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東京インターナショナル・ギフトショーに出展
ISICOは9月4日から3日間、東京ビッグサイトで開かれた「東京インターナショナル・ギフトショー秋2013」に出展した。これは、ISICOが県内中小企業の新商品を首都圏に売り込むために取り組んでいる事業で、今回は輪島塗や九谷焼、加賀友禅などを手がける18の企業、団体が出展し、独自の技術や工夫を凝らした商品をバイヤーらにアピールした。巻頭特集では、ISICOの支援を受けて出展するメリットや展示会での成果について紹介する。
ギフトショーは日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市で、毎年春と秋に開催されている。今回は国内外から約2,500社が出展し、会期中は百貨店や専門店、卸売業者などのバイヤーら約19万人が来場した。
ISICOでは平成18年度から毎年、新商品を首都圏でPRしたい県内中小企業を募って、ギフトショーに出展。一つのブースの中に、企業の紹介コーナーを個別に設け、販路開拓を後押ししている。今回は18社が出展し、このうち6社は初めての出展だった。
ギフトショーには、企業が独自に出展することも可能だが、ISICOのブースには、単独出展にはないメリットがある。
まず、企業が口をそろえて挙げるのが、出展費用の安さである。ブースが広い点も利点の一つだ。
ISICOのブースは全体で12小間分(18×6m)の広さがあり、1企業に1小間(3×3m)の半分ほどのスペースが割り当てられる。ギフトショーの会場には約2,500社がひしめくだけに、ブースが広ければ、その分、目立って人目につきやすい。また、複数の企業が集まって出展するスタイルは、集客面でも相乗効果を発揮する。
今回が初出展で、自社商品第一弾として蝶が指に止まっているように見えるマグカップを開発した谷口製土所の谷口浩一さんは「まだ商品が一つしかないので、単独での出展は難しい。石川のいろんな企業が集まったブースなので、他社を目当てに来たバイヤーにも見てもらえて、商機につながった」と話す。
広いスペースで、複数の企業がまとまって出展するメリットを最大限に発揮できるよう、ISICOが力を入れるのが統一感のあるブースづくりだ。今回は石川県の持つ伝統や格式を感じさせる色で、次世代産業として期待される炭素繊維をイメージした黒を基調にブースをデザインした。
全体としてまとまりのあるブースを作り上げると同時に、より誘客効果の高いディスプレー方法について学んでもらうため、本番から約1カ月前の8月初旬には、専門家が実際に陳列する商品やポスター、什器を使って、出展企業にアドバイスする機会を設けた。専門家からは「実物の商品をよく見てもらうために、ポスターを張り過ぎない」「テーブル上の展示は高低差を付けて見せるとインパクトがある」「会場は商品であふれ、来場者は見るのに疲れているので、商品はたくさん置かずに絞り込む」などの助言が送られた。
このほか、会期中は販路開拓アドバイザーが情報提供やバイヤーとのマッチングをサポートした。
もちろん、出展を機に商談が進むケースは数多い。独自の練乾漆技法を用い、使い込むと下塗りの色が見えて、苔むしたような表情が現れる漆器「KOKEMUSU」を展示した輪島塗ぬり工房楽の引持玉緒さんは
「大手企業からKOKEMUSUとのコラボ依頼や百貨店での催事出展のご提案をいただき、手応えのある展示会になった」と顔をほころばせる。
「県内にとどまっていては実現しない出会いがある」と話すのは、間伐材を使ったおもちゃを製造、販売するMOKU・MOKU工房の汐井多惠子社長だ。同社の製品には東京の大手雑誌社も今後の連携に関心を示したそうで、ものづくり業界の枠にとどまらないコラボレーションに期待が膨らむ。
来場するバイヤーから直接声を聞けるので、市場調査の場としても大きな意味を持つ。例えば、先ほど紹介した谷口さんは「展示したマグカップはブライダル向けの需要が大きいことが分かったので、今後の商品企画に生かしたい」と意欲を見せる。
魅力的な商品があるのに、販路開拓の足がかりがないという中小企業は少なくないだろう。ISICOでは今後もギフトショーへの出展を計画しているので、首都圏への拡販を目指す県内中小企業は、ぜひご活用いただきたい。
message 販路開拓アドバイザー 荒木泰弘 |
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.72より抜粋 |
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掲載号 | vol.72 |