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県内の企業、団体が行っている話題性のある取り組み、ユニークな活動に注目しました。
高桑美術印刷は古くから地域の人々に親しまれてきた「神社」と、神事と強い結びつきのある「日本酒」を組み合わせた新しい旅のスタイルを「聖地巡盃」と名付け、事業化に取り組んでいる。
同社は日本酒のラベル印刷でトップクラスのシェアを誇っており、日本各地の多くの酒蔵と取引がある。この事業を通して観光客を呼び込み、地域を活性化させると同時に、その土地で蔵を構える酒造メーカーの販売促進につなげるのが狙いだ。既に東日本大震災からの復興を支援するため、東北でモデルコースの作成やツアーを実施しており、今後、地元石川でも準備を進める。
「聖地巡盃」には大きく次の三つの要素が含まれる。一つ目は神社への参拝だ。社殿に上がって参拝するほか、神職から神社の由来などについて説明を受けたり、境内を散策したりする。二つ目は神社とゆかりのある酒蔵の見学だ。ここでは醸造工程を学んだり、試飲したりするほか、実際に酒造りの作業を体験できることもある。三つ目は食事で、郷土料理を味わいながら、その料理に合わせて蔵元が選んだ地酒を堪能する。
こうした体験を通して、その地域の歴史や文化、風土をより深く感じてもらおうというわけだ。
「聖地巡盃」の具現化に当たっては、旅行代理店や地域活性化を得意とするコンサルタントと連携し、経済産業省の平成23年度「クール・ジャパン地域集客・交流産業活性化支援事業」の後押しを受けた。
同事業では、公式ホームページを立ち上げ、旅のコンセプトや福島・宮城・岩手・青森の東北4県5ヵ所にある神社、酒蔵、ホテル・旅館を組み合わせたモデルコースを紹介したほか、平成24年の5月から7月にかけては5回にわたってモニターツアーを実施し、外国人を含む26人が参加した。
また、NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台として話題の福島県会津若松市の神社や酒蔵を訪ねるツアーを旅行商品として売り出し、今年2月に実施。十数人が参加し、好評を得た。
高桑美術印刷では、これまで培ったノウハウを基に石川での開催に向け、今後、自治体や地域の商工会、観光協会に協力を呼びかける。同社マーケット開発室の井上浩和課長は「ゆくゆくは日本全国に広げていきたい」と話し、地域文化の発信、集客につながる新たな戦略として期待が高まる。
企業名 | 高桑美術印刷 株式会社 |
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創業・設立 | 創業 大正元年10月 |
事業内容 | ラベル・パッケージ印刷、一般印刷、デジタルコンテンツ・映像制作など |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.70より抜粋 |
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掲載号 | vol.70 |