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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
九谷竹隆窯では活性化ファンドの助成事業を活用し、「九谷焼付け爪」の商品化に取り組んでいる。これは、九谷焼の器と同じく、小松市内で採れる花坂陶石で作った爪の形の生地に、九谷五彩や金彩で花鳥や石畳などの文様を一枚一枚手描きして焼き上げたものだ。
使い方は一般的な付け爪と同様で、専用の両面テープや接着剤で爪に張るだけ。九谷焼で付け爪と聞けば、重くて付け心地が悪いのではと感じるかもしれないが、厚さ約1ミリ、重さ約1.5グラムと薄くて軽く、付けていることを思わず忘れてしまうほどだ。仮に落としても簡単に割れるようなことはない。
価格は10枚セットで、30,000~35,000円。現在は受注生産で販売している。製作にあたる北村和義さんは、「身に付ける九谷焼として、結婚式やパーティーなど、特別な場に出かける際のおしゃれとして楽しんでほしい」とアピールする。
製作のきっかけとなったのは、シューズメーカーとのコラボレーションで、スニーカー型の九谷焼を作ったことだった。これが雑誌などで紹介されると大きな反響があり、北村さんは「九谷焼の色絵はファッション業界に通用するのでは」と考えるようになったという。その後、友人の言葉をヒントに付け爪を試作したところ評判がよく、取り組みを本格化させた。
転機となったのが、昨年秋に東京で開催されたファッション業界の展示会「rooms(ルームス)」への出展だった。この展示会に並ぶのは、デザイン性や品質に優れた商品ばかりだ。一方、当時の付け爪は、厚さと重みが現在の2倍近くもあるものだった。「九谷焼で作ったというだけではファッション業界に認められない。もっと付け爪としての完成度を上げなければ」。
そう痛感した北村さんは、今年に入って従来よりも薄くて軽い生地に改良。
しかも、中央から先端にかけて徐々に薄くなる美しいシルエットを追求した。こうした取り組みを重ねる中で、引き合いも増えてきた。
付け爪のほかにも、年内にはピンバッジの試作品を完成させる予定で、アパレル通販企業と連携したペンダントの製作も進んでいる。
「市場が先細る中、伝統工芸は作品だけでなく、新しいお客さんを作っていかなければ、生き残りは難しい。付け爪などをきっかけに九谷焼を手に取ってくれる人を増やしたい」。九谷焼の可能性をさらに広げるため、北村さんの挑戦はまだまだ続く。
企業名 | 九谷竹隆窯 |
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創業・設立 | 設立 昭和44年 |
事業内容 | 九谷焼の製造、販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.78より抜粋 |
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掲載号 | vol.78 |