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高齢者を活用し、生産体制を拡充 じわもんシリーズの増産に成功

印刷ページ表示 更新日:2014年4月21日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.

高齢化の急速な進展、人口減少に伴う労働力不足などを背景に、シニア世代に対していかに就業機会を提供し、その活力を生かしていくかが、企業にとっても今後、重要な課題になると考えられている。そんな中、食品加工を手がけるオハラでは60歳以上の高齢者を新たに採用し、生産体制の拡充に成功している。

朝5時からの勤務も難なくこなす  

小原社長 オハラでは昨秋、60歳以上の高齢者20人をパートタイム労働者として採用した。勤務時間は午前5時から午前9時半。津幡町にある同社工場で、五郎島金時をすりつぶしてペースト状にする1次加工に従事している。
 労働意欲の高い人材ばかりで、早朝からの仕事も厭わず、それどころか午前4時半までにはほとんどの高齢者が出社してくる。遅刻、欠勤は皆無。同社では働く高齢者を、敬意を込めて “ 達人”と呼んでいる。小原繁社長は「雪の影響などで材料の仕入れが遅れることもあるが、明日は休んでほしい、あるいは代わりに日曜に出社してほしいといった急な要望にも快く応じてくれて助かっている」と笑顔を見せる。
 高齢者にとっても仕事への満足度は高く、帰宅前に気付いたことを記入する「今日の一言カード」には、「充実した日々を過ごしている」「仕事は楽しく、素晴らしい仲間ができた」「長く勤められるように頑張りたい」といった内容がつづられている。
 五郎島金時の加工は3月末でいったん終了するため、数人を除いて雇用契約も解除するが、小原社長が「秋になったら、また来てね」と声を掛けると、高齢者からは「必ず呼んでや」と元気な返事があるという。

求人にはチラシが効果を発揮

五郎島金時を加工する高齢者は平均68歳。 オハラが高齢者雇用に乗り出したのは、五郎島金時を使ったペーストの需要拡大に対応するためである。
 増産に向け、工場の操業開始を午前9時から午前5時に繰り上げることに決め、早朝に働ける人材を募集したが、当初はまったく応募がなかった。そこで着目したのが朝に強い高齢者だった。
 求人にあたって、小原社長が参考にしたのが、岐阜県で金型メーカーを経営し、多くの高齢者を雇用している友人から得た「高齢者の求人にはチラシを活用すべき」というアドバイスである。ハローワークや求人誌にはそもそも高齢者に限定して募集するような情報が掲出されておらず、高齢者もあまり利用していない。その点、チラシならば在宅中の高齢者の目に留まる確率が高いというわけだ。
「60歳以上」と大きく表記した求人チラシ。 オハラでは昨年9月、「年齢制限あり 60歳以上」と大きく表記したチラシを、かほく市南部、津幡町、金沢市北部の3万世帯に新聞折り込みで配布。すると約20人から応募があり、9人を採用した。11 月には再びチラシで応募を呼びかけ、さらに11人を採用した。

感謝の言葉が役立っている実感に

 高齢者のモチベーションアップに役立っているのが、オハラが約10年前から続けている「努力賞カード」だ。これは、仕事で助けてもらった時などに、社員同士が感謝の気持ちをカードに記して贈るという取り組みだ。カードを受け取った社員や提出した社員にはポイントが与えられ、毎月、ポイントの多い社員やチームを表彰する。
 この仕組みには、もちろんパートタイム労働者も参加している。高齢者にも「朝早くから材料を洗ってくれてありがとう」といった感謝の言葉を記入したカードが何枚も贈られており、小原社長は、「このことが自分は会社の一員として役に立っているという実感につながり、同時に良好な人間関係づくりにつながっている」と分析している。

地元の規格外農水産物を商品化

五郎島金時ペーストを使ったセブン-イレブンの商品。 ところで、オハラが加工する五郎島金時のペーストはコンビニエンスストア大手セブン- イレブンに納品され、パンやようかんの材料として使われている。原材料に用いられるのは、味は良くても、収穫時に傷が付いたり、形が悪かったりする規格外品だ。
 「私たちは言ってみれば“ 架け橋産業” です。農水産物を作る人と食品を食べる人、あるいは生産する地域と消費する都市の架け橋になって、生産者や消費者、販売店の皆さんを笑顔にしたい」。小原社長はそう話し、約10年前から地元の規格外農水産物の活用に力を入れてきた。
 五郎島金時の加工にあたっては、ISICOの「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の支援を受け、焼成機、皮と実の分離機、真空包装機などを導入。また、ISICOと協力しながら、県内各地の規格外農水産物を開拓し、能登町の小木港で水揚げされたイカを使ったおかき、金沢産のリンゴを加工したゼリーなどを商品化してきた。
 こうした商品群は「じわもんシリーズ」と位置づけられ、現在では同社の売り上げの約10%を占める経営の柱に成長した。
 小原社長は北陸新幹線の金沢開業を大きな商機ととらえ、今後も農水産物を扱う量が増える季節、中元や歳暮を控える繁忙期に高齢者を積極的に活用し、「じわもんシリーズ」をさらに充実させていく計画だ。

企業情報

企業名 株式会社 オハラ
創業・設立 設立 昭和53年4月
事業内容 ゼリー、プリン、こんにゃく、農産物加工品等の製造・販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.75より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.75


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