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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
創業明治45年の老舗豆腐メーカー、金沢豆冨の一押し商品は「特製ひろず」である。ひろずは、全国的にはがんもどきの名で知られる。がんもどきには通常、ニンジンやキクラゲ、ギンナンなど4~5種類の具材が入っているが、特製ひろずの具材はなんと11種類。それら定番の具材に加え、生麩、すだれ麩を入れて金沢らしさを演出するほか、春にはタケノコ、秋にはクリを入れ、食べる人に季節感を感じてもらえるように工夫している。
また、豆腐につなぎとなるヤマイモ、細かくした具材をこね合わせて油で揚げるがんもどきに対し、特製ひろずは豆腐と加賀丸いもを練り合わせた生地に大ぶりの具材を包んで揚げる。「粘り気の強い加賀丸いもをつなぎに使うことで、揚げた時にふっくらとする。具材は刻んでないので存在感があり、食感も楽しめる」。そう話すのは同社の道越克彦社長だ。3年前には手軽に食べられるようにと、油抜きをして、下味を付けた上でだしにつけ込んで真空パックした「味付け特製ひろず」も商品化。調理する必要がない上、これまで消費期限は冷蔵で3日だったが、冷蔵で30日、冷凍で60日にわたって日持ちするようになった。
これらの商品は、毎週のように全国各地で開かれる物産展で好評で、1週間で2種類合わせて400~600個を売り上げる人気ぶりである。
同社ではこの特製ひろずの付加価値をさらにアップさせようとISICOの活性化ファンド補助事業を活用し、創業者の名前を冠した新商品「金澤彦次郎ひろず」の開発に取り組んでいる。
同社の豆腐の原料はすべて石川県産大豆で、加賀丸いもや生麩を取り入れるなど、独自性を発揮しているが、新商品では、さらに四季折々の加賀野菜や能登野菜を具材に取り入れ、オリジナリティーに磨きをかける考えだ。現在、来年夏の発売を目指し、金時草などを使って試作を進めており、道越社長は農林漁業者や食品加工業者に「ひろずに合う県産食材があれば、ぜひ連絡してほしい」と呼びかける。
同社全体で見れば、物産展での売り上げはまだ10%にも満たないが、主戦場であるスーパーでの豆腐の販売は、価格競争が激化しており、今後も付加価値の高い商品が好まれる物産展用の商品開発に力を入れ、企業の成長につなげていく。
企業名 | 株式会社 金沢豆冨 |
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創業・設立 | 創業 明治45年4月 |
事業内容 | 豆腐類及び関連食品製造・卸・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.75より抜粋 |
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掲載号 | vol.75 |