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県内の企業、団体が行っている話題性のある取り組み、ユニークな活動に注目しました。
「たまひめちゃん」というご当地キャラクターをご存知だろうか。モデルになっているのは、加賀藩3代藩主前田利常の正室珠姫(たまひめ)である。大きな瞳の愛らしい顔立ちで、加賀友禅や加賀手まりの髪飾りを身にまとい、輪島塗の打ち出の小槌(こづち)を手に持つなど、衣装や持ち物には石川県の伝統工芸品がちりばめられている。
約1年前に石川県非公認キャラクターとして登場して以来、インターネット上で「かわいすぎる」などと評判が広まっている。今年3月にはテレビ東京が主催し、全国各地のキャラクターが人気を競う「推し1グランプリ」の萌えキャラ部門でグランプリに輝いたほか、観光振興特別賞も同時受賞した。
考案したのは、3Dコンピュータ・グラフィック制作を専門にする(株)アトリエほんだしょうこ(金沢市)のほんだしょうこ社長だ。情報発信などプロジェクトの運営には、印刷関連業を手がける(株)宝文堂(金沢市)の古川博章社長が協力している。
ほんだ社長らが「たまひめちゃん」を生み出した背景には、地域経済の活性化、石川県のPRの力になりたいとの思いがある。そのため、通常、こうしたキャラクターを商用利用する場合、企業等はライセンス料を支払う必要があるが、「たまひめちゃん」の場合は、ホームページ上にアップしてある画像データに関しては誰でも無料で使えるようにした。自由に使えるとあって、名刺や看板などに利用されるケースが増え、認知度向上にもつながった。
一方、デザインやポーズをアレンジして商用利用する場合は、デザイン料とライセンス料が必要だ。ライセンス料は食品や土産品など商品開発の場合は販売価格の3%から、ゲームやアプリなどデジタルコンテンツ制作の場合は販売価格の5%からとなっている。ただし、北陸新幹線開業キャンペーンとして、石川県及び沿線自治体(東京都23区、埼玉県、群馬県、長野県、新潟県、富山県)の企業は平成28年3月末まではライセンス料は必要ない。
すでに食品や飲料のパッケージなどに利用されているほか、キーホルダーやハンカチなど、さまざまな用途で活用されている。今年11月には尼の衣装を着た「たまひめちゃん」が北陸自動車道尼御前サービスエリアのPRキャラクターとして採用され、12月からコラボレーション商品の第1弾として能登豚使用の肉まん「のとまん」が発売されるなど、活躍の場は順調に増えている。
また、地元との協力関係も築きつつある。金沢市内の福祉施設の協力を得て、スマートフォン用コミュニケーションアプリ「LINE」で使えるスタンプの制作を進めている。障がいがある人への仕事を提供するとともに売り上げの一部を市内の福祉施設に寄付するという。そのほか、金沢大学附属高校と連携した金沢の歴史などの情報を発信するブログの作成も進行中だ。
さらに活用してもらうため、今後、3Dホログラム(立体画像)などを開発する計画で、ほんだ社長は「地元のクリエイターなどに、それぞれの得意な技術を生かして参加してほしい」と呼びかけている。
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創業・設立 | 設立 平成26年2月 |
事業内容 | 石川県非公認キャラクター「たまひめちゃん」のプロデュース |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.79より抜粋 |
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掲載号 | vol.79 |