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地震で傾いた家屋を気圧で持ち上げる新工法

印刷ページ表示 更新日:2013年4月10日更新

トライアングル

県内では、産学官の連携によってニュービジネス創造を目指す動きが本格化しています。
ここでは、その実例に迫ります。

従来工法より4割以上安く

基礎の下に設置され、膨らませたジャケット 地盤改良工事などを手がける信成開発は、地震による液状化現象などで傾いた家屋を元通りにする「ジャケットアップ工法」を開発した。昨年8月以降、東日本大震災で被災した茨城、千葉両県内で約30棟を施工している。
 ジャケットとは袋状の合成繊維織物のことで、外側をゴム板でカバーしてある。この工法では傾いた家屋の基礎の下にジャケットを設置し、これを窒素ガスで膨らませて家屋を持ち上げる。その後、ジャケットの周辺にモルタルを充てんし、基礎を固定。最後にジャケットをしぼませて抜き取る。
 ジャケットは縦横35cm、厚さ3cmの大きさで、1棟の傾きを直すのに20~30枚のジャケットを使用する。日本初の工法で、現在、特許を申請中だ。
 傾いた家屋を修復するにはジャッキで持ち上げる工法が一般的だが、同社の鈴木浩史社長によれば、この場合、基礎の下にジャッキを設置するため2m近く掘り下げる必要があり、工期は4~6 週間、費用は500~800万円を要する。一方、ジャケットアップ工法ならば掘削は5cm程度でよく、工期は2週間、費用も300万円以内に抑えられる。
 鈴木社長は「千葉県浦安市では1万2,000棟が地盤沈下や液状化で傾き、少なくともその8割は手付かずの状態」と話し、今後さらに注文が増えると見込んでいる。

繊維会社と連携し、ジャケットを改良

 新工法開発のヒントとなったのは、同社が専門とする地盤改良工事である。鈴木社長は、この工事で地盤に薬液を注入するときに用いるポンプの圧力を利用して、傾いた家屋をち上げられないかと考えた。ポンプの注入圧力は最大20気圧で、1気圧には1平方メートル当たり10tを持ち上げる力がある。傾いた家屋を持ち上げるには十分というわけだ。
 また、トンネル工事では地盤が崩れ落ちないように支保工で支えるが、この際、モルタルを充てんしたジャケットで支保工と地盤の間に生じるすき間を埋める。鈴木社長はこのジャケットとポンプを組み合わせて新工法を編み出し、平成7年に阪神・淡路大震災、平成16年に新潟県中越地震が起こった際、被災家屋で試験施工を実施。平成23年度にはいしかわ次世代産業創造ファンド事業(新技術・新製品開発事業化可能性調査事業)に採択され、鈴木社長ジャケットの改良に取り組んだ。改良に当たっては丸井織物(中能登町)に協力を仰ぎ、大きさや注入口を施工しやすく見直したほか、窒素ガスが漏れないように素材や縫い糸の種類、縫い方を工夫した。また、外側をゴム板で覆い、耐久性を高めた。こうした改良でジャケットを何度も使えるようにすることでコスト低減を図った。
 鈴木社長は「世界最高の製品」と胸を張り、「今後は人命救助のためにがれきを持ち上げるレスキュー用の道具として製品化したい」と意欲を見せている。

企業情報

企業名 有限会社 信成開発
創業・設立 設立 平成5年4月
事業内容 土木工事、土壌汚染改良工事、トンネル補修工事、地盤改良工事など

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備考 情報誌「ISICO」vol.69より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.69


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