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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
山中漆器の製造、販売を手がける(株)竹中は、主力商品である弁当箱をアメリカ市場に売り込んでいる。昨年1月以降、ニューヨークやシカゴの展示会に出展するほか、バイヤー向けに商品を紹介するホームページを立ち上げ、販路拡大に力を入れてきた。現在、取扱店はウェブショップや生活雑貨店など60店舗に増加。このうち20店舗からは毎月のように追加受注があり、順調に販売数を伸ばしている。
アメリカで販売している弁当箱は、PET樹脂にウレタン塗料で塗装したいわゆる近代漆器である。アメリカ市場の情報収集を行った上でサイズやデザイン、カラーについて試行錯誤を繰り返した末、1段タイプと2段タイプが2種類ずつの全4種類をラインアップする。形はどれもシンプルな長方形だ。「柄やイラストが描かれた弁当箱は子どもっぽいと敬遠される」(竹中俊介社長)ことから、すべて無地だが、それぞれに13色と豊富なカラーバリエーションをそろえている。
アメリカ人から特に高く評価されているのが美しい色つやだ。優れた耐久性、電子レンジや食器洗い乾燥機にも対応する利便性、汁がもれず、2段タイプの場合は食べ終わった後、コンパクトに収納できる機能性も好評である。
アメリカのバイヤーは追加注文に対して、速やかに納品しなければ、その後発注してくれなくなるため、現地の倉庫に在庫を置き、アメリカ企業に商品管理を委託し、速やかに納品できる体制を整えている。
竹中社長がアメリカでの販売に取り組んだ背景には「日本の国内消費は10年後、必ずマイナスになる」との危機感がある。そのため、事業を維持、発展させるには今とは違う販路が必要と考え、海外挑戦を決めた。進出にあたっては、山中漆器の業者が既に参入しているヨーロッパ、流通過程が不透明な中国を避け、アメリカを選んだ。展示会出展には「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」海外展開支援枠の助成金を活用した。
アメリカでは日本のような弁当箱は一般的でなく、サンドイッチを食品保存用の容器や袋で持参する人が多い。竹中社長は「アメリカの人口は日本の2.4倍。その上、市場は未成熟で大きく成長する可能性を秘めている」と期待を寄せ、アメリカでの販路開拓に一層力を入れる。
企業名 | 株式会社 竹中 |
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創業・設立 | 創業 大正14年4月 |
事業内容 | 漆器の製造、販売など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.72より抜粋 |
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掲載号 | vol.72 |