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クラウド生かし、新サービス開始 eラーニングに続く事業の柱に

印刷用ページを表示する更新日:2015年3月26日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

金沢電子出版はeラーニング用のコンテンツ制作やシステム開発を手がける金沢大学発のベンチャー企業だ。これまでは、大学や短大、専門学校といった高等教育機関が主な取引先だったが、さらに業容を拡大するため、10年前の設立以来、培ってきたノウハウを生かし、民間企業などからも広くニーズが見込める新規事業に乗り出した。

安全・便利な企業向けストレージサービス

佐藤伸平社長の写真 金沢電子出版が今年2月末から新たに始めるのが、クラウド型のストレージサービスである。ストレージとは、文書や写真のデータを保存する装置や領域のこと。同社のサービスを利用すれば、こうしたデータをインターネット上に保存しておき、パソコンやモバイル端末を使って、いつでも、どこでも閲覧したり、編集したりできる。
 例えば外出中に顧客から問い合わせが入り、その回答のために社内にある資料の確認が必要な場合でも、あらかじめその資料をストレージに保存しておけば、スマートフォンなどからデータを確認し、素早く対応することが可能になる。ほかにも、大容量のデータを国内外の拠点間でやりとりするなど、さまざまな用途を見込める。
 既存のストレージサービスには、「DropBox(ドロップボックス)」など、無料で利用できるものもあるが、ビジネスで利用するにはセキュリティ面で不安がある。というのも、社員が個人所有するパソコンやモバイル端末で仕事をして無料ストレージサービスを利用していた場合、端末を紛失したり、盗難されたりした際に情報が漏洩するリスクがあるのだ。一方、同社のサービスでは端末を紛失した場合、ストレージへのアクセスを拒否することが可能で、仮に端末に文書を保存していた場合でも、その文書を遠隔操作によって消去できる。
 また、既存の企業向けのストレージサービスと比べ、低価格で利用できる点も特徴の一つだ。その秘密は、無料で提供されているオープンソースプログラムを使ってシステムを開発していることにある。従業員100人の企業を例に取ると、大手IT企業が提供するサービスを利用した場合、月額15万円かかるのに対し、同社のサービスならばプランにもよるが3万円以下に抑えることも可能だ。
クラウドやオープンソースの活用で実績のあるメンバーがそろう開発室 組織内で既に使っている認証システムとの連携に対応する点も利用者にとってはうれしいメリットだ。これまで使用していたIDやパスワードを入力して一度ログインするだけで、ストレージサービスをはじめ、組織内で使っているさまざまなソフトウェアの利用が可能になる。
 もちろん、サーバーなどのメンテナンスは金沢電子出版が行うので、利用者側でサーバーやソフトを購入したり、エンジニアを常駐させたりする必要はない。

閲覧状況を記録できる動画配信システム

 新規事業はこれだけにとどまらない。昨年には既に新規事業として「動画い~じぃ」をスタートさせている。
 これは動画をパソコンやモバイル端末に配信するサービスで、データをダウンロードしながら順次、再生していくストリーミング配信のほか、生放送にも対応する。
 動画配信では、「YouTube(ユーチューブ)」「Ustream(ユーストリーム)」といったサービスが有名だが、もちろんこれらとは大きな差別化ポイントがある。それは、認証を受けた利用者、または運営者側が指定した利用者だけが動画を閲覧できるようにしたり、誰が、いつ、どの動画を閲覧したかが記録され、それを確認できる点だ。
 こうした機能を活用することで、例えば、一般に公開するにはふさわしくない動画や機密性の高い動画を組織内だけに配信することが可能になる。既に大学の医学教育用に、患者や患部を撮影した動画の配信システムを納入済みだ。また、eラーニングに組み込めば、利用者の受講状況を正確に把握することができる。

強みはクラウドの知識やスキル

 同社がこうして新規事業に力を入れる背景には、eラーニング事業に続く収益の柱を作りたいとの思いがある。
 そもそも同社は、金沢大学がeラーニングを推進する中で得られた電子教材やシステムを他大学に販売するために、教員らが平成17 年に設立したのが始まりだ。eラーニングに関するシステム開発、コンテンツ制作、運用サポートに一貫して取り組む企業は全国的にも珍しく、全国の高等教育機関から受注を獲得し、売り上げを伸ばしてきた。
 例えば、高度ながん医療を担う専門スタッフを教育するため、北陸3県の5大学が運営する「北陸がんプロフェッショナル養成プログラム」のeラーニング教材は同社の手によるものだ。また、教員免許更新時に必要となる講習をeラーニングで提供するシステムは、ISICOが主催する「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」で優秀賞を受賞し、平成21年度から運用をスタートした。
 いつでも、どこでも、何度でも受講できるeラーニングのメリットは多々ある。しかし、高等教育機関向けの市場は決して大きいとは言えない。今後、少子化が進めば、さらに市場が縮小する可能性もある。そこで、同社が打ち出したのが、eラーニング事業で培ってきた技術やノウハウを生かし、幅広いニーズを取り込むための新規事業というわけだ。
オンラインストレージサービスの概念図 オンラインストレージサービスにしても、「動画い~じぃ」にしても、共通するのはクラウドを活用している点だ。同社では、大学などで管理されている各種サーバーのクラウド移行なども手がけたことから、クラウド活用に関する知識やスキルが蓄積されている。同時に、オープンソースを使った認証システムやコンテンツの配信にも豊富な実績を有する。
 同社の佐藤伸平社長は、これからも引き続き、クラウドのメリットを生かしたサービスの開発に力を入れる考えで、「将来的にはそうした新規事業の売り上げをeラーニング事業と同程度にまで引き上げたい」と意欲を燃やす。
 将来、同社の中核を担う人材を育成するため、3年前からは新卒採用をスタート。企業力の向上を目指し、新たなステージに立った金沢電子出版の躍進に期待したい。

企業情報

企業名 金沢電子出版 株式会社 
創業・設立 設立 平成17年8月
事業内容 eラーニング用コンテンツの制作販売、eラーニング用システムの構築・開発・導入支援など

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備考 情報誌「ISICO」vol.80より抜粋
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掲載号 vol.80