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「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」の採択企業、各種展示会の出展企業の商品等にスポットを当てます。
エイジデザインが開発した九谷焼の小皿の売れ行きが好調だ。「hiracle(ひらくる)さくら小皿」と名付けられたこの商品は、丸い小皿の中に窪みをつけた形状で、醤油やオリーブオイルなどを注ぐと、液面が桜の花の形に見えるように趣向が凝らされている。デザインを手がけた稲垣揚平社長も「予想以上」と驚く人気ぶりで、昨年7月の発売以降、次々寄せられる注文に生産が追いつかない状況が続いている。
小型洗浄機や漆器のタンブラーなど、ものづくり企業から依頼を受け、さまざまな工業製品や工芸品をデザインしてきた稲垣社長。そうした企業と連携するうち、「いずれ自社商品を作りたい」との思いが募り、法人化と事務所の移転をきっかけに、さくら小皿を開発した。
自社商品を作る際、中小企業にとって重荷となるのが試作開発費だ。今回商品化した小皿は窪みの形が少し変わるだけで、液面の見え方も大きく変化する。そのたびに、試作品を作っていたのでは時間もかかる上、経営を圧迫しかねない。そこで活用したのが3次元で物の形状を作成する3Dモデリングソフトだ。同社では2種類のソフトを使って、窪みの形状や桜の花の見え方をコンピュータ上でシミュレーションすることで、ローコストでスピーディーな商品開発に成功した。
あえて絵付けを施さず、独自のフォルムによって九谷焼の新たな魅力を引き出したさくら小皿は、現代の食卓にとけ込み、さまざまな料理、食器とも組み合わせやすいデザインだ。
東京デザイナーズウィークなどの出展を通じて販路を拡大し、現在、全国のセレクトショップやネットショップ、西武池袋店で販売されているほか、伊勢丹のブライダルギフト用カタログにも掲載されている。新築祝いや結婚祝いなど、ギフト用に購入する人が多いという。
「日本の伝統工芸は海外で喜ばれる」(稲垣社長)ことから、日本だけでなく海外展開にも意欲を示す。
稲垣社長は現在、今年10月の発表に向けてシリーズ第二弾となる商品開発を進めており、デザイナーという自由な立ち位置を生かして「県内のさまざまな伝統工芸産地と連携してものづくりしたい」と意欲を見せる。デザイナーの感性を生かした付加価値の高い商品は、石川の伝統工芸に新しい風を吹き込んでくれそうだ。
企業名 | エイジデザイン 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 平成17年1月 |
事業内容 | 工業製品・クラフト・産業機械のデザイン、グラフィックデザインなど |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.72より抜粋 |
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掲載号 | vol.72 |