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モバイル端末で受発注が可能に。自社システムで全国展開に挑戦

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明日へのチャレンジ

各種受発注システムの開発などを手がけるアクロスソリューションズは、脱受託開発を目指し、独自のパッケージソフトの開発、販売に力を入れている。その背景には、受託開発に依存したビジネスモデルでは仕事量が不安定な上、単価が下落傾向にあるため、長期にわたる成長戦略を描きにくいという危機感がある。新たな成長のステージに向け、得意とする電子商取引システムを応用して、全国展開に取り組む同社の姿を紹介する。

スマホやタブレットが発注用の端末に

野村社長 アクロスソリューションズが得意とするのは、クラウドを活用した電子商取引システムや受発注システム、ショッピングサイトの開発で、設立以来、北陸で200社を超える導入実績を積み上げてきた。
 昨年9月にはそれらの実績と技術力が認められ、三井住友銀行グループの総合金融サービス会社・SMBCファイナンスサービスと業務提携。同社のネット決済システムを利用する北陸のショッピングサイトなどのシステム開発を請け負っている。
 設立以来、受託開発を中心としたビジネスモデルを展開する一方で、同社の野村充史社長は「現状に甘んじていては、売り上げが安定せず、将来がない」と危機感を募らせる。そこで、脱受託開発への切り込み役として、これまで培ってきた強みを生かして開発、リリースしたのが、中小企業向けのモバイル受発注システム「MOS(モス)」である。
 MOS とはモバイル・オーダリング・システムの頭文字であり、その名の通り、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を取り入れた点が最大の特徴だ。MOSを利用すれば、発注者はモバイル端末の専用画面に表示される商品名に応じて必要な数量を入力するだけで発注が完了する。発注された品目や数量は、受注した企業の基幹システムに自動的に反映される仕組みで、全国的にもあまり例のないニッチなサービスだ。
 注文頻度の高い商品ほど発注画面の上位に表示するといった具合に、受発注に便利なさまざまな工夫を盛り込むほか、さらに磨きをかけようと、利用企業から要望の多かった機能を付け加えるなど、絶えず改良を重ねている。

小口の受発注に最適 業務改善に効果

 MOSの導入に適しているのは、例えば卸業者と小売店など、小口の受発注を定期的に行う取引である。現在、小口の受発注の多くには電話やファクスが活用されているが、MOSを導入すれば、受注企業はそれらに対応したり、注文内容を基幹システムに入力したりする手間を省くことができる。
 これまでも、大口の取引の場合はEOSやEDIと呼ばれるオンライン受発注システムを利用するケースがあったが、受注企業に専用のサーバやソフトが必要な上、発注側にもパソコンが必須であり、小口の取引で使うには導入費用も高額だった。
 その点、クラウドを活用したMOSであれば、EOSやEDIに比べて導入費用を大幅に低減できる。発注側にとっても、普段使っているスマートフォンなどのモバイル端末さえあれば事足りるので取り組みやすく、パソコンを置くスペースのない小規模店舗にも導入可能だ。
 平成23年8月にリリース以降、MOSは北陸だけでなく、全国で10数社に導入されている。その一つが酒類卸の日本海酒販(富山県)だ。同社では小口の注文が多い酒販店や飲食店との取引にMOS を導入。その結果、受注データの入力作業が軽減され、人件費削減にもつながった。発注側からも「簡単に注文できる」「商品が探しやすい」など好評を得ている。
 このほか、食品卸業者や理美容室にシャンプーなどを卸すディーラーでも導入が進んでおり、採用を検討する企業の業種は徐々に広がっている。

販路拡大を本格化 東南アジアも視野に

 MOSを事業の柱に育てるために、今後、大きなテーマとなってくるのは販路拡大への取り組みだ。
 その一環として、野村社長は今年3月、一人でも多くの人にMOSを知ってもらおうと、独立行政法人情報通信研究機構が主催する「情報通信ベンチャービジネスプラン発表会」に参加。ファイナリスト8社の一つとして事業計画を披露した。
ベンチャービジネスプラン発表会 同じく今年3月には、東京ビッグサイトで開かれた日本最大の流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN」に出展した。同社にとって、こうした展示商談会への単独出展は初めての試みである。期間中は300社と名刺交換を行っており、今後はこれを足がかりに営業活動を展開する計画で、野村社長は「もっと拡販スピードを上げるため、今年は展示会への出展に力を入れる」と意欲を見せる。
リテールテックJAPANでの展示ブース また、東南アジアの国々も有望な販売先の一つだ。既にベトナムでの市場調査を終えており、野村社長は「東南アジアの飲食店では受発注にファクスが使われておらず、電話で注文したり、配達時に口頭で伝えるケースがほとんど。ネット環境は十分に整っていないが、スマートフォンの普及率は高いので商機はある」と手応えを感じている。
 この一年半の間に、MOSは同社の総売上の20~30%を占めるまでに成長した。野村社長は年内にも新製品をリリースする予定で開発を進めており、将来的には自社製品の売上比を70~80%にまで高めたい考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 アクロスソリューションズ
創業・設立 設立 平成18年5月
事業内容 各種受発注システムの開発、ショッピングサイトの構築など

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備考 情報誌「ISICO」vol.69より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.69


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