ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 炭素繊維強化プラスチックで世界最小チェーンを開発

本文

炭素繊維強化プラスチックで世界最小チェーンを開発

印刷ページ表示 更新日:2013年12月27日更新

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

サンドイッチ構造を独自に考案

写真下がCFRP製の世界最小チェーン。上は同サイズの鋼製サイレントチェーン オリエンタルチエン工業は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使って、高強度で超軽量の世界最小チェーンの開発に取り組んでいる。
 樹脂製チェーンは食品搬送機械などで広く使われているが、鋼製チェーンに比べて許容荷重が10分の1しかないため、用途が限られている。同社では、樹脂製部品に炭素繊維を巻き、さらにその周りを樹脂で固めるサンドイッチ構造によって、強度を従来の樹脂製チェーンの2倍以上に高めることを目標にしている。樹脂は、熱硬化性に比べて価格が安く、加熱すると軟化して成形しやすくなる熱可塑性のものを採用した。重さは鋼製に比べて65%も軽くなる。これまでにも、短く切った炭素繊維を樹脂に混ぜ込んで成形したチェーンが製品化されているが、強度は不十分だった。
 平成23年度からISICOの「いしかわ次世代産業創造ファンド事業」に採択されて開発をスタートし、金沢大学の新田晃平教授が樹脂の選定や成形法の研究に協力するほか、県工業試験場が試験、評価を担当している。
 既に試作品を完成させており、今後、工程を見直すなどして、一層の強度アップと量産技術の確立を目指す。

内視鏡用に一層の強度アップを目指す

 平開発の契機となったのは、医療現場のニーズだった。同社が開発した鋼製の世界最小チェーンは大手医療機器メーカーの内視鏡部品として使われているが、内視鏡は医師が手に持って操作するため、軽量化が課題となっていた。しかし、樹脂製チェーンでは強度が足らず、耐久性も低い。そこで注目したのがCFRPだった。
 とはいえ、強度アップは難題で、同社では今も試行錯誤が続いている。当面の目標となるのが従来の樹脂製チェーンの2倍以上の強度を確保することだ。この強度ならば、さまざまな用途が見込めるそうで、内視鏡用の開発は次のステップとなる。
 同社ではチェーンのほか、小さくて複雑な形状の部品を安価で製造できる金属射出成形技術を生かして、医療機器メーカーと共同研究を進めるほか、西村社長平成24年度にはISICOのFS調査事業で強度と延性を兼ね備えた医療用部材の調査を実施するなど、医療分野の開拓に力を入れており、CFRP製チェーンがラインアップに加われば新たな強みになる。
 同社の主戦場はチェーンの中でも市場規模の小さい特殊チェーンである。「そこで生き残るには、世界で誰も作っていないチェーンの開発が必要。大企業よりも資金力や開発力は劣るが、その分、情熱を持って取り組みたい」。西村武社長はそう話し、CFRP製チェーンの一日も早い完成に向け、開発に拍車をかける。

企業情報

企業名 オリエンタルチエン工業 株式会社 
創業・設立 設立 昭和22年8月
事業内容 伝動用チェーン、コンベアチェーンなどの製造、販売

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 関連URLを開く
備考 情報誌「ISICO」vol.73より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.73


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


アンケートフォームへのリンク

ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク