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県内の企業、団体が行っている話題性のある取り組み、ユニークな活動に注目しました。
建設ドットウェブの主力は、建設会社向けに開発した原価管理システム「どっと原価」である。「銀行振込と手形を併用したり、材料費をあらかじめ相殺したり、建設会社は他の業種に比べて、支払い業務が複雑」と話すのは同社の三國浩明社長である。「どっと原価」では、こうした建設業特有の商習慣に対応できるほか、40種以上の会計ソフトと連動できる点で、他社との差別化を図っている。
製品の利用者は主に従業員10人から300人の中小建設会社で、リコージャパン(株)、富士ゼロックス(株)、キヤノンシステムアンドサポート(株)やシステム販売会社などの販売代理店が販売する。平成13年の発売以降、約2,300社の導入実績は、こうした販売形態の原価管理システムでは国内トップを誇る。
平成25年には、比較的規模の大きい建設会社にも使い勝手がよく、建設業以外の業種の企業でも使いやすくカスタマイズできるように改良した「どっと原価NEO(ネオ)」を発売。石川ブランド認定製品にも選ばれた。
高機能の製品を開発する一方、人材育成にも力を入れる。新入社員は半年間、企業会計について研修を受けなければならないほか、営業、アフターサポートに携わる社員は最低でも簿記3級を取得しなければならない。
三國社長は「東京オリンピックを控え、建設業の仕事は必ず増える。しかし、建設業界では人件費、資材費が高騰しており、原価管理をしっかりやらないと利益が出ない」と話し、今後の拡販に自信を見せる。
これまで蓄えてきたノウハウを生かし、ユニークな試みにも取り組んでいる。それが、「現場の家計簿塾」である。これは会計士を対象にしたセミナーで、会計士が顧問先の企業に原価管理を指導するためのノウハウを伝授する。4日にわたって行われるセミナーでは三國社長が講師を務め、これまでに東京・大阪・名古屋・福岡などで開講した。多い時には120人が参加する盛況ぶりだ。
建設ドットウェブにとっては、会計士の顧問先にシステムを販売できることがメリットとなる。同社は顧問先に「どっと原価」の機能限定版となる「現場の家計簿」を安価で提供。セミナーを受講する会計士が増えるに伴って、導入数も着実に増えている。
一方、会計士にとっても受講のメリットは大きい。ここ数年、会計士業界も競争が激化しており、新たな顧問先を獲得したり、顧問費用を積み増すには、顧問先に利益をもたらすような原価管理のノウハウが武器になるのである。
このほか、同社では今年9月、「どっと原価」で入力した情報を外出先のパソコンやスマートフォン、タブレットで確認できるようにした「どっと原価 for kintone(キントーン)」をリリースした。「売り上げを伸ばすには、マーケットを見すえ、常に新しい戦略を打ち出すことが必要だ」。そう話す三國社長の次なる戦略に注目したい。
企業名 | 株式会社 建設ドットウェブ |
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創業・設立 | 設立 平成13年1月 |
事業内容 | 個別原価管理システム開発・販売、運用コンサルティング |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.78より抜粋 |
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掲載号 | vol.78 |