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ISICOは11月19日、県地場産業振興センターで「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」を開催し、最優秀起業家賞1人、優秀起業家賞5人を決定した。このコンテストは将来有望な起業家の発掘を目的とした事業で、8回目を迎える今回は、スタートアップ資金補助金の総額を1,000万円に倍増し、支援対象も6人に増やした。当日は過去最多となる県内外の114人の応募者の中から1次・2次審査を突破した10人が、練り上げた事業計画を発表。(株)アイ・オー・データ機器の細野昭雄社長をはじめ起業家や経営コンサルタント、金融機関の融資担当者らが審査し、ISICO理事長の谷本正憲知事が受賞者に表彰状を手渡した。ここでは、受賞者の提案内容を紹介する。
竹田太志さんが手がけているのは、3Dプリンターやレーザーカッターといったデジタル工作機を車に積み、ものづくりに活用したい人のもとへと出向く「出張FAB」である。コンテストでは、この出張FABと石川の伝統工芸とのコラボレーションについて提案した。
伝統工芸品の製造にデジタル工作機を活用するメリットのひとつは、これまでにない形状やデザインの提案が可能になることだ。また、デザインや製造のスピードアップ、コストダウンにもつながる。3DCGなど新しい技術が求められるので、業界内に若手を呼び込むことにもつながる。
竹田さんは、まずは漆器での活用を想定し、石川県内の漆器業界への売り込みに注力する。将来的には「FABLAB(ファブラボ)」と呼ばれるデジタル工作機を常設した店舗の開設も視野に入れている。
清水巧さんが発表したのは、企業がプロジェクト単位で協力者を募集できるウェブサービスだ。ユーザーは今の会社に勤めながら他社のプロジェクトに参画することが可能で、その結果、社外の知見を吸収し、新たな成長の機会を得ることができる。企業にとっては、事業活動に共感してくれた、意欲的な人材に手伝ってもらえる点がメリットだ。
今年6月から試験サービスの提供を開始。135社が利用し、224人のユーザーとの出会いにつながっている。企業とユーザーの思いが一致すれば、就職、転職につながるケースもある。「既存の求人サイトの場合、求職者は知名度や給与体系でしか判断しないのでベンチャー企業には人が集まりにくい、事業に共感してくれる人が応募してこないといった課題がある」と清水さん。転職を前提としなくても他社の事業に気軽にかかわることができる仕組みを作り、日本を元気にすることを目指している。
臨床心理士の資格を持つ長尾紀久子さんが提供するのは、心理学と脳科学を組み合わせた心理カウンセリングに加えて社会適応技能トレーニングを施し、人の心と行動を成長させるサービスだ。トレーニング前後の変化を科学的に評価する点が強みで、最新の脳機能測定装置を含む複数の測定方法を利用すると同時に、世界中から優秀な研究者が集まるボストン大学数学研究室においてデータ解析を行う。
用意しているのは、就職や結婚など、人生の一大イベントを無事に迎えるための「プレミアムコース」と、普段の仕事やスポーツの成績を上げるための「お手軽コース」。いずれも脳内でリラックス時に出るアルファ波など脳波のリズムを合わせることが基本で、利用者が自分の意思でそれらを整えられるように指導する。長尾さんは「プラス思考で毎日幸せな生活を送れる人を増やしたい」と将来の全国展開を視野に入れている。
北郷 奈緒子・井堂 明子
「日本に点在する価値に光をあてる中小企業簡単グローバル化パック」
綿崎 春光 (株)グリーン
「感染性廃棄物を院内で処理するエコ・グリーン計画」
加藤 真一 加藤鉄工所
「省資源に役立つ、微小径エンドミル向けの新しい高精度再研磨技術及び応用ビジネス」
畑野 義和 (株)セサミ・リモート
「スマホでパーキングゲートを開閉する次世代の駐車場オペレーションサービスの展開」
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.79より抜粋 |
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掲載号 | vol.79 |