約6年前からこの新素材のプレス成形システムの開発に着手。現在、その研究は実を結びつつあり、プレス加工による量産化にめどが付いたという。ただ、プレスの専門家が集まる組合といえども、ここまでの道のりは平坦ではなかった。「 CFRP材は、これまで相手にしていた鋼材とは全くの別物だ。未知の素材であり、手探りの連続だった」と振り返るのは、同組合の石野晴紀理事長だ。組合で加工を目指すCFRP材は、「熱可塑(かそ)性」という、加熱すると柔らかくなり、冷やすと固まる特性を持つ。現時点で広く用いられるCFRP材は加熱すると固まる「熱硬化性」がほとんどだが、成形に時間がかかるほか、高価な設備が必要であることから価格が高く量産には不向きで、利用先は航空機に使われる部品などに限られていた。その点、熱可塑性CFRP材は短時間で、軽量かつ高強度の部品を量産化でき、多種多様な工業製品への活用に期待が高まっている。半面、まだ開発途上の素材であり、加工技術も確立されておらず、組合ではまず、加盟企業の2社を中心として2年がかりでデータを収集し、最適な加工条件を見極めた。
 熱可塑性という特性を持つ材料の加工については組合企業を悩ませた。鉄ならば多いもので10数回のプレスを繰り返すことで複雑な形状に加工できる。一方、熱可塑性CFRP材は、材料を熱して加工する必要があるが、一度成形した後に再度熱をかけると、成形が崩れてしまうため、1工程で最終製品形状に加工しなければならない。この難題をクリアするため、組合企業ではISICOが事業管理者となった経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)の採択を受け、県工業試験場とともに共同研究を実施。金型などの専門家からアドバイスを受けながら、いくつもの特許技術を盛り込み、複雑な形状でも一度のプレスで加工できる成形技術を確立した。

共同受注に向けて研修開始

石野晴紀理事長 確立したプレス技術は、サーボモーターで金型の動きを制御する専用機でなく、汎用機で加工でき、大規模な投資をすることなく対応できる点も特色だ。組合では、この技術を組合企業に普及させるため、昨年7月から研修会をスタートさせており、現在、組合企業10社がノウハウの習得に努めている。
 同組合がこの技術を武器に開拓を狙うのが、巨大な市場が広がる自動車産業である。「組合が窓口となって、自動車部品の共同受注を目指している。そのために、研修を通して各社の加工技術を平準化したい」と石野理事長。そんな青写真を描き、商機を確実につかむための態勢づくりに全力を傾けている。

企業情報

企業名 -
創業・設立 設立 昭和34年8月
事業内容 組合員の技術・技能・管理知識等の教育、共同受注や鋼材の共同購入など

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備考 情報誌「ISICO」vol.80より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.80


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