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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
おしゃれに敏感な男性の間で、伝統工芸の技法を生かした新たなメンズアクセサリー「ボタンダウンピアス」の注目度が高まっている。ボタンダウンピアスは平成25年度プレミアム石川ブランドに選ばれ、活性化ファンド事業にも採択されたもので、商品化したのは加賀市山中温泉で加賀蒔絵を手がける「うるしアートはりや」だ。昨年11月に販売を始めたところ、人気セレクトショップ・ビームスの期間限定イベントや東急ハンズ横浜店などでの取り扱いが決まり、販売も好調だという。
ボタンダウンピアスは、ボタンダウンシャツの襟先のボタンに脱着でき、職人の手で装飾が施されている。デザインは多彩で、てんとう虫やサッカーボールをモチーフとしたカジュアルなタイプ、単色で仕上げたシンプルなもの、ドクロがモチーフのスカルシリーズなど、蒔絵の技法を生かした32種類をそろえる。「ワンポイントだからこそ遊び心を演出したり、さりげないおしゃれを楽しんだりでき、幅広い世代から好評だ」。代表の長男で開発を担った針谷崇之さんはこう話し、新商品の滑り出しに手応えを感じている。
うるしアートはりやがメンズアクセサリーの製造を始めたのは3年前からだ。もともとは茶道具を中心に蒔絵を施していたが、崇之さんの母親が独自商品として女性用アクセサリーを制作。それを手に全国の展示販売会を回る中で、客側から男性用の商品を望む声が高まったのがきっかけだ。
開発にあたっては県の「伝統産業商品提案力育成事業」に参加し、ブランディングやグラフィックデザインなどを行うイクス(東京)代表の永田宙郷(おきさと)さんら専門家のアドバイスを受け、蒔絵を生かしたカフスやピンブローチ、ループタイなどを開発。これらをオリジナルブランド「MT.ARTIGIANO(モンテアルティジャーノ)」として展開した。
ボタンダウンピアスもラインアップの一つだが、当初、商品化には不安があった。「なじみのあるアイテムとは言えず、どう売り込むかに頭を悩ませた」と、崇之さんは振り返る。そんなとき、永田さんらデザイナーがカタログやポスターといった販促ツールを制作し、これらを生かしてバイヤーが集まる見本市に出展し、販路を開拓。販売2年目を迎えた今、うるしアートはりやではその動きを加速している。
企業名 | 株式会社 うるしアートはりや |
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創業・設立 | 設立 昭和56年4月 |
事業内容 | 工業製品・クラフト・産業機械のデザイン、グラフィックデザインなど |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.73より抜粋 |
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掲載号 | vol.73 |