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人口減少による国内市場の停滞や海外市場の拡大を背景に、県内企業においても国際展開への意欲が高まっている。今後、さらなるグローバル化の加速に向けて、より効果的に海外向け人材を育成しようと、海外での実地研修に取り組む企業が増えてきていることから、新たに研修制度を立ち上げたり、外部の研修・実習制度を活用するなどして、海外での人材育成に取り組む3社を紹介する。
各種チェーン、リム・ホイール、コンベヤシステム等の製造・販売を行う大同工業(株)(加賀市)では、海外展開が進み、現地法人の設立が増える中、海外への赴任者選びが課題となっていた。しかし、赴任者選びは容易でなく、その背景にあるのが社員の中にある「行ったことがない」「英語や現地語が話せない」「自信がない」といった意識だった。
このため、インドネシアで10年の駐在歴を持つ平野信一常務は、そうした不安意識を解消し、海外赴任に抵抗のない社員を育てようと、30歳未満の若手社員を1年間海外の子会社で研修させる「海外トレーニー制度」を発案。安心して研修できるよう、治安が比較的よく、日本人スタッフ数もある程度いるタイやアメリカの現地法人を研修先とすることとした。
しかし、それでも研修制度への参加の手はなかなか上がらなかった。その原因を探るため、人事担当者が若手社員にヒアリングを行ったところ、研修に興味があっても、この制度では欠員補充がないため、職場から自分が抜けると上司や先輩に迷惑がかかると思い、申し込みをしなかったケースが多くあることがわかった。ところが上司の方にヒアリングを行ったところ、若手社員の海外研修への参加を容認する声が多く聞かれた。そこで両者のギャップを埋めるため、本人、上司、人事担当による面談を行うようにしたところ、研修制度の参加に手を挙げる社員が増え始めた。
研修制度は現在3年目に突入し、毎年各国に2人ずつを派遣している。
研修成果について平野常務は「コミュニケーション能力、海外と関連する仕事への積極性、難しい仕事にも挑戦する意欲などが向上した」と手応えを感じており、「研修を終えた社員を海外生活への免疫がある3年以内に海外へ赴任させたい」と話す。
![]() 海外トレーニー制度の事務局を担当 全くルールのないところから、「とりあえずやってみよう」の精神で研修をスタートしました。その後、課題が出るたびに解決策を考え、海外トレーニー制度の実現につなげました。 |
![]() 平成25年度にタイのグループ企業で研修 現地スタッフとの会話に必要なタイ語が話せるようになり、英語もかなり身に付きました。外国人とのコミュニケーションが楽しくなり、海外でやっていく自信が付きました。タイでは一人で何役もこなす必要があり、仕事への興味も広がりました。 |
企業名 | 大同工業 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 昭和8年5月 |
事業内容 | 二輪車及び四輪車部品、産業機械部品等の製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.77より抜粋 |
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掲載号 | vol.77 |