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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
金沢市を中心とした地元産の野菜を使った「金沢のピクルス」が昨年4月の販売開始以来、人気を集めている。東京ミッドタウンやKITTEなど、話題の商業施設でも販売され、月に1,500個以上を売り上げているという。手がけるのは、金沢市元町の人気レストラン「バーカロ」のオーナーシェフ・上宮(かみや)大輔氏だ。
「 コンセプトは“もったいない”」(上宮氏)という金沢のピクルスの特色は、規格外野菜を使う点にある。規格外野菜は、少し傷があったり、形がいびつだったりするなど、品質に問題はないものの、一般に流通するケースはまれで、廃棄されることも少なくない。それを長期保存可能なピクルスにし、有効活用したのが、金沢のピクルスである。
開発のきっかけは3年前、上宮氏が加賀れんこんを栽培する友人から規格外品を譲り受けたことだった。「レストランでは使いきれなくて、せっかくのいい素材を生かすため、ピクルスにしたのが始まり」と、上宮氏は振り返る。その後、さまざまな野菜でピクルスを作り、店内で取り扱いを始めたところ、評判は上々。いつしかレストランの人気メニューとなり、ピクルスに特化した事業展開を思い描いたという。
これまでに商品化したピクルスは、加賀野菜の金時草や青トマトなど、季節商品も含めると約40種類にも上る。上宮氏の感性でそれぞれの野菜に合った果汁や調味料を加え、保存料や添加物を一切使わずに素材の味を生かしたピクルスは、口コミで評判を広げ、リピーターも増え続けている。
販売から1年半、順調な滑り出しを見せるが、商品化にあたっては壁もあった。「販路拡大に向け、流通、保管しやすくするため、冷蔵ではなく、常温保存できるようにしたかった」と上宮氏。幅広く情報を求め、ピクルスを扱う店に直接問い合わせるなどし、食感や風味を損なわずに殺菌処理する方法を確立したそうで、現在では県内だけでなく、大都市圏でも取扱店を増やしている。
さらに、平成25年度のISICOの活性化ファンドの採択を受け、能登の農家とタッグを組み、野菜マリネ(醤油漬け)やコンフィ(塩漬け)に加工する商品開発もスタート。“もったいない”を広めるための事業展開は、新たなステージに踏み出している。
企業名 | 株式会社 KAMIYA 金沢のピクルス |
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創業・設立 | 設立 平成24年9月 |
事業内容 | 「金沢のピクルス」の製造・販売 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.73より抜粋 |
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掲載号 | vol.73 |