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これまで海外戦略の中核となってきた中国に続く新たな投資先として、東南アジアに注目が集まっている。タイやベトナム、インドネシアなど10ヵ国が加盟するASEANは経済成長が続いている上、総人口が6億人を超え、比較的リスクの少ない生産拠点としてはもちろん、消費市場としても潜在的な魅力を秘めている。そこで、今回の特集では東南アジアにビジネスチャンスを見いだそうと積極的に取り組む県内の2社を取材した。
ISICOでは今年7月、ベトナムのハノイとホーチミンで、県内と現地のIT関連企業をマッチングするビジネス商談会を開催した。その参加企業の一つが、システム開発企業のCOM-ONEである。
商談会では主に同社が開発、販売代理を手がける二つのシステムを紹介した。一つは橋の建設年数や部材、構造、交通量などに応じて補修の時期や費用を算出する「I-BIMS(アイ・ビームス)」である。もう一つはタブレット端末にペンや指で書いた署名を文字の形や書き順、筆圧などを分析して本人かどうかを確認する「Cyber-SIGN(サイバー・サイン)」だ。
商談会では約20社にこれらのシステムを売り込むと同時に、お互いの得意とする技術について情報を交換した。このうちの1社とは、今後の共同開発も視野に商談を継続している。
同社の米田稔社長にとって、大きな魅力と映るのがベトナムの経済成長や都市の発展である。また、米田社長は「言語や文化の違いはあるが、ベトナムのIT 企業は日本企業と取引実績があったり、日本の企業や大学で学んだ経営者が多く、参入のハードルが低い。IT 教育も盛んで、人材も豊富」と話し、日本のIT 企業にとって好条件がそろっているとの見方を示す。
川や水路が多いベトナムには多くの橋が架かっており、「I-BIMS」を共同開発した日本海コンサルタント(金沢市)が同国での事業展開に向け、現地の3大学と交流協定を締結したことも米田社長の背中を後押しした。
昨年4月にはハノイ出身のベトナム人留学生であるタ・ダット・ティエンさんを社員として採用した。タさんはアジアの優秀な留学生を日本の大学に受け入れ、専門教育から日系企業への就職までをサポートする「アジア人財資金構想」事業を活用し、北陸先端科学技術大学院大学で組み込みシステム開発技術を学んでいた。COM - ONEはタさんのシステムエンジニアとしての力量を見込んで採用。商談会では通訳も務めた。
同社では来年度中をめどにタさんを責任者に据え、現地に拠点を設ける計画で、米田社長は「ゆくゆくは他のASEAN 諸国にも展開したい」と意欲を燃やしている。
企業名 | 株式会社 COM-ONE |
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創業・設立 | 設立 平成15年2月 |
事業内容 | 各種情報システムの開発 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.71より抜粋 |
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掲載号 | vol.71 |