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県内の企業、団体が行っている話題性のある取り組み、ユニークな活動に注目しました。
ビットストリームが運営する地域情報のポータルサイト「あるんけ金沢」では、サントリーと連携し、金沢市内の銭湯を紹介する特集を組んでいる。特集では石川県公衆浴場業生活衛生同業組合金沢支部に所属する27軒が掲載されており、このうち冷蔵庫のある25軒でアルコール、カロリー、糖質をゼロにしたサントリーのビールテイスト飲料「オールフリー」250ml缶を販売するキャンペーンを展開している。キャンペーンはオールフリー250ml缶の発売日に合わせ、今年6月11日にスタートした。
同社とサントリーとの共同企画は昨年夏に続いて2回目となる。1回目の企画はサイトの掲載店が同社とサントリーとの橋渡し役となって実現したもので、「あるんけ金沢」に掲載されている飲食店でサントリーのビールや角ハイボールを注文し、スタンプを集めると、抽選でジョッキやビールが当たる趣向だった。
今回のキャンペーンのアイデアは、掲載店から聞いた「金沢の銭湯に観光客が入りに来る」という情報がヒントになった。同社の前田尚毅代表は、「それならばネットで紹介すれば、もっと多くの観光客に銭湯をPRできる」と考え、オールフリーの広報展開を考えていたサントリーとマッチングした。前田代表は「金沢には個性的な銭湯があるので、観光客だけでなく、地元の人や若い人にその良さを知ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。
ところで、「あるんけ金沢」への情報掲載は無料で、こうしたキャンペーンによってビットストリームが報酬を得られるわけでもない。それでも前田代表がこうした取り組みに力を入れるのは「あるんけ金沢」の知名度アップにつながるからだ。
2011年6月に設立したサイトには現在、280店が紹介されており、掲載店が独自にサイトを立ち上げる際、制作を受注するケースも少なくない。知名度が上がれば、掲載店も増え、その分、ビジネスチャンスが広がるというわけだ。
また、同社にとっては技術力をアピールする場にもなっている。例えば「あるんけ金沢」に盛り込まれているレスポンシブ・ウェブデザイン(※1)やウェブフォント(※2)といった技術を提案することで、大手企業の受託開発につながることもあるのだ。
今年に入ってからは金沢市と野々市市の「オープンデータ」を活用して機能を拡充した。オープンデータは自治体などが保有する各種データをコンピュータ処理できる形で公開し、民間による二次利用を可能とする取り組みで、「あるんけ金沢」では、利用者の現在地に合わせて、公共施設や避難所、AEDの位置を地図上で確認できる。
「あるんけ能登が昨年6月に立ち上がっており、今後は白山や加賀にも拡大したい」。前田代表はそう話し、得意の技術を活用して地域経済活性化をサポートしながら、商機につなげる考えだ。
※1 ブラウザの横幅に合わせて、ページのレイアウトデザインを柔軟に調整できるようにする技術
※2 インターネットを通じて呼び出し、表示する文字。端末にその文字がインストールされていなくても、指定された文字を表示できる
企業名 | 株式会社 ビットストリーム |
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創業・設立 | 設立 平成18年11月 |
事業内容 | デジタルコンテンツ事業、インターネットサービスプロバイダ事業、コンピュータシステムのコンサルティング・設計・開発など |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.71より抜粋 |
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掲載号 | vol.71 |